ポニーガールとご主人様 最終章(22)4人の蒸れた靴下

布地の下で、蜜がにじみ出そうなほどの、切ない欲求。
見ているだけで、溝口の劣情が伝わってくるようだった。
私の下腹部が、まるで共感したかのようにキュンと反応する。

「なあ、溝口」
内海が加わる。

「な、なんだよ?」
「さすがに私でも分かるよ。今だって、その…股間を手で押さえながら、モジモジしてるじゃん。内股で、太ももを擦り合わせてさ」
慌てて手を離す溝口。

「やっぱり、エッチな気分になってるんじゃないの?」
「いい加減なこと、言うな!」

「まあ、溝口がどんな性癖持っていようと、私はバカにするつもりはないよ。それに、否定しても苦しいだけでしょ。だったら受け入れて楽しんだほうがいいんじゃないと思っただけ。2号みたいにね」

浜本が続く。
「そういえば、さっきも2号のこと羨ましそうにしてたよね?もしかして溝口も、寝取られマゾ、だったりして?」
揶揄うような口調。

「は、浜本!お前も…」
「ふふっ。いつもツンツンしてて近寄りがたいけど、今の溝口、なんかカワイイね。そんな一面があったんだ?」

「ねえ結花ちゃん、2号と一緒に貞操帯着けてみる?ここの管理、私がしてあげる」
鞭の先端で、溝口の股間を軽く叩く新田。
その瞬間、溝口が身体をクの字に曲げた。

そして…

その身体が、ビクッと痙攣したように見えた。

「あっ…」
優菜が、声を漏らした。

一瞬の静寂。

次の瞬間。

「てめぇっ、いい加減にしろ!」
溝口が新田に掴みかかった。

「ちょ、ちょっと、溝口!」
慌てて止めに入る浜本。

「落ち着きなって、溝口!新田も、やり過ぎだって!ほら、謝って」
浜本に促されるが、新田はそっぽを向いていてしまう。

「全く…そろそろ外で待ってる二人も呼んでこなきゃだし、中谷センパイの罰ゲームはここまでね」

二人を引き離しながら、ため息をつく浜本。
優菜と内海に後を任せ、ロビーへと歩いていく。

溝口を、心配そうに見つめる優菜。
「ごめんなさい、結花ちゃん。私も調子に乗っちゃった…」
申し訳なさそうな優菜。
溝口は返事をせず、目尻に溜まった涙を乱暴に拭う。
強がってはいるが、あきらかに溝口は傷ついていた。

少し離れた場所には、新田と内海。
内海はなんと声をかけたらいいか考えあぐねているようだった。
ただ、新田と溝口を交互に見比べながら、戸惑っていた。

ロビーから戻ってきた大貫が、開口一番。
「ちょっとぉ、過ぎだって!待ちくたびれたんだけど」
半分冗談、半分本気で、文句を言う。
「ごめんね。つい盛り上がっちゃってさ」
新田が詫びる。

大貫の視線が、私を捉えた。
「1号の正体、私も見たかったなぁ…」
その目が、スッと細くなる。
「あの人かな?と思う人はいるんだけど、確証がなくてね」
胸がキュッと締め付けられる。
でも、第2レースまであった恐怖とは少し違っていた。

すでに、内海たち3人に正体を知られてしまったからか。
処刑台の上で、晒された視線。
映像の後、全頭マスクを脱いだ時の3人の表情。
思い出すたび体が熱くなる。

あの、身を刺すような羞恥心をもう一度味わいたい。

大貫を見ていると、そう思ってしまう。

大貫とともにロビーから戻ってきた鳥越。
室内の雰囲気が、少しおかしいことに気付いたようだった。

「ねぇ…何かあった?」
「ん? あぁ、まぁね」
どこか気まずげに答える浜本。

「…あのさ、ちょっといい?」
溝口をチラ見してから、部屋の端へ鳥越を誘導する。

新田と溝口の諍いについて伝えているのだろう。
小声で話し合う二人の様子を、やはり気まずそうに窺う新田。

話し終えた浜本と鳥越が、新田のほうへやってきた。
新田に対して、二言三言、語りかける鳥越。
頷く新田。
そんな彼女の頭に手を置き、ポンポンと軽く叩く鳥越。
浜本は、少しだけホッとしたように見えた。
どんな話をしているのかは分からなかったが、張り詰めていた空気が少し緩んだように見えた。
鳥越が、他の1年生たちに向き直る。

