妹お姉ちゃんの罠(後)

とりあえず自室に戻ってきた。
壁越しに二人の笑い声が聞こえてくる。
これは一体どういう事なのだろう。
佳美は一日だけ私の姉になりたいと言った。
私も佳美の妹という立場を受け入れた。
あれこれ命令してくるはどうかと思ったが、お皿を割った手前断る事もできなかった。
佳美がそのコレクションを本当に大切にしているのも知っていたし、それを雑用で償えるならという気持ちもあった。
頼まれていた品物を買って帰ったとき、既に詩織が来ていた。
佳美の友達ということで、一年生の中でも気にかけてきた後輩だった。
これまでも何度か遊びに来たこともあるし、特に疑問に思う事もなかった。
問題は、詩織が居るにも拘らず妹として振舞う事を佳美が強要してきたことだ。
しかも、詩織を先輩として扱うようにと。
この時点でおかしいとは思ったが、勢いに飲まれてしまった。
コップを取りに行かされ、二人にジュースを注いだ。
そして…
手に握られた物を見る。
佳美と、それから詩織の靴下。
佳美に命じられ、二人の靴下を脱がせた。
これは明らかにやりすぎだと思う。
しかし、その時の私はどうしてか断れなかった。
靴下を脱がせる時、詩織と目が合った。
その時私の心臓は確かに大きく脈打ったのだ。
『沙佑里ちゃん、お願いしますね』
詩織の言葉が蘇る。
鼓動が早くなり、私は…
あの時感じた心の震えを思い出し、慌てて頭を振った。
再び靴下に視線を移す。
二人は私に靴下を持たせ部屋から出した。
私も早く自由になりたかったので、あまりふかく考える事なく自室まで戻ってきた。
『ご褒美に私達の靴下持っていっていいわよ』
『私達のことは気にしなくていいですから、ごゆっくり』
今考えてみると、これには深い意味が隠れているように感じる。
ドアがノックされた。
「沙佑里ちゃん、きりのいい所で私の部屋に来てって、佳美ちゃんが」
「あ、うん、分かった」
ここらできちんと佳美に言わなければ。
呼吸を整えてから私は立ち上がった。
佳美の部屋に入る。
私は黙って二人の前に座った。
「沙佑里ちゃん、どうでした?」
「どうって、何が?」
「何って…その、ねぇ?」
照れたように笑い、佳美に意見を求める詩織。
「だから、詩織には全て話してあるって言ったでしょ」
「どうでした、私たちの靴下?」
「だから、どうって言われても…」
「ですからぁ、したんでしょ?靴下を使って、その、自慰を」
「じ…え、え!?」
「沙佑里がいつも私の靴下のニオイ嗅ぎながらオナニーしてるって詩織に言ったのよ。でもなかなか信じてもらえなくて」
「よ、佳美、何いい加減な事言ってるのよ!」
「あの沙佑里先輩に限ってそんな事するわけないって。だから実際に確かめさせてあげたのよ」
「本当だったんだね、沙佑里ちゃん。私びっくりしちゃった」
「だ、だからこれは佳美との約束で、仕方なく…」
「約束?」
「恥ずかしいからって誤魔化さなくてもいいじゃない」
「ごまかしてなんかない!」
叫んでみたが、二人は意味ありげに笑うだけだ。
もしかして、私は佳美の罠に嵌められたのだろうか。
妹役をさせられたのも詩織が遊びに来たことも、佳美の作戦のうちだったのかもしれない。
『靴下脱がせてよ。いつもやってるでしょ?』
『いいのよ。沙佑里も望んでることなんだから』
靴下を脱がせたのも靴下を持たせたまま部屋から出したのも、そういうことなら合点がいく。
詩織は佳美のいう事を信じて疑っていないようだ。
今更本当の事を話してもいい訳にしか聞こえないだろう。
そうなるように佳美は仕組んでいたのだ。
「沙佑里ちゃんが家ではこんなことしてるんだよって教えてあげたら、皆驚くだろうな」
「この際だから、部活の子皆呼んでみたら?」
「あ、それいいかも」
「や、やめて!それだけは…」
最悪の事態を恐れ、二人にすがった。
「ふふっ、ついに自分でも認めたわね」
「大丈夫ですよ沙佑里ちゃん。口は堅いほうだって言ったでしょ」
しまった。
二人を止めた事で、かえって自慰行為を認めることになってしまったらしい。
気付いたが、もう遅い。
「でも沙佑里ちゃんてマゾでもあるんでしょ?そうじゃなかったら私達にこんな事されて黙ってないわよね」
詩織の態度が大きくなったが、やはり言い返せない。
「マゾねぇ…私、沙佑里先輩に憧れてたのよ?それなのに、こんな人だったなんて」
屈辱感で身体が熱くなる。
しかし詩織の見下すような視線に別の感覚も覚えてしまう。
靴下を脱がせる時感じた、あの心の震えだった。
「がっかりしたでしょ?でもこんなものじゃないのよ沙佑里は。沙佑里、服を脱ぎなさい」
「ちょっと佳美、いい加減にしなさいよ」
声が上擦っているのが自分でも分かった。
「早くしないと本当に皆にバラしちゃうよ?」
「そ、そんな…」
「いいじゃない沙佑里ちゃん。それに沙佑里ちゃんも恥ずかしいのが好きなんでしょう?」
詩織の蔑むような声に、再び身体が反応する。
まさか、私は本当に…
「沙佑里、顔が真っ赤よ?詩織の前だから余計興奮してるのかしら」
「沙佑里ちゃん、早く脱いじゃいなよ」
