ポニーガールとご主人様 第四章(6)プレイバック

藤崎たちとの合同調教から二週間後。
私たちは、再び例のホテルに来ていた。

今日は、藤崎と三井はいない。
イスに座った新田と、その足もとで正座する1号と2号。
「それじゃ、再生するよ」
テーブルの上に置いたノート型パソコン。

ディスプレイに表示されたファイルの一つを、新田がダブルクリックする。
動画ソフトが起動し、映像が映し出される。

つい先日、ここで行われた合同調教の様子。
乗馬服を着たふたりが、先輩ふたりを『可愛がる』様子が映し出されていた。

あの日、撮った映像。
それらを藤崎が編集し、ひとつの映像作品として新田へ提出したのだ。
今日は、その作品を3人で鑑賞するために集まったのだった。

映像の中で、新田と藤崎が楽しそうに話している。
その下には、彼女たちにイスとして扱われている私と三井。

乗馬服を着た後輩たちと、水着のような衣装の私たち。

その時は、あえて考えないようにしていたが…
こうして客観的に見てみると、なんともミジメだった。

くつしたのニオイあてゲーム。
残酷な笑みを浮かべている後輩たち。
足もとで正座をする三井の顔に、容赦なく右足を擦りつける。

後輩たちに揶揄われながら、一心不乱にニオイを吸い込む三井。
彼女の取り巻きが見たら、悲鳴をあげるのではないか。
それほど、映像の中の三井は滑稽で、憐れだった。

そして、そんな様子を横で不安そうに眺める私。

答え合わせ。
『よく分かったじゃん!さすがアッキーだねぇ』

三井の頭に足を乗せる藤崎。
そんな状況でも、褒められて嬉しそうにお礼を述べる藤崎。
『じゃあ、次は1号、オマエの番な』
私の番だ。
正座をして、アイマスクをつける。
まずは、ひとり目。
新田の右足を、緊張しながら両手で受け止める。

スーッ…
スーッ…

あれは、私なのだ。
汗と汚れに塗れた、新田のくつした。
それを顔面に押し付け、ニオイを嗅いでいるのは…

新田の横で、蔑むような目で私を見下ろす藤崎。
悔しいが、何もできない。
同じマゾヒストの藤崎。
でも、乗馬服を着ている。
そんな彼女に、私は歯向かうことなどできないのだ。

そして、ふたり目。
本来なら、藤崎の番だった。
笑いを堪えながら、画面外に向けてジェスチャーで指示を出している。
そして、手招きする。
呼ばれたのは、さっきまで彼女のくつしたを嗅いでいた女。

藤崎が、少し横にずれる。
開いたスペースに、三井が座る。
三井に促す、藤崎。
新田も、呆れつつも笑っている。
『じゃあふたり目ね。誰だろー?1号ちゃんに、分かるかな?』
藤崎の言葉に合わせ、三井が右足を延ばす。
最初は少し戸惑っていた三井だったが、今はもう笑みを浮かべていた。

一方、何も知らない私。
顔を踏んでいるのが三井の足とは知らず。
両手で、大切そうに三井の右足を持つ。
そして、それを顔に押し付け…
スーッ…
スーッ…

三井のくつしたのニオイを、おもいきり吸い込んでいる。
三井の顔。
私を見下しながら、酷薄な笑みを浮かべていた。

悔しさが、よみがえる。
憎きライバルに、顔を踏まれているのだ。
それだけでなく、汚れてニオイを放つくつしたを嗅がされて…
3人に嗤われながら、ニオイを嗅いでいる私。
屈辱で、体が熱くなる。

場面が切り替わる。
ベッドに腰かけたご主人様たち。
そして、四つんばいのペット2匹。

藤崎が、履いていたくつしたを脱ぎ…
部屋の奥へ放り投げる。
取ってこいの号令とともに、這い進む2匹。
滑稽な姿。
しかし、どちらも必死の形相だった。

「ほら見て、2号。アンタの先輩がアンタの同期のくつしたを咥えてハイハイしてるよ?」
「は、はい…」
顔を赤らめつつ、食い入るように画面を見つめる畑川。
「アンタも、やってみる?自分のくつしたを放り投げて、こいつらに取ってこさせるの。とっても面白いよ?」
「い、いや、その…」

場面が切り替わる。

勝負に負けた三井が、バスタオルの上で仰向けになる。
画面が、彼女の下腹部へと寄っていく。
三井の陰毛。
彼女の気性を表しているかのように、黒々と生い茂っている。
それを、セーフティハサミでカットしていく、私。

悔しそうに下唇を噛む三井に、嗜虐心を刺激される。
ただ、この後、自分も彼女から同じ目に遭わされるのだ。

畑川。
やはり、画面から目を離せないでいた。
クローゼットの中で、想像を膨らませながら聞き耳を立てていた彼女。
思い描いていた光景が、実際に目の前で繰り広げられているのだ。

