「ほら、皆さんの前で待機のポーズしな」
新田が言葉を放つ。
私たちのご主人様として。
この食事会の、主催者として。
全身が悦びで震える。
ご主人様に命令してもらえることに。
ご主人様のお役に立てることに。
後ろ脚で立ち、前脚を胸もとで揃える、3頭のポニー。
「これが、待機のポーズ…?」
「ホントに犬じゃん」
「プライドはないの?どこまでも恥知らずな人たち…」
「なんか、カワイイかも…」
「この子たちが、本日の主役、ポニーちゃんだよ」
浜本の声。
「大の大人が、情けねぇ…」
溝口が吐き捨てるように言う。
「お前らもお前らだ。くだらねぇことしてんじゃねえよ」
ジッと、新田を見据えて言い放つ。
「それで?馬術の勉強会だっていうから来たんだけど。勉強会どころか、ヘンタイどもの遊びに付き合わされてるだけじゃん。ばかばかしい」
吐き捨てるような口調の溝口。
「確かに。ねえ、新田。私たちを呼んだ理由って、コレを見せるためだったの?」
内海。
私たちを、変なことに巻き込まないでよ。
目が、そう訴えていた。
「畑川先輩も、畑川先輩です。ご存じだったんスか、コレ?」
非難がましい目を、畑川に向ける。
「いや、まあ、ね」
畑川が狼狽える。
「でもね、これには意味があって…」
「どんな理由ですか?教えてください」
なおも追及する内海。
見かねた鳥越が、助け舟を出す。
「内海、落ち着きなよ。これからちゃんと説明するから」
腕を組みながら、鳥越を見つめる内海。
「ほら、先輩方も仰っていたでしょ?食事会を行うことの意味を。覚えてる?」
「もちろん。同期の結束を強めて、モチベーションを高める。だろ?」
「そうそう。騙す形になっちゃったのは申し訳なかったけどさ、みんなと一緒に楽しいことをしたかったんだよ」
「でも…じゃあ、いったいこれから何をしようってのよ?」
問われた鳥越に、視線が集まる。
そんな鳥越は笑みを浮かべ…
「それは、私たちのリーダーが説明するわ」
手で、一人の女の子を示す。
「新田…」
内海が、意外そうな表情を浮かべる。
みんなが見つめる中、新田が口を開いた。
「これから、ここでレースをするから、皆にはそれを観ていて欲しいの」
「レース、って…?」
「そのままの意味だよ。お馬さん同士で、タイムを競い合うの」
「お馬さんって、もしかして…」
「そう、この子たち」
そう言って、私たちを顎で示す。
「畑川先輩たちを乗せてね」
顔を見合わせあう1年生。
「お前たち…いつも、こんなことしてるのかよ?」
呆れ顔の溝口。
「こいつらだって、どうせお前らに脅されてんだろ。どんな弱みを握られてんのかは知らないけど」
「それが、そうじゃないんだなぁ」
待ってましたと言わんばかりの浜本。
「この子達は、自分の意思でこうしてるの。脅してるわけじゃないよ」
「はぁ?そんなわけねぇだろ。誰が好き好んで、こんなカッコ…」
「言葉で説明しても、分かってもらうのは難しいと思うし。だから、こんなものを用意しました」
そう言って、鳥越がポケットから何かを取り出した。
リモコン。
それを天井に向けて、スイッチを押す。
ゆっくりとスクリーンがおりてくる。
不思議そうに、あるいは怪訝な表情でスクリーンを見つめる1年生。
「今から流す映像を見てもらえれば、みんなも分かるよ。この子達が、どうしてこんな恰好をしているのか。どうして、私たちの命令に従順なのか。しかも、自ら望んで、ね」
新田の、余裕に満ちた表情。
いつもと違う彼女の様子に、溝口はどこか気圧されていた。
鳥越が、リモコンのスイッチを押す。
数秒後、暗いテクノポップが流れ始める。
しかし、画面は暗いまま。
やがて…
画面に白抜きの文字が浮かび上がる。
『1号の場合』
文字が消え、一人の女性が映る。
