Brave New World 四日目 3/3

「お待たせしました」
「お疲れ様。で、どうだった?」
「問題ないです。二年三組の教室に数名残ってましたが、もう帰る支度をしてました」
「先生に見つかる事はないの?」
「それも大丈夫ですよ。殆どの先生は帰られましたし、教室用の玄関もここの反対側ですから」
「そう、なんだけど」
「そろそろ始めましょう。心の準備はできてますか?」
「え、と…多分」
「もし不安なら、今日じゃなくても…」
「ううん、大丈夫だから」
「そうですか。それならいいんですが」
覚悟は決めたのだ。
茜の顔つきが変わった。
全身が期待で震える。
「じゃあ、早速脱いでもらおうかしら」
「分かったわ」
「分かったわ、じゃないでしょう、友子?」
「分かりました、茜様」
制服を一枚ずつ脱いでいく。
手が震えてボタンを外すのに時間が掛かった。
「おや、もうこんなに濡らしてたの?はしたない子ね。じゃあ次はこれを付けてあげる」
「これは…」
「言ったでしょう?犬の格好をさせるって。さあ四つんばいになりなさい」
「は、はい」
言われた通り四つんばいになると、首輪を付けられた。
「いい?今からあなたは私の言う通りにするのよ?」
「はい」
「よろしい。じゃあ友子、お散歩に行きましょ」
「は、はいっ!」
鼓動のスピードが信じられないくらい速くなった。
思考がボンヤリしてくる。
茜にリードを引っ張られながら廊下に出た。
電気は点いていないので、窓から差し込む光が頼りだった。
しばらくの間、茜の後に続く形で廊下を這い進んだ。
茜は時折振り返っては「いい子ね」と言って頭を撫でてくれる。
「この階は一年生の教室があるのだが、どの教室からも明かりは漏れていなかった。
廊下の突き当りまで来た。
「階段を降りるわよ」
言われた通り、一段ずつ降りていく。
二階は三年生の教室がある。
やはりどの教室からも人の気配はしない。
「友子の教室まで行きましょ」
三年五組の教室まで来ると、茜は立ち止まった。
「中へ入りましょうか」
そう言って教室のドアを開けた。
言われるまま、私も中に入って行く。
「ここでいつも、友子は授業を受けているのね」
「はい…」
「クラスメートが今の友子を見たら、何て言うかしらねぇ」
「いやぁ、言わないで…」
「きっと皆、友子のことケイベツするでしょうねぇ」
「そんなぁ」
「そうは言っても、ほら、ここからこんなにエッチなお汁が溢れてきたわよ。身体は正直ね」
恥ずかしくて、顔に血が昇ってきた。
「皆に本当の友子を見てもらおうね」
クラスメートが私を見下ろしている映像が鮮明に浮かんできた。
「ほら、皆が友子の恥ずかしい格好を見てるよ。恥ずかしいね、どうしよう?」
「やぁ、皆見ないで…」
興奮のあまり目眩がしてきた。
「もっとここに居てもいいんだけど、時間もないし移動しましょ?」
「は、はい、茜様…」
再び廊下に出る。
階段の所まで来ると、茜は下に降りようとした。
「ま、待ってください。下には…」
この下には二年生の教室がある。
「大丈夫よ。もう三組の生徒は帰っただろうし。一応確認してみるわ」
本当は怖かったが、仕方なく一緒に降りた。
どの教室にも、生徒が残っている様子はない。
「やはり帰ったみたいね」
「はい」
「ここを通って、向こうの階段から戻りましょ」
「え!?それは…」
「嫌なの?」
「いえ、分かりました」
てっきり、もと来た道を引き返していくものと思っていたので、少し戸惑ってしまった。
「友子、あなたは私の何なの?」
「い、犬です…」
「そうね。だったら私はあなたの何?」
「え、と…飼い主、です」
「そうね、飼い主。つまりあなたのご主人様なのよ」
「ご主人様…」
「そう。友子、分かったなら行くわよ」
「はい、ご主人様」
静まり返った廊下に、上履きの擦れる音と私の荒い息が吸い込まれていく。
廊下を半分過ぎた頃だろうか、後方から誰かの声が聞こえた気がした。
茜にも聞こえたのだろうか、立ち止まって耳をすませている。
複数いるらしい。
三人ほどだろうか。
話し声は次第に大きくなってきた。
一気に血の気が引いた。
突然の事に、身体が硬直してしまった。
「隠れるわよ!」
そう言って、茜は一番近くのドアに私を引きずり込んだ。
喉を締め付けられたのでムセそうになったが、かろうじて堪えた。
「まさか人が来るとはね」
「茜にも予想外だったのか、それでも不安げな様子を私に悟られまいとしていた。