再び、場面が変わる。
今度は、新田がくつしたを脱ぎ始め…
それを、遠くへ放り投げる。
ご主人様からの寵愛を求め、あるいは叱責を恐れる、犬2匹。

「ねえ、2号。分かってるんだからね?」
「…えっ?」
「アンタも、参加したいんでしょう?」
「い、いや、でも、私、先輩に対してそんなこと…」

「ぷっ!アハハ!そっちじゃないって!ああやって、床に這いつくばりながら、ご主人様の身につけていたものを取ってこさせられるの。誰かさんみたいにね」
「あうっ…」

「でも、そうしたら、藤崎センパイにバレちゃうねぇ。アンタがマゾだってこと。マゾだってバレて、見下されながら、くつしたを取ってこさせられるの。『ほら、麻友ちゃん、私のくつした、取ってきな?』ってね。それとも、アンタも1号たちみたいにマスク付ける?」
「そっ、それは…」

「藤崎センパイに、なんて呼ばれたい?麻友ちゃん?それとも2号?選ばせてあげる」
「う、うぅ…」

場面が切り替わる。

バスタオルの上で仰向けになる私。
今度は、私が三井に剃毛される番だった。
鼻息。
目を見開いて画面を睨みつける畑川。
正座をしながら、太ももを擦り合わせている。

それを目ざとく見つける新田。
映像を、一時停止する。

「2号、どうしたの、モジモジしちゃって?」
「あ、いえ、その…」
「オシッコ、したいのかな?」
「い、いえ、そういうわけでは…」

「ふふっ。貞操帯、外して欲しい?」
「えっ」
驚きの表情をうかべ、新田を見上げる畑川。

「外して欲しいの?欲しくないの?どっち?」
「はっ、外してほしいです!」
「だったら、服脱ぎな」

立ち上がる畑川。
恥ずかしいのか、私のほうをチラッと見る。
しかし、グズグズしていると、新田の気嫌を損ねると思ったのだろう。
その場で衣服を脱いでいく。

ブラを外し、身に付けているのは、貞操帯のみ。
恥ずかしそうに、腕で胸を隠している。

「ほら、こっち来な」
「はい…」
イスに座る新田。
その前に、畑川が立つ。

「ポーズ、とりな」
「え、と…」

少し、考えるそぶりをした後。
両手を、頭の後ろで組む。
そして、ゆっくりと腰を落とす。
中腰のまま、媚びるような視線で新田を見つめる。

「そうそう。よく覚えてたね。エライぞ」
「あ、ありがとうございます…」
「それじゃ、腰、つき出しな?」

新田が、自分の首元へと手を伸ばす。

ネックレス。
貞操帯の鍵。

首から外したそれを、畑川に見せつける。
目の前でユラユラと揺れるそれを、熱いまなざしで見つめる畑川。
彼女の脳に刻まれた回路。
スイッチを押されたことで、ドーパミンが噴き出す。

「ご主人様の言うこと、ちゃんと守るんだよ?もし守れなかったら…分かってるよね?」
カクカクと、首を上下に振る忠犬。
手に持った鍵を、南京錠へと差し込む新田。
その手元を凝視する畑川。

カチッ…
南京錠が外れる音。

「ほら、せっかく鍵を外してあげたのに、ボサッと突っ立ってていいのかな?」
その言葉に、慌てて貞操帯に手をかける畑川。
震える手で、カチャカチャと。
鉄の下着を脱いでいく。

「2号?」
ようやく貞操帯を外した畑川に、新田が呼びかける。

「は、はい!なんでしょう!」
「命令。正座をして、床に額をつけなさい」
「え…わ、分かりました」

命じられるまま。
1年生の前で土下座の姿勢になる、忠実な2年生。
「私がいいって言うまで、そのままね。床から頭を離すんじゃないよ」
「ふ、ふぁい…」

新田が、映像の再生ボタンをクリックする。
画面が再び動き始める。

仕返しができることが、嬉しくてたまらないといった表情の三井。
そんな三井を睨みつけることしかできない、悔しそうな私。

好奇な視線と、ご主人様たちからのヤジに晒されながら。
私のアンダーヘアは、三井にカットされていく。

流れる音声を頭上に感じながら、畑川は土下座を続ける。
いつの間にか、新田は畑川の背に両脚を乗せていた。
まるで足置きのような扱い。

ふーっ…
ふーっ…

畑川の、荒い息遣い。
ぞんざいな扱いを受けていることにすら、畑川は昂っているようだった。

「あーあ、中谷センパイのアソコの毛、三井センパイに刈られて、どんどん短くなってるよ?」
畑川に言い聞かせるように実況する新田。
耳まで真っ赤にした畑川。

「シェービングクリームをたっぷりと塗りつけられて…三井センパイが、カミソリで剃ってる…ほら、聞こえる?ジョリッ、ジョリッ、って…」
「き、聞こえ、まふ…」
畑川に画面を見られてはいないとはいえ、新田の実況に私は羞恥心を覚える。

