Magic stone 7話

「ソフィー…」
ソフィーが、私を見る。
「マーティナ様も、マーティナ様ですよ?何、小娘相手に尻尾を振ってるんです、情けない…」
「くっ…」
「別にいいのですよ?機関に戻ったら、彼女たちのペットにしてあげても」
「そ、それは、だめ…」
「一回りも年下の女の子たちの前で、お尻を突き出して。あんなに嬉しそうにお尻を叩かれて、喜んでるなんて。恥を知りなさい、恥を」
反論できなかった。
「まあ、いいわ。どうです、楽しんでいただけましたか?あなたから貢いでいただいた魔力によって作られた、私のショーは?」
唇を噛み締める。
「あなたなんかより、よっぽど私の方が認識操作の魔術を使いこなせますよ?あなたじゃ、宝の持ち腐れでしたね。他の高位魔術も、残っている魔力も全て、これからじっくり、時間をかけて奪って差し上げますね?」
「そんなこと、させない…」
「ふふ…そろそろ、トドメを刺して差し上げます。これから一生、あなたは私に逆らえなくなる。魔術や魔力を差し出し続けながら、『オナニーさせてください』って懇願しながら生きていく、哀れな貢ぎマゾの出来上がり。しぼりカスになるまで私に貢いで、私の足元にすがりながら懇願するの。『ソフィー様、お願いです。オナニーさせてください。何でもしますから』って。卑屈な顔で、腰をヘコヘコ振ったり、私の足を舐めたりしながら、私のご機嫌をうかがって生きていくのが、これからのあなた。嬉しいでしょう?」
はらわたが煮え繰りかえりそうになる。
しかし、ソフィーを憎もうとすればするほど、下腹部が熱くなっていく。
「な、何、これは…」
「ふふっ」
意味ありげに笑うソフィー。
「あなたがお嬢さん相手にお尻を振ってる間、術式を組ませてもらったの。気に入ってくれた?」
お腹を見る。
へその少し下あたりに、模様が浮き出ている。
「こ、これは…」
特定の感情を、別の感情に変換する術式。
扱いが非常に難しく、また、その特性からよほどのことがない限り使用してはいけないとされている。
それだけではない。
この術式は、模様を一画描くだけでもかなりの魔力を要する。
それなのに、こんな短時間で…
「あ、あなた、どうやってこれを…」
「あの巨大魔石ですよ。あの魔石には、一般的には知られていない、大きな力があるんです」
不敵に笑うソフィー。
視界が揺らめいでいく。
意識が、少しずつ遠のいていく…
エルヴィナ様の命令で、一生懸命覚えたダンスを披露する。
エルヴィナ様の大切なお客様に、喜んでいただけるように。
敬愛する、エルヴィナ様のために…
着ていたコートを脱ぎ、裸体を晒す。
お客様の視線が突き刺さる。
体の奥が熱くなる。
中腰になり、腰を前後・左右に揺する。
胸、お腹、背中、お尻、太もも、つま先…
全身を使って、お客様を楽しませる。
時折、微かに聞こえてくる、意味の分からない言葉。
「あのマーティナ様がねぇ…」
「いずれにしても、ああなってしまってはもう、昇進はおろか、一般職員としてもやっていけるかどうか…」
「本当なら今頃は、私たちなんかじゃ足元にも及ばないほどの役職に就かれていたはずなのにね」
「本当に、何が起こるか分からないものね」
彼女たちの好奇な視線が、私を更に熱くさせる。
「エルヴィナさん、そろそろいいんじゃない?」
お客様の一人が言った。
どこかで見たことのあるお方。
きっと、立場のあるお方に違いない。
「そうですね。メル、そのままの姿勢でこちらを見なさい」
お客様にお尻を突き出したまま、ソフィー様を見る。
「今から私が手を叩くと、あなたに掛けられていたチャームの魔術が解ける。あなたは、忘れていた記憶を取り戻すことができる」
エルヴィナ様の言葉。
何を言っているのか、分からない。
「3、2、1、はい!」
エルヴィナ様が手を叩く。
そして…
私は、全てを思い出した。
後ろを振り向く。
そこには、私の同僚や部下、教え子たちの姿があった。
不躾な視線が突き刺さる。
私は、思わず手で体を隠す。
「マーティナ様、思い出されましたか?」
部下の一人が笑みを浮かべたまま言った。
「マーティナ様のマゾダンス、今日もとってもよかったですよ」
「魔術よりも、そちらの方が向いていらっしゃるのではないですか?」
口々に、勝手なことを言う彼女たち。
これまでなら、決して許されない暴言。