「それじゃ、時間も押してるので、さっそくだけど第3レースに移ります」
そう宣言する。

「といっても、第1、第2とレースが続いてたので、この辺りで一度、趣向を変えてみようと思います」
「趣向?」
内海の質問に、鳥越が頷く。
「またレースをしてもいいんだけど、それだと新鮮味がないかなって」
「まあ、たしかにね」

「私はレースでもいいよ。ポニーさんたちが一生懸命ハイハイしてるところ、カワイイんだもん」
優菜の言葉に内海と大貫が苦笑する。

「でも確かに、ポニーの正体を知ったうえでレースを観れるから、さっきまでとは違う面白さはあるかもね」
そう言って、内海の視線が私を射抜いた。

第2レースまでは、彼女たちは私の正体を知らなかった。
だから私も、あくまで『1号』でいられたのだ。
でも、次のレースでは…

1号としてふるまう、3年の中谷紗枝。
その事実を知られた状態で走る。
全頭マスクをつけているとはいえ、その姿を見られるのは、恥ずかしかった。

日頃偉そうにしている先輩が、卑猥な衣装を着て床を這い回る。
1年生を楽しませるために。
そんな屈辱的なことを、自ら望んでやっている。
マゾヒストだから。
そんな先輩など、彼女たちから見たら、さぞ滑稽だろう。
いや、それだけではない。

そんな都合のいい理屈。
どんなに無礼な言葉を投げかけても。
どんなに生意気な態度をとっても。

決して怒られることはない。
私は、そんな都合のいい存在なのだ。

部活中だったら、これまでだったら、決して考えられなかったこと。

部活中の、先輩としてふるまう私。
後輩の前で、ポニーとしてふるまう私。
両者を比較しながら、彼女たちはそのコントラストを楽しむ。
1号に向けてヤジを飛ばす1年生たち。
でも、『1号』は『中谷先輩』と同義語なのだ。
『1号』という言葉を借りて、『中谷先輩』をからかう。

でも、私は言い返せない。
なぜなら、ヤジを飛ばされているのは、あくまでポニーの1号なのだから。

しかし…
もし、1号ではなく中谷先輩としてヤジられたらどうか。
やはり私は言い返せないだろう。
それは、1号として揶揄われるよりも、はるかに屈辱的なことではないか?

体が、カッと熱くなる。
もしかしたら訪れるかもしれない可能性。
いや、もしかしたら、ではなく。
すでに現実として、目の前にあることなのではないか。
まだその瞬間が来ていないだけで。
このタイムライン上に、あらかじめ予定されていること。
そしてそれは、そう遠くない将来やってくるのかもしれないのだ。

「それで?次はどんなことをするの?」
「うん。靴下のニオイ当てゲームをします」
「え?靴下?」
予想外の言葉に、大貫が驚く。
いや、内海も優菜も溝口も…全員が同様の反応だった。

「靴下のニオイを嗅がせて、誰のものかを当てさせるってこと?」
「うん」
笑顔で答える。

「映像にも出てたけど、靴下のニオイが好きなポニーが多くてさ。よく嗅がせてあげてるんだよね。内海と溝口は知らないと思うけど、4号の罰ゲームでも大貫と優菜は嗅がせてあげてたもんね」
「マジ!?うえっ…靴下のニオイって…臭いだけじゃん」
「私の靴下は臭くないよ。ね、4号ちゃん?」