「中谷センパイのお毛々が、どんどん剃られて…あーあ。あんなに立派だった大人オマ〇コが、すっかり赤ちゃんオマ〇コになっちゃった」
新田が笑う。

「映像、見たい?」
「見たい、です…」

「ふぅん。見たいんだぁ」
「は、はい…」

「この映像が終わるまで、ちゃんとそのままの姿勢でいられたら、見せてあげてもいいよ」

ふーっ!
ふーっ!

「鼻息、荒くなってんだけど。キモ」

ふーっ!
ふーっ!

3度目の勝負。
負けた三井が、お尻を突き出している。

画面は二分割され。
右半分には、恥ずかしそうな表情の三井。
左半分には、彼女のお尻が映し出されていた。

白くて大きい、形のいいお尻。
その奥には、アナルが映っていた。

後輩たちに揶揄われるたび、三井の表情が変わる。
と同時に、お尻の穴も、ヒクヒクと反応している。

こんな、映像…
女としての、こんな恥辱。
こんなものが、もし流出したら…

ゾッとする。

人には絶対に見せられない姿を、カメラの目で晒しながら。

『ほら、章乃ちゃん、謝りな?お子ちゃまのクセにオトナのフリしてごめんなさい、って』
『お…お子ちゃまのクセに、オトナのフリして…ご、ごめんなさい…』

『あきのちゃんは、赤ちゃんだから、難しいことは分かんないよねぇ?』
『そっ、そうでちゅ、あきのは赤ちゃんだから、むずかしいこと、わかりまちぇん』

『あきのちゃんは、今年でなんさいになったのかな?』
『あきのわぁ、21さいになりまちたぁ』

赤ちゃん言葉で話す、三井。

三井は、この映像を観たのだろうか。
観たとして、耐えられるのか。

『最初は誰にしよっか。恵那ちゃんがいい?それとも一華ちゃん?一年生でもいいよ?浜本?あ、鳥越にしよっか』

藤崎に揶揄われているとも知らず、三井が狼狽する。

『えーと、まずは恵那ちゃんにしよっか。今日はバイトじゃなかったはずだし、出てくれるかな』

小嶋恵那。
三井の取り巻きのひとりであり、藤崎と畑川の同期でもある。

感情を剥き出しにして抵抗する三井。
彼女の強烈な羞恥心が、映像を通じて伝わってくる。
共感性羞恥。
私と、おそらく畑川も。
でも…

映像を観ながら笑う新田。
同じ映像でも、同じ音声でも。
感じ方は、こうも違うのか。

後輩たちに揶揄われながら、地団太を踏む三井。
彼女の必死な表情が、新田たちの嘲笑が、私の被虐心を刺激する。
こんなこと、絶対にされたくない…
意思とは裏腹に、自己投影してしまう。

『三井センパイの罰ゲームはここまでね』
三井の敗北宣言が終わり…

『ゲームをする代わりに、1号にも何かさせようよ』
場面は変わる。

『ほら、この前やったやつ。ガニ股で、左右に揺れるダンス踊ってたじゃん。あれ、やりなよ』
後輩たちに促されながら、画面の私はポーズをとる。

そして…
『いっちにっ、さんしっ』

私を心底バカにしたような、蔑むような笑みを浮かべる三人。
彼女たちに囃し立てられながら、私は左右に揺れる。

『女として、人として終わってるね。いくらマスクをしてるからって、よくそんな情けない姿を晒せるね』
『ほら、恥ずかしがるな!目ぇ逸らさないで、カメラを見ろ、1号!』

同年代の女の子たちに嗤われ、詰られながら…
羞恥心を堪え、カメラを見つめながら揺れる、全頭マスクの女。
あれは、私なのだ。
現実を突きつけられる。

と。
画面を見つめながら、新田が私に語り掛けてくる。

「ねぇ1号?こんな恥ずかしい姿、2号に見られたら、ゲンメツされちゃうんじゃない?」
「そっ、それは…」
「ふふっ。コイツがどんな反応するか、楽しみだねぇ」

そう言いながら、床に這いつくばる畑川を見下ろす新田。

と。
畑川の背に乗せた足を降ろし。
椅子から立ち上がる。
土下座を続ける先輩のそばでしゃがみ込む。

真っ赤になった畑川の耳。
口を寄せる。
そして…

「ほらほら、頑張ってください、畑川センパイ。情けなーい中谷センパイの映像、見たいんでしょう?」

ふーっ!
ふーっ!