私は、ゆっくりとシャツに手を掛けた。
手が震えているのにその時初めて気付いた。
シャツを脱ぐ。
次にスカートを。
私の下着姿が二人の視線に晒される。
手で隠そうとしたが佳美に止められた。
「次は下着も、ね」
「お願い、これ以上は…」
「今更何言ってるのよ」
観念して、ブラを外した。
「キレイな形してるね、沙佑里ちゃんのおっぱい」
「うう…」
「まだ、あと一枚残ってるでしょ?」
「これも、なの?」
「当たり前でしょう」
二人の視線から逃れるように目を閉じる。
そして…
「あはは、沙佑里ちゃんホントに脱いじゃったぁ!」
馬鹿にしたような詩織の顔が目に浮かぶ。
「でも、スポーツしてるだけあってスタイルいいね」
腕を掴まれた。
「そのままじっとしてるのよ」
後ろ手に交差される状態になった。
「詩織、お願い」
「うん、分かった」
手首に何かが巻きつけられた。
慌てて目を開ける。
振り解こうとしたが、既に両手は縛られた後だった。
「これは、もしかして…」
私が買ってきた長紐らしい。
「ねえ、こんな事…」
不意に視界が奪われた。
目隠しをされたらしい。
「どう?こうされるともっと感じちゃうのよね、沙佑里は」
「マゾなんだもんね沙佑里ちゃんは。あ、沙佑里って呼んでもいいよね。その方がいいでしょ?ヘ・ン・タ・イ・さん」
自分が惨めで、情けなかった。
しかし…
「あれ?」
秘部を掌で撫でられた。
身体に電気が走り、しゃがみこんでしまう。
「これって愛液だよね。そんなに縛られるのがいいんだぁ」
「ね、言ったでしょ?根っからのマゾなのよこの子は」
「私は…」
否定できない。
気付いてしまったのだ、本当の自分に。
「ねえ佳美、普段は沙佑里にどんなことしてるの?」
「そうね、色々あるけど…見たい?」
「うん、見たい見たい!」
「じゃあ沙佑里、今から私のいう事を復唱しなさい」
「は、はい」
「沙佑里は、いやらしい変態マゾです」
「さ、沙佑里は…」
口が渇く。
「い、いや、いやらしい、ヘンタイ、マゾです…」
頭の奥が溶けそうになる。
「どうか、この惨めなメス犬を佳美様の手で躾けてください」
「ミジメ、な、こ、この、ミジメなメス犬を、よ、佳美、佳美…」
「慌てなくていいの。ゆっくりでいいのよ」
「この、ミジメなメス犬を、佳美様の手で、躾けてくださいませ」
「うわぁ、うわぁ…」
「よく言えたわ、いい子ね」
「ねえ佳美、私も何かやらせていい?」
「うん、いいよ」
「じゃあ…沙佑里、私にもお願いしなさい」
「は、い。詩織様の手で、どうかこのミジメなメス犬を躾けてくださいませ」
「分かったわ。特別にアンタの相手してあげる」
「あ、ありがとうございます」
「さっき自分の部屋でしてた事、私達の前でもしてみなさいよ」
手の紐が解かれ、替わりに何かを握らされた。
視界は遮られているが、これが何かは容易に理解できた。
「さあ、早く」
「分かり、ました」
靴下を鼻に近づける。
決心して、肺一杯にニオイを吸い込んだ。
もう片方の手で秘部に触れようとする。
「待って。その前にここで誓いなさい。学校以外の場所では何でも私達のいう事を聞きなさい。それと、呼ばれたらすぐに駆けつける事。それが約束できるならオナニーを許可してあげる」
「約束します。詩織様、佳美様」
「証拠に写真撮っておくよ。私の靴下を嗅ぎながら全裸でオナってる沙佑里の姿」
「は、はい…」
「じゃあ、始めていいよ」
こうして私は佳美様と詩織様の奴隷になった。
約束通り、呼ばれたらどんな時にも駈けつけどんな命令にも従った。
家での立場も佳美様のほうが完全に上になったし、詩織様も私に遠慮するのは部活の時くらいだった。
ある時、昔からこうしたかったと佳美様が漏らしたことがある。
だから私を嵌めたのだと。
しかし今となってはそうでもいい事だった。
いう事を聞くご褒美に、時々二人から躾けて頂くのが何よりの楽しみになった。
今度は後輩の皆も集めてやろうという話が出ている。
それだけは許してくださいと言いつつも、期待している自分がいるのだ。
<了>


続きは近いうちにUPしますと言っておきながら遅くなってしまいました。
色々ありまして…
待っていてくださった方ごめんなさい。
当初は連載の形にしようと思っていたのですが、2話完結という事になりました。
一応それなりに仕上がったとは思うのですが、いかがでしょうか?
ただ、続きものを書くのは精神的によろしくないようで(笑)あまり伸び伸び書けなかった気がします。
続き物を載せる場合は全て書きあがってからにしようと思いました。
ですので今後しばらくは短編中心になるかもしれません。
それと、web拍手を送って下さった方ありがとうございます。
大変励みになりました!
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皆さんの反応が見れるのは書き手として本当に嬉しいことです。
それではまた!

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