優菜が4号に同意を求める。
狼狽える4号。

「それで?そのゲームはどんな風にやるの?」
大貫の問いに、うなずく鳥越。
「まずは目隠しをした状態で、誰かの靴下を嗅がせて…その後目隠しをとって、今度は4人の靴下を順番に嗅いで、さっきの靴下が誰のものだったかを当てさせるの」
「ま、待ってよ。4人って…」
「もちろん、内海、大貫、優菜、溝口の4人だよ。当然でしょ」
なぜそんなこと聞くの?と言いたげな表情の鳥越。

「それと、制限時間は3分」
「3分も?ちょっと長くない?もう少し短くてもいいと思うけど」
内海の疑問に、浜本が意味ありげに笑みを浮かべる。
「3分くらいがちょうどいいんだよ。それより短いと、物足りないかもしれないよ?」
「物足りない?何が?」
浜本の言っている意味が分からず、内海が不思議そうな顔をする。
その一方で、なるほどね、とつぶやく大貫。

トップバッターは私だった。

他のポニーは、待機のポーズをしながら並んで待つ。

目の前には、椅子に座る4人。

向かって左側には、腕を組んだ内海が口元に笑みを浮かべている。
その右には、優雅に足を組みながら、つま先を揺らす大貫。
更にその隣には、無邪気な笑みを浮かべて足をブラブラと揺らす優菜。
一番右側には、無表情の溝口。

彼女たちが履いていた靴は、それぞれの椅子に下に置かれている。
露わになった、4人の靴下。
そのニオイを、これから嗅がなければならないのだ。

「これ、つけてあげますね、先輩」
鳥越の手にはマイマスク。
視界が塞がれる。

「それじゃ、次は靴下だけど…ふふっ、誰のにしようかな」
数秒の間があってから…
「はい。今から10秒あげるから、しっかり、ニオイをかいでくださいね?いきますよ!せーのっ」
顔に、何かが押しつけられた。
耳もとで、鳥越のカウントが始まる。
私はあわてて、ニオイを吸い込む。
マスク越しに入ってくる、靴下のニオイ。

一瞬、甘い石鹸の匂いがした。
だがすぐに、蒸れた酸っぱさが鼻腔を満たした。

決して、いい匂いではない。
しかしそれが、被虐的なスイッチを入れてくる。

クスクス…

カウントにまじって笑い声が聞こえる。
笑われている。
それも、当然といえば当然だった。

ブザマな格好をしながら靴下のニオイをかいでいる。
しかも、必死になって。

しかし、恥ずかしがっている場合ではなかった。
10秒は思っていた以上に短かった。

「きゅう、じゅう!はい、おしまい!」
押しつけられていた靴下が離れる。
「まだ、そのままの姿勢でいてくださいね!靴下を履き終わるまで…」
鳥越のささやきが、耳をくすぐる。

「はい、オッケーです。外しますね」
視界が戻る。

「それでは、四つん這いになってください。3分の間、4人の靴下を順に、一生懸命クンクンしてくださいね?外してしまったらまたお仕置きですよ?」
言われた通り、私は両手と両ひざを床についた。
「いきますよ?よーい…」

スタートの合図とともに、私は這い出した。
まるで、赤ちゃんをあやすように、1年生たちが両手を広げる。

「ほら、おいで?こっちだよ」
「えー、そっちに行っちゃうんです?私の靴下、嗅いでくださいよぉ」

「もう、二人とも、1号が困ってるじゃない」
苦笑しつつも、手をたたいて私を誘導しようとする大貫。

「ほらほら、誰の靴下から、嗅ぐんですかぁ?」
オロオロと戸惑う私を、優菜がからかう。
足を突き出す、3人の1年生。

「そんなところでじっとしてていいんスか?見てて面白いけど、時間なくなっちゃいますよ?」
私はハッとした。
そうだ、こんなことしてる場合じゃなかった。
まずは、向かって左端の内海から。

