浜本の命令に従い、私は前へと出る。
三井は立ち直れないのか、俯いたまま、ソファの横へと歩いて行った。
2回目の芸。
1回目をやり終えてから、ずっと考えていた。
新田に、ご主人様に、ガッカリされたくない…
ストリップ。
あれからも、一生懸命勉強したのだ。
1年生たちに、流し目を送りつつ。
腰をくねらせながら、焦らすように、ビブスを外す。
パサッ…
床に落ちたビブス。
しかし、ギャラリーの視線は私を突き刺したままだった。
指先で、体のラインをなぞってから。
水着のボトムスを摘まむ。
腰を左右に揺らしながら、ゆっくりとずり下げていく。
私が何をするのか察したらしい、畑川。
部屋の照明を、薄暗くした。
私の周囲以外。
途端に、妖艶なムードが部屋中に満ちていく。
1年生の視線。
真顔で、私に視線を注ぐ。
「なんか、色っぽいんだけど…」
浜本。
「うん…」
陰部が見えそうになる手前で、少し、ボトムスを上に戻す。
「あっ…」
浜本が声を上げ、しまった、という顔をする。
照れたように鳥越を見て、笑って誤魔化した。
私はほくそ笑みながら、焦らすように、私の指をその場に留まらせる。
二人がしびれを切らす直前、水着を太ももまでずり下げていく。
ただ、「そこ」は決して見せないように。
ギャラリーが、息を飲む。
そのまま、両足から水着を引き抜き…
二人の足元へ、投げ落とした。
引き寄せられるように、視線が動く。
そして、無言のまま、視線はこちらへ戻ってくる。
私は体をくねらせながら、左腕で陰部を隠す。
流し目。
浜本が、ボウっとした表情で私を見ていた。
太ももを交差させ、腰を引く。
両手を使い、今度はブラトップを上へずり上げていく。
左腕で胸元を隠しながら、右手で水着を引き抜く。
腰を揺らしながら、右手で水着を掲げる。
軽く振ってから、鳥越の顔にブラトップを乗せる。
取り除こうとした鳥越の腕をそっと掴み、静止する。
そのまま、隣にいる浜本へと視線を移す。
惚けたように私を見上げるその顔を、指先でなぞる。
「あっ…」
声を上げそうになった浜本。
私は、彼女の唇に人差し指をあて、首を横に振った。
頷く、浜本。
陰部を隠す、私の右手。
それを、一瞬だけ、ずらした。
チラっと、私の顔をみた浜本。
再び、「そこ」へと視線を注ぐ。
私は、再び右手をずらした。
今度は2回。
再び、私の顔を見る浜本。
『もっと見せて』
そう言っているのが分かった。
でも、見せない。
私は顔を横に振った。
代わりに、浜本の右手を掴む。
そのまま、私の太ももへと押し当てる。
ゆっくりと。
上へと、動かしていく。
「そこ」へと、確実に近づいていく、浜本の手。
目を見開き、唾を飲み込む浜本。
触れるか、触れないか。
期待に潤んだ目をする浜本に、私は…
ブラトップ。
鳥越の顔に乗ったそれを摘まみ上げる。
そのまま、浜本の顔に乗せる。
鳥越と目が合う。
目隠しをしたことに対する、非難の視線と。
その奥にある、期待。
今度は、背中を向ける。
左手で胸元を隠したまま、お尻を突き出す。
腰を左右に揺らしながら、右手で「そこ」を隠し続ける。
『見たいの?』
目で、問いかける。
鳥越。
戸惑っている。
私は、鳥越から見えないであろう角度にお尻を向けてから、右手を離した。
再び、元の位置に戻る。
『見たいんでしょう?』
再び、問いかける。
強情な鳥越は、まだ頷かない。
今度は、逆方向にお尻を向ける。
新田から…ご主人様から、見える位置。
見てください…
そんな思いを込めながら。
右手を離す。