今の私たちと同じように、待機のポーズをしたまま、こちらを見ている。
顔にはモザイク。
真っ赤な、ボンデージ。
『1号、自己紹介しな』
新田の声。
『みなさん、こんにちは。●●●●です』
合成音のような、甲高い声。
●●で大学の●年生で、馬術部に所属しています』
個人を特定できる情報は、効果音で上書きされていた。
馬術部、というワードに1年生たちが反応する。
「馬術部?ってことは、もしかして…」
「シッ、ちょっと、静かに」
新田の質問に対し、女は従順に答えていく。
『う、馬として扱われるのが、すき、です…ご主人様を乗せて走ったり…あとは、鞭で、お尻を叩いていただくのも、すき、です…』
たどたどしく、どこかうわずった声。
『そうなんだぁ。じゃあさ、好きになったキッカケとか、いつからとか、聞きたいな』
『はい…こ、子どもの頃、アニメでお馬さんごっこのシーンが流れて…なぜかは分からないんですけど、その映像が頭から離れなくなっちゃって…その時から、馬になって誰かを乗せたり、競走させられたりすることに憧れてました…』
誰にも語ったことのなかった、ヒミツ。
性癖や、Mに目覚めたキッカケ、好きなプレイなどを告白させられていく。
『じゃあさ、もしこの映像を見てるみんなに、1号の正体がバレちゃったら…どんなこと、されたい?』
『そっ、それわぁ…』
想像したのか、女は恥ずかしそうにモジモジとし始める。
『馬として、扱ってほしいです…苗字じゃなくて、●●って、下の名前で呼んで…それで、背中に乗せて、走るの…鞭でお尻も、叩いてほしい…』
『あらあら、そんなに?欲張りさんだね、●●。でも、そんなことまで喋っちゃっていいの?この映像、1年生の前で流すっていったよね?みんな聞かれちゃうよ?』
『そ、そんなの…だって、ご主人様が、言えって…』
『なぁに?私のせいだって言いたいの?』
『あ、ち、ちがっ…ご、ごめんなさい!』
『悪い子には、オシオキしないとね。ほら、いつものアレしてあげるから、お尻を出してください、●●センパイ?』
「せ、センパイ!?」
視線が、私に向けられる。
「ウソでしょ…」
「やっぱり…」
さっきまでの無遠慮なものではなく、どこか様子を窺うような、遠慮がちなものだった。
場面が切り替わる。
床を這う、女。
口には、棒状のものを横に咥えていた。
部員たちにとって、見慣れているもの。
乗馬鞭。
仁王立ちした新田の前で、止まる。
媚びるように、お尻を振りながら。
女の口から乗馬鞭を取った新田。
顎で仕草をする。
女が、よろよろと立ち上がる。
新田に背を向けるようにして立ち、、机に両手をつく。
そのまま、お尻を突き出した。
ボンデージからこぼれ出る、白い、丸みを帯びた柔肌。
女は、蠱惑的に腰を揺らす。
左右に、上下に。
時に、円を描くように、ねちっこく動く。
それは、服従を示しているようにも、挑発的に誘っているようにも見えた。
鞭で、お尻を叩いていただくのも、すき、です…
先ほどの、女の言葉。
目の前の映像は、それが真実であることを如実に語っていた。
女の背後に、鞭を構えた新田が立つ。
そこに、鞭がピタピタと触れた。
これから訪れる出来事を、伝えているかのように。
振り上げられた鞭。
そのまま、勢いよく振り下ろされる。
パシッ!
肉を打つ音が、響き渡る。
『あぁぁっ!』
お尻を揺らしながら、身悶えする女。
『動かないでください、●●センパイ』
ドミナは冷酷に告げる。
再び、鞭が振り下ろされる。
パシッ!
そこには、一切の躊躇いもなかった。
『くぅっ、んっ…!』
『だから、動くなって言ってるでしょう?』
体制を崩した女の腰が、鞭で押し戻される。
『次、また動いたら、もう叩いてあげませんよ?』
『ごっ、ごめんなさい…』
パシッ!