しかし、私の威厳はすでに地に落ちていた。
それに…
「マーティナ様、部下たちの前でこんなことをされて、こんなことを言われて、悔しくないのですか?」
「悔しいけど、それ以上に感じてしまうのですよね、マゾのマーティナ様は?」
「あーあ、私、マーティナ様に憧れてたのになぁ」
部下たちの言葉に、私の被虐心が刺激される。
「ほら、マーティナ様?ダンスを見てくれた皆さんに、お礼を言ってください」
エルヴィナの声。
屈辱と、羞恥心が胸を焦がす。
唇を噛む。
「ご主人様の言うことが聞けないの?」
エルヴィナが、耳元で囁く。
「マーティナの、ま、マゾダンスを見てくださって、ありがとうございます…」
部屋中に、笑い声が響く。
「それじゃあ、本日のメインイベントといきましょうか」
貞操帯が、振動を始める。
「んっ…」
微弱な振動だが、既に昂っている私の体は敏感に反応する。
自分の意思では一生外すことのできない貞操帯。
このせいで、自らを慰めることもできない。
少しずつ、少しずつ。
微弱な振動が、私を追い詰めていく。
ただ、このままでは満たされない。
「マーティナ様、我慢なさらずともよいのですよ?ここにいる皆さんに一言、おっしゃっていただければいいのです」
エルヴィナの声。
「どうか、エルヴィナ様のマゾペットとなったマーティナが、オナニーするところを、見てください、って」
エルヴィナの声が、別の何かになって脳に染み込んでいく。
「マゾ犬と成り下がった、かつての稀代の魔女が、情けなく屈服オナニーするところ、見てください、って」
貞操帯の振動が、強くなった。
しかし…
あと少し、というところで、振動は弱くなってしまう。
「ほら、部下の皆さんも見たがってますよ?あのマーティナ様が、まるでお猿さんのように、自らをお慰めさなるところを。マーティナ様も見られたいのでしょう?かつての栄光から転落され、部下に軽蔑や哀れみの目で見られながら、情けなく達してしまわれるのを」
振動による責めと、エルヴィナからの言葉が、私の思考を削り取っていく。
満たされない欲求が、逃げ場を求めて私の体を暴れまわっている。
勝手に動き出す腰を止めることができない。
このままではおかしくなってしまう。
だから、仕方ないのだ。
だからこうして、ご主人様や皆さんの顔色を伺いながら、オナニーさせてもらえるよう懇願するしかないのだ。
かつての仲間たちに向けて、腰を振りながら懇願する。
「どうか、この惨めなマゾ犬に、オナニーのお許しをお与えください」
ニヤニヤと笑みを浮かべる者。
哀れんだ視線を向ける者。
囃し立てるように羞恥心を煽る者。
「エルヴィナ様のマゾペットとなったマーティナが、オナニーするところを、見てください。マゾ犬と成り下がったマーティナが情けなく屈服オナニーするところを…かつての稀代の魔女の成れの果てを、どうか見てください」
腰を覆っていた金属性の下着が消えた。
ためらうことなく、私は自らの秘所に手を伸ばした。
自らの意思では決して触れることのできない場所。
ご主人様や皆さんのお許しがあって、初めて触れることができるのだ。
私は、久しぶりの刺激を貪った。
部下達が嘲笑している。
もっと、なじってください。
もっと、蔑んでください。
もっと…
訓練場。
教官であるシンディアと、教え子たち。
彼女たちの見守る中、私は、一人の訓練生と対峙していた。
今年入学したという彼女は、まだ顔にあどけなさを残している。
練習生であるユニフォームを着た彼女と、上級士官用の戦闘服を着た私。
私はありったけの魔力を、手のひらに集中させる。
火の玉。
せいぜい、こぶし一つ分の大きさしかない。
それが、今の私に出せる全力だった。
目の前の訓練生に、投げつける。
それを、片手で難なく払われる。
そして今度は、こちらに向けて火の玉が飛んでくる。
私の放った火の玉より、一回りほど大きい。
振り払おうとするが、払いきれず、腕に痛みが走る。
思わず、しゃがみ込んでしまう。
「そこまで」
シンディアの声。
嬉しそうにはしゃぐ女の子を見ながら、私は唇を噛む。
かつて、機関で無敗を誇った私が、今は訓練を始めたばかりの女の子にも敵わないという現実。
「モニカ、落ち着いて対処できるようになったな。よかったぞ」
シンディアに褒められ、顔を赤らめる女の子。
「それにひきかえ…」