再び、元の位置に戻る。
鳥越の目。
次は自分に見せてくる。
そう思っている目だった。
『正直になれなかったキミには、見せてあげない』
私は床に落ちたボトムスを拾い上げた。
そして、浜本の顔からブラトップを摘まみ上げる。
ギャラリーに背を向けながら、水着を身につけていく。
「はい、終了!」
浜本の代わりに、新田が告げた。
畑川が、部屋の明るさを戻す。
達成感と、急にこみ上げてきた羞恥心を隠すように、私はそそくさとビブスを拾うのだった。
次は、三井の番だった。
先ほどのオシオキのダメージが残っているのか、疲れた表情をしている。
しかし、その目には妖しい光が宿っていた。
負けない、という、三井の強い覚悟が伝わってくるようだった。
四つんばいになる、三井。
そのまま、新田の方へと這っていく。
まるで甘えるかのように、頭を新田の足に擦りつける。
そして…
両手で、新田の靴下を脱がせ始めた。
新田の裸足。
そのつま先に、舌を這わせる三井。
「うわ、マジ?」
驚く浜本。
蔑んだ目で眺める鳥越。
赤い舌が、チロチロと蠢く。
くすぐったそうにするものの、満足げな笑みを浮かべる新田。
次。
「きたきた」
楽しげに、右足を差し出す浜本。
靴下を脱がせ、舌を這わせる三井。
「アハハ!なんか、変な感じ!」
足を持ち上げ、踵から舌を這わせていく。
くすぐったそうに身をよじる浜本。
一方、三井は顔をしかめていた。
「でも、なんかいいかも…」
すっかり、楽しんでいる浜本。
「ほら、もっと舐めなさい?」
Sっ気を発揮し始める浜本に、足の裏で何度も舌を往復させる三井。
最後は、鳥越。
目を細め、無言で右足を差し出す。
恭しく、靴下を脱がせていく三井。
2学年も下で、しかも自分の取り巻きである女の子たちに跪きながら。
汗や汚れに塗れた場所を、舌を使い、清めていく。
「ばっちいねぇ。ほら、もっと丁寧に、心を込めて舐めな?」
指と指の間。
特に汚れの溜まっていそうな場所を丹念に舐めとっていく。
派手さはないが。
負けたくないという、彼女の意思を感じさせられた。
私も頑張ったつもりだが、三井に勝てるかどうか不安がよぎる。
あとは、藤崎次第だった。
最後は、藤崎。
ただ、様子がおかしかった。
オドオドとした藤崎。
視線は泳ぎ、膝は震えていた。
考えてみれば、三井が新田の足を舐め始めたときから、何となく変だと思ったのだ。
「ほら、早くしなよ」
浜本の言葉に、小さく頷くものの、いっこうに始めようとしない。
もしかしたら…
藤崎も、三井と同じことを考えていたのかもしれない。
足舐め。
でも、先に三井にされてしまった…
おそらく、まだ考えはまとまっていないのだろう。
しかし、何かしなければ…
と。
何かが、目に入ったらしい。
水性ペン。
さっき、浜本が三井のお尻にラクガキをしたときのやつだ。
何かを閃いたのか、テーブルの上に置かれたそれを掴んだ藤崎。
そして…お尻で挟んだ。
「あ、私のペン!」
浜本が、非難交じりの声を上げる。
背を向けた藤崎が、そのままソファへと近づいてくる。
お尻で挟んだペンを見せつけるように、1年生たちの前でお尻を振る。
「これで、ラクガキしろってこと?」
新田の言葉に、藤崎が頷く。
「ホントは、触りたくないんだけど…」
言いながら、ペンを手に取る新田。
そのままキャップを外し、臀部に何かを書き始める。
『見られてよろこぶヘンタイです』
書き終わり、ペンを鳥越に渡す新田。
「うーん、なんて書くかな…あ、そうだ」
『風香様のマゾ犬』
「これでよしっと。はい、玲奈」