足音がよく聞こえる。
大分近くまで来たようだ。
話の内容からして、三組の生徒が忘れ物を取りに戻ったらしい。
「あれ、もしかしてこの教室って…」
茜の顔が曇っていく。
「こっち!」
思い切り手を引っ張られる。
教壇の裏に隠れるのと教室のドアが開くのにほとんど差はなかった。
「ねえ、さっき何か聞こえなかった?」
「え?オバケ?」
「ち、ちょっとやめてよこんな時に…」
「もう、ほんと怖がりなんだから」
「元はといえば、あなたが鞄忘れたから…」
「はいはい二人とも。それくらいにして、早く鞄探そうよ」
電気が点けられる。
「あ、あったあった」
「まったく…」
「ん、あれ?何か変なニオイしない?」
「また怖がらせる気?」
「いや、ほんとに。でもこのニオイって…」
「はいはい、見つかったなら早く帰ろうよ。もうこんな時間だし」
「そうね」
電気が消され、三人が出て行った。
二人で溜め息をつく。
「危なかったわね。もう少しで見つかる所だったわ」
見つからなかったのは運が良かったとしか言いようがなかった。
「それにしても…」
茜が不敵な笑みを浮かべる。
「あなたの香り、気付かれてたわね」
茜が私の秘部を撫でてきた。
「あぅっ」
「それもそうよね。だって、あなたのココ、とってもいやらしい香りがするんですもの」
その後、無事音楽室に到着することができた。
制服を着て、茜から下着を返してもらった。
時間が時間なので、音楽室の鍵を返しに行くときは大変だった。
校舎を出た時、茜が口を開いた。
「なんか、色々な意味で刺激的でしたね」
「茜のせいよ?全く、あなたが大丈夫だって言うから一階に降りたのに…」
「ともあれ、何事もなくてよかった」
心底楽しそうな茜を見ていると怒る気も失せてしまう。
「で、どうでした?夜のお散歩は」
「うーん、やっぱり怖かったわね。周りが暗いっていうのもあるし、静かだから余計に物音が気になってしまうのよ。それに絶対人に見つからないとは言い切れないでしょ?実際、かなり際どかったし」
「あー、あれですね。反省してます。私もつい興奮しちゃって」
そう言って苦笑する。
「でも、友子さんも結構楽しんでましたよね?」
「そ、それを言われると…まあ確かに良かったけど、リスクを考えるともう出来ないなあ」
「そうですか、残念です」
「ただ、こういうのも悪くないなって思ったよ。内容云々もあるけど、なんか、茜の愛を感じたっていうか…」
自分で言ってて恥ずかしくなった。
「茜が私の事を本当に思っててくれてるんだって分かって、ね。だから私も茜に身を任せようって思えたんだと思う」
照れくさくて、茜の顔を見ずに言った。
「えへへー」
茜が腕に抱きついてきた。
茜の嬉しそうな顔を見ていると、こっちも幸せな気持ちで満たされる。
「まあ、周りから見たら変かもしれないけど、こういう関係も悪くないかなっていうか…」
「私は友子さんのそば居られるだけも幸せですよ」
このままずっとこうしていたい。
「友子さん、明日の事なんですが」
「明日?」
「はい。もしよろしければ部活の後私の部屋へお招きしたいのです。あ、もちろん他に用事があるのなら断ってくださっても全然構いません」
「茜の部屋に、私を?」
「一度、友子さんとゆっくりお話ができたらと思っていたんです。友子さんの事、もっと知りたいですし」
「明日かぁ」
明日は友達と買い物にでも行こうかと思っていたのだが。
しかし、茜の部屋に行ってみたい気はする。
「どうですか?」
不安げな顔で覗き込んでくる。
「うん、分かった」
友達とはまた別の日に遊ぶことにしよう。

コメント

  1. マロ より:

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    かなりドキドキしちゃいました!
    次はどんな事が待ってるんでしょう?
    でも、ちょっとだけですが物足りなかったかな?
    もう少し、言葉で辱めるとか、
    肉体的にも責められる描写があっても良かったのかも。
    偉そうな事言ってますが、充分に満足してますよ。
    気分悪くされたら、ごめんなさい。

  2. Keic より:

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    非常にワクワクさせられる展開ですね~
    続き頑張ってくださいね。
    応援してます~