シンディアに睨まれる。
「マーティナ様、しっかりしてください。相手は訓練を始めたばかりの女の子なのですよ?いくら本調子でないからとはいえ、あんな負け方をして…上官として、示しがつきませんよ?恥ずかしくないのですか?」
「うぅ…」
「しっかりと反省していただかないと。マーティナ様には今後、練習生用のユニフォームを着ていただきます。いいですね?」
「は、はい…」
上級士官用の戦闘服を脱ぎ、練習生用のユニフォームに着替える。
『1ーA マーティナ』
ユニフォームには、学年と私の名前が書かれていた。
「それを着て、中腰で見ててください」
「は、い…」
女の子たちの視線が突き刺さる。
「ねえ、なんでシンディア先生はあの人に敬語なのかな?」
「シンディア先生よりも年上だからじゃない?」
「私、先輩から聞いたんだけど、あの人、シンディア先生の上司らしいよ?」
「えー、嘘だぁ」
「ホントだって」
「だって、あんなに弱いのに?」
「昔は強かったらしいんだけど、力を失っちゃって、それで今はあの有様なんだって」
「へー、そうなんだ」
「それで、可哀想に思ったシンディア先生が、あの人の訓練を買って出たらしいよ」
「本当なら、なんか可哀想」
「それがね、あの人、年下の女の子に負けるのが、クセになっちゃったらしいの」
「クセになった?どういうこと?」
「女の子に負けて、悔しいんだけど、それ以上にエッチな気持ちになっちゃうんだって」
「えー、何それ。ヘンタイじゃん」
女の子たちの、笑い声。
「メル、お手」
「わ、わん」
女の子が差し出した手に、右手を乗せる。
「メル、おかわり」
「わんっ」
右手を引き、左手を乗せる。
アリエッタの授業。
新人の女の子たちが、私を使ってビーストテイマーの訓練をする。
「ほら、お尻をこちらに向けなさい、メル」
「わ、わん…」
遥かに年下の女の子に言われるまま、お尻を突き出す。
「貞操帯、外して欲しい?」
「わ、わん!わん!」
「でも、だーめ。まだダメだよ。私の指導に耐えられたら、少しだけの間、外してあげる。その代わり、耐えられなかったら、もう一週間お預けだからね」
鼻息荒く、うなずく私。
「お尻振っちゃって、そんなに期待してたの?ヘンタイ」
「う、うぅ…」
「じゃあ、いくよ?」
私のお尻目がけて手を振り下ろす女の子。
悲鳴とも嬌声ともつかない呻きをあげる私。
お尻を叩かれるたび、マゾ犬としてのよろこびが目覚めていく。
「ほら、まだ半分も終わってないよ?もうイキそうなの?」
「わ、わん…」
「しょうがない子ね。ほら、これでイキなさい、マゾ犬!」
力一杯叩きつけられた私は、全身を震わせその場で崩れ落ちた。
「ほら、寝てないで、お礼を言いなさい、変態マゾ」
ふらふらと起き上がり、女の子に土下座する。
「また途中でイッちゃったわね、メル。この前よりもさらに弱くなってるんじゃない?」
「う、うぅ…」
「耐えられなかったから、貞操帯は外してあげない。一週間後にまたチャンスをあげるから、それまで我慢しててね」
「そ、そんな…」
「あー、人の言葉を喋った!まだ自分の立場が分かってないのね、メルは。またお仕置きが必要かな?」
お仕置きと称した、リードを引かれながらの建物内の散歩。
遥かに年下の女の子たちに見られながら、裸の私が四つん這いで這い回る。
女の子たちの視線や黄色い声を思い出し、私は期待で胸を震わせた。
二人の女性が会食している。
どちらも、身分の高そうないでたち。
ホストである女主人は上級士官用の礼服を着ており、もう一人は貴族の服を着ている。
品のいい調度に囲まれた部屋。
照明も、明るすぎず、暗すぎず。
食事を終えた後、女主人が手を叩いた。
部屋に、召使いが入ってくる。
召使いの持つリードに引かれて、全裸の女が入ってくる。
前頭マスクをつけており、その顔は窺い知れない。
全裸の女がうやうやしく、二人の前で土下座をする。
土下座した女の頭を、上級士官が踏みつける。
踏みつけられた女は、体を赤く染めながら、お礼を述べる。
上級士官の命令で、扇情的なダンスを踊る女。
その様子を満足そうに眺める上級士官。
貴族の女は、少し気後れしつつも、そんな様子を上級士官に悟られないようにしている。
上級士官が手を叩く。
女はダンスをやめ、再び二人の前で跪いた。
貴族の女の片足を手にとり、靴を脱がせる。