ペンを受け取る浜本。
藤崎が、お尻を差し出す。
「私のペンを、汚い尻で、挟むな!」
「ヒャンッ!」
臀部を、思い切り平手打ちする浜本。
藤崎が、思わず声を漏らす。
既に、両方の臀部にはラクガキが。
太ももにペンを伸ばす浜本。
『負け犬ポニーの4ゴーです』
反対側の太ももに…
『一度も勝てないザコです』
お尻でペンを挟まれたのが、よっぽどイヤだったのか…
乱暴に、走り書きをするのだった。
「はい。そこまで!」
鳥越が告げる。
再び、浜本にお尻を叩かれる4号。
すっかり、しょげかえってしまった。
藤崎には気の毒だが、彼女に負ける気はしなかった。
「じゃあ、2回目の判定ね。いくよ?いっせーの…」
新田は、三井を。
浜本と鳥越は、私を指差した。
2回目も負けなかった。
ホッとするものの、胸に痛みが走る。
新田。
今回も、私を指差してはくれなかった。
「はーい、オシオキは4号にけってーい!」
浜本の声に、藤崎がうなだれた。
「風香、オシオキの内容は?」
「うん…」
鳥越が、ポケットからスマホを取り出す。
「ねえ、4号。この前のお散歩、楽しかったねぇ」
スマホをかざしながら。
「お散歩?って、なに?」
浜本が不思議そうに尋ねる。
「ワンちゃんの恰好をした4号と一緒に、サークル棟でお散歩したんだよ」
「えーっ、何それ!聞いてない!」
「ごめんごめん。あんまり人数が多いとバレちゃうリスクがあったから。今度は玲奈も一緒にやろうね」
「うん…」
仲間外れにされたと思ったのか、浜本が少し悲しそうな顔をしていた。
「次回は、この中から玲奈の好きな子を連れてお散歩させてあげるからさ」
「え、いいの?」
途端に表情が明るくなる浜本。
裏表のない、浜本らしい反応だった。
「で…4号。あの時のゴホウビ、あげられてなかったよねぇ」
「ゴホウビ?」
「うん。私に顔を踏まれながら、靴下の臭いを好きなだけ嗅がせてあげるって約束したんだ」
「えぇ…」
さすがの浜本も、若干引いているのが分かった。
「あの時の約束、今、叶えてあげるね。ほら、ゴロンってしな、ワンちゃん?」
藤崎。
不安そうに、その場にいるメンバーの顔色を窺う。
見られるのが、恥ずかしいのか。
「今更、何を恥ずかしがってんの。ほら、早くしな」
新田。
藤崎が、頭を鳥越に向けた状態で仰向けになる。
「ほら、ワンちゃんの大好きな靴下だよ?あの日も、クンクン、クンクンって、一生懸命嗅いでたもんね?」
両足を上げる鳥越。
「私に顔を踏まれたくて、靴下の臭いを嗅がせて欲しくて、ゲームも頑張ったんだもんね?ほら、ゴホウビだよ?」
両足を、藤崎の顔に下ろす。
足の裏で、藤崎の顔が覆われる。
「ほら、臭い、嗅いでいいよ?あの日みたいに。皆が見てるからって、遠慮しなくていいんだよ、ワンちゃん?」
おずおずと。
鼻を鳴らし始める、4号。
「うわぁ。ホントに嗅いでる…」
浜本。
若干引き気味ではあるものの、視線は釘付けになっている。
太ももをモジモジさせつつ、4号を見下ろしていた。
「そうだ。せっかくだから、映像も皆に見てもらう?ワンちゃんになって通路をハイハイしてる4号の姿をさ」
藤崎が、顔を横に振る。
それでも、鼻息は荒くしたまま。
「ええ?イヤなのぉ?」
藤崎が、縦に顔を動かす。
「もったいないなぁ…でも、次また負けたら、皆に見せるからね。キミに拒否権はないよ。分かった?」
藤崎が、小さく頷いた。


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