Brave New World 五日目 2/4

茜の家は閑静な住宅街にあった。
やや大きめな家で、どことなく品を感じさせる。
庭の手入れも行き届いていた。
「ただいまー」
「おじゃまします」
茜に続いて玄関をくぐる。
奥から一人の女性がやってきた。
茜の母親だという事は一目で分かった。
「おかえりなさい」
穏やかな声だった。
声だけでなく、佇まいも落ち着いた印象を受ける。
茜に向いていた視線が私に移った。
綺麗な目をしている。
「はじめまして。茜のお友達かしら?」
「はい、柏木といいます」
茜の母親に驚きの表情が浮かんだ。
「じゃあ、あなたが…」
「お、お母さん、私達二階にいるから。先輩、行きましょ」
「あ、ちょっと…」
茜は階段を上っていってしまった。
「何慌ててるのかしらあの子」
茜の母親は微笑みながら階段の方を見つめている。
「じゃあ、私も」
「あ、はい。ゆっくりしていってね」
お辞儀をしてから、私も階段を上った。
二階で待っていた茜に部屋へ案内される。
「へえ、ここが…」
「私、飲み物取ってきますね。友子さんは座っててください」
「うん、ありがとう」
茜が部屋を出てから、改めて部屋を見回してみた。
茜のイメージからしてもっとファンシーな部屋なのかと思っていたが、むしろシンプルといえた。
ぬいぐるみの類は見当たらないし、アイドルのポスターが貼ってある訳でもない。
インテリアは青系統で統一しているらしい。
私の部屋も似たようなものなので不思議ではないが、想像していた茜の部屋はもっと女の子っぽいものだった。
意外ではあったが違和感はなかった。
部屋の中央にテーブルがある。
その近くに腰を下ろした。
「友子さん、緊縛プレイって知ってます?」
「え、きんばく?」
「私、友子さんの身体を縛ってみたいんです」
「し、縛るって…」
「縛ってしまえば抵抗できなくなるでしょ?その方が燃えるんですって」
「へ、へぇ」
「縛られなくても友子さんが抵抗するとは思いませんけど」
いたずらっぽい笑みを浮かべて顔を覗き込んでくる。
「それは、そうだけど…でも、縛っている間は動けないんでしょ?なんか怖いわ」
「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ。あまり激しい事はしませんし、自力で解けるくらいの縛り方にしますから」
「そう?それなら、やってみようかな」
「きっと楽しんでいただけると思いますよ」
そう言って、茜はクローゼットを開けた。
クローゼットに縄があるのかと思ったが、茜が取り出したのは鍵だった。
「お母さんに見つからないように、机の引き出しに仕舞ってるんです」
私にも覚えがないわけではないので気恥ずかしくなった。
引き出しのロックを解除し、中からヒモと箱を取り出した。
「ねえ茜、その箱は?」
「これですか?これはですねえ…」
茜は箱を開けて、中の物を出した。
「それって、ピンク…」
「あー、似てるけどピンクローターじゃないですよ。こっちにリモコンがあるでしょ?」
手に持ってリモコンを振ってみせる。
「うん。でも本体とリモコンが繋がってないみたいだけど、どうして?」
「そこがポイントなんです。これは遠隔操作できるローターの様なもので、スイッチのオン・オフをこのリモコンで行うんですよ」
「あー、なるほど」
なんとなく茜の意図が読めてきた。
私を縛っておいて、このローターでいじめるつもりなんだろう。
「じゃあそろそろ、縛らせてもらいましょうか」
「どうぞ」
若干照れながら向かい合う。
「うーん…制服シワになっちゃうから、脱いじゃいません?」
「え?で、でも、一階にはお母さんが…」
「平気ですよ。お客が来てる時は部屋に入ってこないでって言ってありますから」
「でも、もし…」
「あーもう、じれったい。自分で脱がないなら私が脱がしますよ?」
「ま、待って、それは余計恥ずかしい」