切なく悶えながらも、懸命に堪える女。
白いお尻には、三条の赤い線。
『よしよし、よくガマンできましたね、●●センパイ』
ピタピタと、鞭の先端でお尻に触れる。
『あ、ありがとうございます…』
肉を打つ乾いた音が響くたび、女は切ない声で鳴く。
女というよりは、雌と呼んだ方がいいかもしれない。
そんな、生々しさを孕んでいた。
1年生の視線。
スクリーンに釘付けになっていた。
一言も発せず、まるで呼吸すら忘れているかのように。
画面が暗転した。
それでようやく、息継ぎができたとでもいうように、ふぅっと息をついていた。
ふと、顔を見合わせた内海と大貫。
恥ずかしいのか、気まずさを誤魔化すように苦笑いする。
そして再び、目は画面に吸い寄せられていく。
『3号の場合』
映し出されたのは、黒いボンデージを着た女。
目の前で待機のポーズをしている3号に、1年生の視線が集まる。
視線に気づき、恥ずかしそうに身じろぎする3号。
その太ももを、浜本が鞭でペチペチと叩く。
『はーい、それじゃ、自己紹介してください?』
画面の中で、浜本の声。
1年生の視線が、スクリーンへと一斉に動く。
先ほどと同じく、顔にはモザイク。
1号と同じく、待てのポーズをしている3号。
モジモジしながら、カメラを見たり、俯いたりを繰り返している。
その様子が、いかにも自身なさげで、卑屈に感じられた。
『ほらほら、恥ずかしがってないで。みなさんに自己紹介してください、●●センパイ?』
名前を呼ばれ、女がハッとして顔を上げる。
『そんな顔しなくても大丈夫ですよ。顔も声も、モザイクで隠しますから。だから、安心してください?』
『う、うん…わかった…』
『ほら、大学名と学年、所属サークルを教えてください』
しばしの沈黙。
『●●大学●年、●●●●。馬術部に、所属している』
『私と同じ、馬術部なんですねぇ。でも、●年生ってことは、私よりも先輩ってことですけどぉ…なんで、後輩の私の前で、そんな格好してるんです?』
『こ、これは、その…』
『その?』
『い、言わないと、ダメ、か?』
『言いたくないなら、言わなくてもいいですけどぉ…その代わり、今日は可愛がってあげませんよ?』
『くっ…』
俯き、何かに耐えるように首を振る3号。
『こ、これは、私の、ユニフォームで…』
『ユニフォーム?』
『あ、あぁ…』
『馬術部では、そんなユニフォームなんて見たことないですけど?』
『ば、馬術部のユニフォームじゃ、なくて…』
『なくて?』
沈黙。
『ペ、ペット…』
か細い、声。
『え?何?聞こえないんですけど?』
『ペ、ペットとしての、ユニフォーム!』
『ペット?●●センパイは、ペットなんです?』
『う、うん…』
『ヒトなのに?ペットなんだ?』
『そ、そう、だよ…』
『ふぅん。誰の?』
『だ、誰のって…』
『誰のペットなのかな、●●センパイは?』
『そ、それは…その…』
『ほら、これを見てるみんなの前で、ちゃんと仰ってください?』
言いづらそうに、顔を上げたり、俯いたりを繰り返す。
『は、浜本、の…』
『私の?私のペットなんだ、●●センパイは?』
『あ、あぁ…』
『そうなんだぁ。センパイのクセに、後輩のペットなんですねぇ?変なのぉ』
クスクスと笑う浜本。
『でも、おかしくないです?』
『う、うん…』
『なんで、そんなに偉そうなの?』
『えっ?』
『私のペットなんでしょ?なんでご主人様のこと、呼び捨てにしてるんですか?』
『そっ、それは…』
『1年生のみんなに見られてるから?』
『そ、その…』
『今更、恥ずかしがってもしょうがないでしょう?これからもっと恥ずかしくて、情けない姿を見られるんだから』
『そ、そんな…』
『だから、いつもみたいに私のこと呼んでいいですよ、センパイ?そしたら私も、いつもの呼び方をしてあげますから』
喉を鳴らす、3号。
『それとも、恥ずかしい?いつもの情けない姿を、後輩のみんなに見られちゃうの』
『や、やっ…』
『恥ずかしいの、好きでしょ、センパイ?』
『あっ…』
『ほら、素直になりなって?』
『れ…れっ…』
喉元まで出かかった言葉が、なかなか出てこない。
女の狂おしいほどの葛藤に、私の体が共鳴する。
『れ…玲奈、さま…』
『なぁに、アッ●ー?』
1年生たちが、息を呑むのがわかった。
私の隣にいる3号が、がっくりとうなだれる。
私も、羞恥心で身体が震えそうだった。
『きょ、今日も、アッ●ーのこと、可愛がって、ください』