そしてその素足に、舌を這わせる。
貴族の女は顔を上気させながら、女を眺める。
足の指の一本一本を、丁寧に口に含む女。
そして、反対側の足にも手を伸ばす。
上級士官が、何かを呟く。
すると、女が嬌声をあげ始める。
腰をくねらせながらも、貴族の足を舐め続ける女。
しかし、女の意思に反して、腰の動きは大きくなっていく。
「マーティナ、パメラ様の大事なところを口でご奉仕なさい」
「かしこまりました、ソフィー様…」
「ソフィー様、その、恥ずかしい、です…」
「大丈夫ですよ、パメラ様。ここには私とパメラ様と、この女しかおりません。どうぞ、気兼ねなくお楽しみください」
「は、はい…」
恥ずかしそうにしながらも、期待を隠しきれない様子の貴族。
顔を赤らめながら、スカートの中に手を伸ばす。
下着を下げる。
椅子に浅く腰掛け、スカートの裾をつまみながら、女を見る貴族。
「マゾ犬さん、お願いしますね」
「はい…」
女が、スカートの中に顔を入れる。
発情した雌の匂いに、女の頭がクラクラする。
貴族の大事な場所に、舌を伸ばす。
敏感な部分を、弱く、優しく、焦らすように責める。
女性が、声を押し殺したようなうめき声をあげる。
その声が、少しずつ大きくなっていく。
上級士官が、また何か唱えた。
女の下腹部が、更に熱くなる。
女の体の奥で、マグマが出口を求めて蠢く。
貴族の声に合わせるように、女の腰が動く。
しかし、いくら女が刺激を求めても、満たされることはない。
自らの熱く溢れる秘所に手を伸ばす女。
しかし、肝心な部分に触れる前に、鉄の下着に阻まれてしまう。
うつぶせになる女。
女性の大事なところを舌で刺激しつつ、己の腰を床に打ち付ける。
床からの衝撃を、鉄の下着が分散させてしまう。
何度も、何度も腰を床に打ち付ける。
カツン、カツンという音が、虚しく響く。
貴族の女性が、体を小刻みに震わせる。
ソフィーが、再び何かを呟く。
女の体が、燃えるように熱くなる。
周囲が明るくなる。
女は相変わらず、うつ伏せの姿勢で何度も腰を振り続けている。
「マーティナ、そんなにイキたいの?」
「イキたいです、イカせてください!」
腰を振りながら、女主人を見上げる。
「さっきまでお前が見てきたものは、私と巨大魔石が魔術で見せた幻想に過ぎない。現実ではないの。でも…」
女主人の笑顔。
残酷なその表情が、女の胸を締め付ける。
「お前の返答次第では、これからお前が歩むであろう現実となる。その覚悟はあるの?優れた才能も、人望も、約束された将来も全て私に捧げて、惨めなマゾ犬として生きていく覚悟はあるの、マーティナ様?」
取り返しのつかないことになる。
それは分かっている。
でも…
燃え盛るマグマが、理性を蒸発させていく。
マゾとしての本能が、ソフィーに、この女主人に屈服することを望んでいる。
私は…
「お願いします、イカせてください、ソフィー様!」
「そう、分かったわ。お望みどおり、イカせてあげる。己の輝かしい将来を犠牲にしてまで味わうオナニー、せいぜい楽しみなさい、マーティナ」
腰を覆っていた鉄の下着が消えた。
女は獣のような声をあげながら、己の秘所を刺激する。
二人の笑い声を聞きながら、女はあっという間に達した。
一度で満足できるはずもなく、何度も、何度も。
二人の足を舐めながら。
二人に馬鹿にされながら。
二人に頭を踏まれながら。
何度も、何度も達した。
他を圧倒するほどの膨大な魔力。
驚くほどの種類の高位魔術。
達するたびに、それらが女から失われていく。
そしてそれはそのまま、女主人へと流れ込んでいく。
生まれ持った類まれなる才能と、それに驕ることなく培ってきたもの。
それが、こんなにもあっさりと失われていく。
そしてそれを、何の労もなく、簡単に自分のものとしていく女主人。
そのことが、更に女を昂らせていく。
「空っぽになるまで、何度もイカせてあげる。嬉しいでしょ?」
「あ、ありがとうございます、ソフィー様!」
頭を踏まれながら、大事な場所を踏まれながら、達する。
やがて体に力が入らなくなり、その場に倒れ込む。
意識が薄れていく。
「さよなら、稀代の魔術師様」
完全に意識を失う直前、ソフィーの声が耳に入ってきた。

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