茜は観念した私を見て、満足そうにうなずく。
私が制服を脱いでいる間、茜は視線を逸らそうとしない。
前までは恥ずかしくて仕方なかったが、今はその羞恥心も快感になっていた。
「後輩の部屋で下着姿になった感想はどうですか?」
私の気持ちが高ぶってきているのを知った上で、そんなことを聞いてくる。
「茜様、よろしくお願いします」
土下座をした私に一瞬驚いた気配があったが、すぐに茜も乗ってきた。
「友子さんも、だいぶ様になってきたわね」
「はい、ありがとうございます」
また頭を下げた。
秘部から蜜が溢れてくるのが分かった。
「私が家に呼んだ時から、こうなることを期待してたんでしょ?」
「はい、茜様に虐めてもらいたくて仕方ありませんでした」
「ホントいやらしい娘なんだから。でもよく我慢したわね。これからたっぷりご褒美あげる。感謝しなさい?」
胸の高鳴りが強くなった。
これからされる事を想像しただけでどうにかなってしまいそうだった。
ベッドの上に誘導される。
「両手を前に出して」
「はい」
差し出した両腕がヒモで縛られた。
解こうとすれば解けなくもない強さだ。
それでも自由を拘束されているというシチュエーションが被虐心を更に刺激した。
ベッドの四隅にはそれぞれ支柱のような突起がある。
その一つを、縛ったヒモの間に通した。
「ほら、これで逃げられなくなった」
身体が横になってる状態では、突起からヒモを抜くのは難しい。
更にヒモの隙間が埋められた分、両腕の締め付けも強くなっていた。
寄り添うように、茜もベッドに上ってきた。
しばらく脚を撫でていたが、不意に下着に手が伸びてきた。
「あ、そこは…」
下半身に力が入る。
「だーめ。ちゃんと力を抜くの。分かった?」
幼い子を諭すような声だった。
全てを委ねてしまいたくなる。
茜の手が私の下着に触れた。
「私が触る前からこんなに濡らしてたのね。いけない子」
「はい、友子はエッチな娘です。いっぱいおしおきしてください」
頭が撫でられた。
直後、私の視界が何かに遮られた。
「目隠し。このままおしおきしてあげる」
手の自由だけでなく、視界も奪われた。
「これでもう何をされてもあなたは抵抗できないのよ?私のなすがまま。嬉しいでしょ?」
「はい、嬉しいです」
自分より立場の低かった少女のなすがままにされている。
そういった羞恥心や屈辱感で胸が締め付けられるような快感を感じる。
それ以上に、自分の愛する相手に全てを委ねているという幸せも感じていた。
茜の指が、下着越しに割れ目をなぞった。
「くぅっ、んっ」
「可愛い声。もっと聞かせて」
痺れるような刺激が徐々に強まってくる。
茜が下着に手をかけた。
そのまま脱がそうとしてくる。
とっさに抵抗しようとしたが、手は縛られている。
脚に力を入れたが無駄だった。
膝を立たされて広げられる。
「ほら、これで友子の大事な所が丸見えになったよ」
身体中の血液が顔に上ってきた。
「あいかわらずキレイな色ね。気も薄いし。おいしそう」
茜が私の一番恥ずかしい所を見ている。
頭の中で鮮明な映像が浮かんだ。
ふいに、全身に電気が走った。
さっきまでじらすように触れなかった部分を責めてくる。
視覚がない分、他の感覚が鋭敏になっている。
「そっ、こ、は、ふぅん」
「そこは、そうしたの?」
「こ、れ以上、あっ、すると、もう…」
「これ以上すると?」
「も、もう、もうだめなのぉ、頭が、おかしくなっちゃ…ふぅん」
「イキそうなのね。いいわ、そのままイキなさい」
「うぁっ、あっ、あっ、あっ」
「ほらっ、ほらっ、イッちゃいなさい!」
「あっ、あっ、あーーーっ!!」
それ以上は声にならなかった。
身体が沈んでいく。
深く、深く沈んでいき、そのまま意識が薄れていった。

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