「大好きな中谷センパイの赤ちゃんオ〇ンコとぉ、みっともないダンスを見てぇ、気持ちよーくなっちゃいましょうね、センパイ?」

ふーっ!
ふーっ!

畑川の情けない姿があまりに滑稽だったのか。
堪えきれず、新田が噴き出す。

ひとしきり笑った後、椅子へ座り直す。

『それでね、実は別のパターンもあるんですよ』
画面の中の、新田の言葉。

画面上の私は、学生証を顔の近くに寄せて…
『いっちにっ、さんしっ』

藤崎と畑川の掛け声に合わせて、左右へとステップを踏む、ガニ股の女。

『やっ、やばやばやばっ…やばいってぇ!けっ、けしてぇ!けしてくださいっ、おね、おねがいしますぅ~』
私のマネをする、新田。

『逃げられると思うなよぉ?いつか絶対、1年生のグループチャットで晒してやっからなぁ?』

こんな姿、もし馬術部のみんなに見られたら…

全頭マスクで顔は隠れているが、見る人が見れば分かってしまうかもしれない。

デジタルタトゥー。

馬術部のエースから一転、部の最下層へ真っ逆さま。

そんな、私の一生を大きく左右しかねないものを、新田に握られている。

彼女の機嫌ひとつで、それは晒されてしまうかもしれない。

いや。

彼女は晒すと言った。

とすれば、本当に晒されてしまうのかもしれない。

『ほら、どんな目で見てる、アンタのこと?ほら、目ぇ逸らすな。ちゃんと見て、自覚しろ?オマエの立場が、地に落ちていくところを。どうしようもないヘンタイだって、知られたところを』

後輩たちに知られてしまった場面を、想像する。

敬意は消え失せ。
揶揄い、嘲笑。
目の前で、あのダンスを強要させられる。

『断るんですかぁ。マゾペットのクセにぃ?』

『いいからやれよ、センパイ』

悔しがりながらも、私は例のポーズを取り…

『アハハ!いっちょ前に悔しがってる!』

『あーあ、ホントにやってるし』

『顔、真っ赤になってますよ。センパイ?』

『おっかないセンパイだと思ってたけど、カワイイとこあんじゃん』

『後輩たちの前でこんなことして、恥ずかしくなんですか?プライドってもんがないの、センパイ?』

後輩たちの無礼極まりない言葉に、私は…

『ほら、恥ずかしくないのかって聞いてるんですよ?ちゃんと答えなきゃだめでしょ、センパイ?』

『はっ…恥ずか、しい、です…』

『恥ずかしいです、だってぇ』

響き渡る笑い声。

『センパイなんだから、そんな丁寧な言葉じゃなくていいんですよ?いつもみたいに、堂々としててくださいよ』

『ま、センパイがそうしたいっていうなら、話は別ですけど』

『う、うぅ…』

いつか訪れるかもしれない、未来。

子宮が、むずむずと疼く。

あまりにも倒錯した、非現実的な状況。

背筋の凍るような情欲が、全身を焦がしていく。

「楽しみだねぇ、1号」
新田。
画面ではなく、私を見ていた。

見抜かれていた。
私のことなど、全てお見通しなのだ、この子は。

「想像してたんでしょ?分かりやすいねぇ、アンタは」
そう言ってから、足もとの畑川へと視線を移す。

「ねえ2号。アンタの先輩は、1年生たちに映像を晒されるところを想像してコーフンしちゃったんだってさ。どう思う?」

ふーっ!
ふーっ!

「そんなことになったら、先輩としての威厳はおろか、1年生たちにケーベツされちゃうのにねぇ」

ふーっ!
ふーっ!

「アンタよりも年下の後輩たちに、バカにされたり、命令されたり、揶揄われたり。そんな無礼極まりない後輩たちに怒るどころか、ヒクツな態度でヘコヘコする中谷センパイなんて、見たくないよねぇ」

ふーっ!
ふーっ!

「もしかして…見たいの?大好きな中谷センパイがナマイキな後輩たちに媚びてるところ、見たいんだ?」

ふーっ!
ふーっ!

「いいよ、見せたげる。アンタが決してできないこと、許されないことを、当たり前のように中谷センパイにやってる後輩たちの前でさ。なっさけない顔したコイツを見ながら、同じようになっさけない顔してるアンタを見て、後輩たちはどう思うだろうね。

『あー、もしかして、畑川センパイもマゾなんですかぁ?だったらぁ、中谷センパイと一緒にイジメてあげましょうか?』

『ほら、イジメて欲しかったら、私たちにお願いしてみてください』

『畑川ぁ、黙ってちゃ分かんないだろ?アハハ、先輩を呼び捨てにしちゃった』

『とりあえず、そこで正座して見ててくださいね、マゾセンパイ?』

よかったね、イジワルな後輩たちで。いっぱい悔しがらせてもらいな?」

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