「わぁ、きたきた! センパイ、待ってましたよ!」
私を見下ろす内海。
笑みを浮かべながら、その目に、口もとに、蔑みが滲んでいる。

私の正体を知っている、内海。

心臓が跳ねる。

突き出された内海の右足。
足裏を私に向けて。

「ほら、嗅いでいいですよ、センパイ?」
私は、恐る恐る顔を近づけていく。

白い綿の靴下。
少し汗ばんだ感触が、マスク越しに鼻先から伝わってくる。

ニオイは…

ムッとする酸味。
だが、さっきの甘さはない。

もう一度、吸い込む。

違う。
このニオイじゃなかった。

続いて、隣に座っている大貫の前へと移動する。

「次は、私ね。どうぞ、堪能なさってください」
そう言ってつま先を突き出す。

黒のハイソックス。
光沢のある、上品な素材だった。

「あ、そうだ! つま先にキスしてください。そうしたら、嗅がせてあげる」

なっ! そんなの、ルール違反じゃないの…?

しかし、主催者からのお咎めはない。

突き出されたつま先。
私は諦めて、そっと口づけをした。

足にキスをさせられる。
ニオイを嗅がされるのとも、頭を踏まれるのとも違う屈辱があった。
湧き上がる感情を、大貫の笑みが更に掻き立ててくる。

「ふふっ、いいですよ。よくできました。それじゃご褒美あげますね。ほら、嗅ぎなさい?」

冷たい、見下すような声。

私は鼻先をつま先に近づけていく。

甘い香り。
香水か、あるいは柔軟剤か。
やがて、香りの奥からやってくる、湿った汗の匂い。

なんとなく似ている気もするが、どうだろう。
他の2人のニオイも嗅いでから判断するか。

続いて、優菜。
控えめで、どこか気弱だった彼女。
その面影はどこにもなかった。
無邪気に笑いながら、私を見下ろしている。

「待ってましたよ、センパイ。ほら、嗅いでいいですよ?」
そう言って、突き出された右足。

フリルがあしらわれた、ピンクの靴下。

鼻先を近づけていく。

と。
優菜が私の動きに合わせて、足を引っ込めていく。
「あはは! ごめんなさい」
悪びれた様子もない。

再び、鼻先を近づけていく。
今度は、足が右へ左へ動く。

クスクスと笑いながら優菜。
つま先がクルクルと円を描く。

「センパイの必死な顔が面白くて、ついからかっちゃいました。イジワルしてごめんなさい。好きなだけ嗅がせてあげますね」

鼻先を押し当てる。
匂いは…
甘い石鹸と、微かに汗の酸味。

自信はないが、大貫のと比べても、さっきの匂いに近い気がする。
これか…?

「ラスト、30秒!」
鳥越の声。
もう、時間がない!

慌てて、溝口の前へ移動する。
無表情で、私を見下ろす溝口。
胸が痛んだが、どうすることもできない。

遠慮がちに出されたつま先。
灰色の靴下。
少し毛玉があった。

鼻を近づけていく。

一瞬、ふわっと甘い匂いがした。
その奥にある、土のような重さのある匂い。

これも、最初に嗅いだ匂いと、似ている気もするが…

「10、9、8…」
鳥越のカウントダウンが始まる。

再び、鼻先から空気を取り込む。
既におぼろげになった、匂いの記憶。
比較する。

自信はないが、おそらくは…

「3、2、1…はーい、そこまで!」
鳥越の声。
私は溝口の靴下から、顔を離した。

溝口の顔が視界に入る。
やはり、無表情だった。
いや、くちびるを固く結び、じっと私を見つめる様はどこか、私を非難しているようにも見えた。
気まずさを覚えた私はとっさに顔を伏せた。

「それじゃ、1号さん、正解だと思う女の子の前で、跪いてください」

始まる前に嗅いだ、靴下の匂い。
それと同じだったのは…

私は、『彼女』の前へと這っていく。
無邪気な笑みを浮かべ、私をむかえる彼女。
完全に私を格下の存在として見ている。

沸き起こる感情。

彼女の変化を、私の心も体も受け入れ始めていた。

優菜の前で、正座をする。
床のヒンヤリとした感触が、額から伝わってくる。

「1号が選んだのは優菜でした。正解は…優菜に発表してもらいましょう。正解なら1号の頭をなでてあげてください。不正解なら…頭の上に足をのせてください。ただし、そっとね」

「はーい」
元気よく返事をする優菜。

ニヤッと笑いながら、ゆっくりと右足を上げていく。

間違っていた!?