『ふふっ。ようやく素直になれたね、センパイ?』
後輩に対し、土下座をする3号。
『でも…素直になるまでに、ちょっと時間が掛かり過ぎかな?』
『えっ?』
『オシオキ』
『そんな!』
『お尻の穴』
『そ、それだけは!』
『ダーメ。それに、せっかく1年生たちが見てるんだからさ。アッ●ーがどんなこと好きか、もっとよく知ってもらおうね』
画面が切り替わる。
1年生たちから、悲鳴のような声が漏れた。
映っているのは、お尻を突き出す姿勢の3号。
ただ…
モザイクこそ掛かっているものの、ボンデージはおろか、下着すら履いていないのが分かった。
両手でお尻を掴み、押し広げている3号。
モザイクがなければ、彼女の蕾はまる見えになっていた。
『なぁにしてんの、アッ●ー。後輩のみんなに分かるよう、説明して?』
イジワルな声色で、3号に命令する。
『おっ、お尻の穴を晒しながら…はっ、敗北、宣言…ごっ、ご主人様に…ま、負けましたっ…』
『あはは!何言ってるかよくわかんないよぉ?いくら恥ずかしいからってさぁ、ちゃんと分かるように説明しなよ、センパイ』
恥ずかしそうに、身をよじる3号。
『まったく。後輩にこんなこと言われるなんて、ダメダメなセンパイでちゅねぇ、アッ●ーは?ほら、やりなおし!』
『●●の、恥ずかしい、お尻の穴を晒して…れっ、玲奈様に、敗北宣言を、してます…』
3号の体が、赤く染まっていく。
『●●の、い、卑しいお尻の穴、見てください…玲奈様に屈服した、負け犬アッ●ーのお尻の穴…』
『はい、やり直し』
『な、なんで!…ですか?』
『そんなに嬉しそうにしてたらさぁ、オシオキになんないじゃん』
『そ、そんな、嬉しそうになんて…』
『言い訳すんな?ほら、もっと媚びるように、情けなーい言葉でね。はい、テイク2』
浜本に指摘されるたび、その言葉はより惨めで自身を貶めるものへと成長していく。
悔しいのか、恥ずかしいのか。
やり直しをさせられるたび、身悶えする3号。
『はいダメー。やり直しー!』
『そんな!』
地団太を踏む3号。
『ちょ、ちょっと浜本!いい加減に…』
『あ、口ごたえ!反省してないんだ?』
『あ、こ、これは、違うんです!ご、ごめんなさい!』
『モザイク、とっちゃおっかなぁ』
『そ、それだけは、やめてください!』
『えーっ?アッ●ーの正体って、●●センパイだったのぉ!?』
『や、やめて…』
『あの●●センパイが、お尻の穴まる出しで、情けないセリフを言わされてるなんて!?ゲンメツなんですけど~』
『やめて!やめてってば!やり直す!やり直すから!』
『そんなに、顔、見られたくないんだ?』
『は、はい…』
『アンタ、プライドだけは高かったもんねぇ。1年生たちに見られたら、ズタズタになっちゃうもんねぇ』
『はい、それじゃ、テイク5、行ってみよっか』
いつ終わるともしれない屈辱。
赤く火照った3号の体は、汗と恥とで塗れていた。
画面が暗転する。
1年生の、ヒソヒソ声。
「プライドの高い先輩?」
「誰?」
「石田先輩かな?」
「でも、体型がちょっと違くない?」
「う~ん…じゃあ、三井先輩?」
「バカ!そんなわけないでしょ!」
「しっ!次、始まるよ!」
『4号の場合』
白いボンデージを着た女が映る。
さっきまでと違うのは、その構図。
画面左側には、正座をした4号が映っていた。
その視線の先には…
パイプ椅子に腰かけた鳥越の姿。
その右手には、乗馬鞭が握られている。
正座をした4号を見下ろしながら、告げた。
『それじゃ、自己紹介をしてください』
鳥越の、優しく語りかけるような口調。
それが却って、映像とのアンバランスさを醸し出していた。
『●●大学●年の、●●●、です…馬術部に、所属しています…』
正座をしたまま、女が自己紹介をする。
『今日は、●センパイにとって懐かしい映像を一緒に見ようと思って、持ってきたんです。見てくださいます?』
『は、はい…』
画面が切り替わる。
映っているのは、4号の背中。
その少し奥には、テーブルの上にノートパソコンが置かれていた。
鳥越の姿はない。
『最初は、●センパイがご主人様をしてた時の映像です』
鳥越の声。
パソコンの画面に、映像が映る。
ソファに座る私服姿の女。
その前で、犬のコスプレ姿をした女が待てのポーズをしている。
『ほら、取ってこい』
私服姿の女が、靴下を放り投げる。
コスプレ女が、這いながらそれを追いかけていく。
