Brave New World 五日目 4/4

「あ、あれ…」
「気が付いたみたいですね」
ベッドに寝かされていた。
茜はベッドに腰掛けながら微笑んでいる。
「あれから、どうなったの?」
「友子さん、気を失ってたんですよ。クローゼットの中で」
苦笑しながら茜が言う。
「松山は?」
「もう帰りました」
「そう…」
ベッドから降りると、私は服を着始めた。
「友子さん、どうでした?」
「どうって、とにかく驚いたわよ。いくらなんでも他の子を部屋にあげるなんて」
「まあ、やり過ぎてしまったかなとは思ってます」
「無事だったからよかったものの、もし見つかったらどうするつもりだったのよ。誤魔化しようがないでしょ」
「でも、感じてたでしょ?」
「そ、それは…」
いつもの悪戯っぽい顔で言われると反論できなくなる。
「こういう楽しみ方もあるんですよ。私も楽しかったし、友子さんも喜んでくださったみたいで嬉しいです」
「うーん、でも冷静になって考えるとやっぱり怖いよ」
「確かにリスクは高いですからね。でもリスクがあるのは校舎での遊びも同じでしょ?」
「それはそうだけど…昨日もそうなるかと思ったし」
「あー、見つかりそうになった時ですね。あれはさすがに私も怖かった」
そう言って可笑しそうに笑った。
「私も気持ちいいことは嫌いじゃないし、今更やめようとは思わないけどさ。安全面もおろそかにするべきじゃないと思うの」
「気をつけてはいますが、注意してもしすぎることはないですしね」
時計に目をやる。
そろそろ帰らなければならない時刻になっていた。
「もう遅いし、今日はこれでお暇するわ」
「そうですか。名残惜しいです」
服や髪の乱れを整えてから、かばんを持って玄関まで移動する。
「今日はありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったわ」
「あのぅ、明日も、開いてます」
「まあ、開いてないこともないけど」
「お嫌でなければ、またおいで下さいませんか?」
「明日かぁ」
来たくないといえば嘘になる。
しかし、いいのだろうか。
少し周りの事が見えなくなっている気がする。
冷静になる為の時間を設けたほうがいいのかもしれないが…
茜が不安げに私の顔を覗っている。
しばらく悩んだ末、来ることにした。
快楽に負けたのか、茜の表情に負けたのか。
「分かった。明日また来るね」
言ってから少し不安になったが、できる限り自制心を保ち続ければ大丈夫だと自分に言い聞かせた。
笑顔の茜と別れ、帰路についた。

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