「ほら、頭を下げてください」

また、罰ゲームを受けなければいけないのか。

優菜の前で、額を床につける。
土下座。

身構えながら、優菜の足を待つ。

「せいかーい!」
優菜の声。

優菜の手が、全頭マスク越しに私の頭をなでる。
合っていた。
やはりあれは、優菜の靴下だったのだ。

「正解は優菜でした!」

「それでは続いて、2号が挑戦します。2人は入れ替わってください」

よろよろと立ち上がる。
罰ゲームを回避できたことに安堵しつつ、一抹の寂しさを覚える。
鼻先で、わずかに残った靴下のニオイと。
下腹部の熱を、感じながら。
私はポニーの待機列へと並ぶ。

代わりに、2号が前へと進み出る。
強張った表情。
自信なさげに揺れる視線が、彼女の緊張が伝わってきた。

鳥越が、彼女にアイマスクをつける。
2号を見ながら、口元に笑みを浮かべる3人。
「誰のにしようかな」
鳥越が、椅子に座る1年生を見比べる。
そして、内海に向けて、手を差し出す。
内海が頷き、靴下を脱いで鳥越に渡す。

受け取った鳥越が、2号に嗅がせる。
「ちゃんと嗅がないと、当てられませんよ?恥ずかしがってる場合じゃないでしょ?」
戸惑っている2号に、鳥越が言い放つ。

その言葉に、思いきり息を吸い込む2号。

鳥越のカウントに混じって、2号の鼻息が聞こえる。

スーッ…
スーッ

目を閉じながら、そのニオイに集中する。
そんな2号を、少し恥ずかしそうにしながらも興味深く見つめる内海。

10秒後、アイマスクを外された2号。
先ほどと同じように、両手を広げて誘導しようとする1年生たち。

私を見ていて学んだのか、迷うことなく内海のもとへ這い進む。
「ほら、センパイ。おいで?」
つき出された内海の足裏。
2号が顔を近づけていく。
一瞬ためらった2号の顔に、内海が足うらを押し当てる。
「遠慮しないで、いっぱいクンクンしていいんスよ、センパイ?」
2号が、スーッ、スーッと吸い込む。
そんな彼女を、どこか慈しむような目で見つめる内海。

さっき嗅いだ靴下と、同じニオイのはず。
2号はそのことに気付けただろうか。

「他の人のも嗅がなくていいの? 内海の靴下、そんなに気に入りました?」
隣に座る大貫が、声を掛ける。
慌てて顔を離し、大貫の前へ移動する2号。

大貫が差し出したつま先。
顔を近づけ、ニオイを嗅ごうとする2号だったが…
大貫が、足を引っ込めてしまった。
戸惑う2号の前に、再びつま先を突き出す大貫。
しかし、2号の顔が近づいた瞬間、また足を引っ込めてしまう。
困ったような目で大貫を見上げる2号。
「キス。ここにくちづけをして、忠誠を誓うの」
私と同じことを2号に命じる大貫。

震えながら、くちづけする2号。
満足げに笑みを浮かべる大貫。

「はい、どうぞ」

差し出されたつま先。
黒いストッキングに、鼻を押し付ける2号。
スーッ…
スーッ…
「もしかして…さっきの、ファーストキスじゃないですよね。大好きな1号とのキスを夢見てたのに、私のつま先だったなんて、可哀想ですもんね」
自分でさせておきながら。
そんなことを言い放つ。

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