『今日は練習があったから、いつもより汚れてるし、汗もいっぱいかいたけど、●●ちゃんにとってはいいニオイなのかな?』
そして、アハハと笑う。
『このままだと、センパイのキレイなお顔が、足ふきマットになっちゃいますよ?ほら、ゴシゴシ、ゴシゴシ。ほらほら、逃げなくていいの?』
『う、うぅ…』
『顔を踏まれたことなんて、生まれてから一度もなかったでしょ?どう、悔しい?情けない?恥ずかしい?』
編集された声。
1年生は、彼女が藤崎だとは分からないだろう。
でも、この声の持ち主が、サディストの資質を持っていることは感じたはずだ。
『センパイにも、エラそうにしてた時期があったんですねぇ。どうです、懐かしいですか?』
テレビ画面を見つめる4号の尻を、鞭の先端でつつく鳥越。
『ご主人様をやってた頃の自分を見て、どう?この頃みたいに、またご主人様になってみたい?』
ざわつく1年生。
ノートパソコンに映るサディストと、目の前にいる4号。
同一人物だとは、にわかには信じがたいのだろう。
『そっ、それは…』
『でもね、鞭を見ただけでコーフンしちゃうご主人様なんて、威厳がないと思うんですよねぇ』
『うぅ…』
『これで叩かれるの、すっかり病みつきになっちゃったね、●ちゃん?』
言いながら、鞭の先端で太ももやお尻をつつく。
ノートパソコンには、乗馬服を着た彼女が、リードを握っている。
リードの先には、床を這う女性。
『ほら、レースが始まりますよ?●ちゃんが3号に乗って参加したレース。結果はどうだったのかな?』
彼女の転換点となった、レース。
鞭で、言葉で馬を追い立てる女性。
勝ちを確信し、口元に笑みを浮かべる。
しかし…
『●●センパイの、お馬さんとしてのデビューですね。思い出に残る、楽しいお散歩にしましょうね』
新田の、勝ち誇った笑み。
レースに負けてブザマな姿を晒す4号。
『ご主人様が分かったかって聞いてるんですよ、●センパイ?ほら、お返事は?』
『う、うぁい…』
傲岸不遜な態度から一変。
憐れな負け犬としての姿を晒す4号。
そして、彼女がマゾに目覚めるキッカケとなった出来事。
それを、後輩たちに見られている。
『いいよ。お望み通り叩いてやるから。ほら、2周目、スタートな』
『だっ、ダメ、ダメダメッ!みっ、見ないで!お願いだからっ!』
四つんばいのまま、硬直する女性。
そして…
ブルッ
ブルッ
全身を震わせる。
「う、うそ…今のって…」
大貫が、言葉を漏らす。
照れくさいのか、周囲の様子を窺いつつ、画面をチラチラ見る内海。
うわぁ、うわぁと言いながら、画面に目が釘付けの優菜。
溝口。
意外にも耐性がないのか、顔を真っ赤にしながら、画面を眺めていた。
フーッ!
フーッ!
4号の呼吸。
よほど恥ずかしいのだろう。
それもそのはず。
サディスト気取りから一転、マゾ女へと転落する様を、見られたのだ。
それでだけはない。
後輩に言葉で詰られながら、オーガズムに達してしまった姿も。
もう、言い逃れなどできようもない。
きっとマスクの下には、ゆでだこのように真っ赤な藤崎の顔があるはずだった。
画面が切り替わる。
椅子に座る鳥越と、その前で待てのポーズをする4号。
『ほら、とってこーい』
4号の放り投げた靴下を、口に咥えて取ってくる4号。
かつて、先輩に対して行っていたこと。
今度は彼女自身が後輩にされる側になったのだ。
『よしよし、いい子だね』
『ワンッ!』
レース前までの彼女とは打って変わり、従順な4号。
頭を撫でられて、嬉しそうな表情を浮かべる。
『ゴホウビ、あげる。ほら、ゴロンってして、●ちゃん』
『ワンッ!』
鳥越の足もとで仰向けになる4号。
その顔に、鳥越が両足を乗せる。
ふがふがと、靴下のニオイを堪能する。
『●ちゃんは、私の靴下のニオイが大好きなんだよね。ほらほら、いっぱい嗅いでいいからね、●ちゃん』
ゴシゴシと、足の裏を顔に擦りつける。
それに対し、嬉しそうな声で答える4号。
『他の1年生たちにも、●ちゃんのカワイイ姿、見てもらうね。もしかしたら、私以外の子にも、靴下のニオイ嗅がせてもらえるかもよ?』
一心不乱に、鼻を鳴らす4号。
『●センパイ、カワイー!私たちも、●センパイのお顔、踏んで差し上げますね?』
そこで、映像は終わった。


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