唯一無二の Voice Work 1話

昔から、女の子同士の恋愛について描かれたマンガやアニメが好きだった。
希望校に無事合格し、スマホを買ってもらってからは、ネット上に投稿されたイラストや小説を探すのが日課になっていた。
そして、時々見かける、エッチな広告。
最初は無視していたが、その時はたまたま、そういう気分だったのだろう。
妖艶な笑みを浮かべ、見つめ合う、二人の女の子のイラスト。
気がついた時には、タップしていた。

そこは、様々な音声作品が並ぶ、販売サイトだった。
作品一覧には、イメージイラストと、概要。
強烈な、むき出しの『性』が、私の目に飛び込んできた。

『催眠オナニーで貴女の脳をトロけさせる』
『後輩彼女との、あまあまエッチ音声』
『年下上司に責められて、快楽堕ち』

目をとろけさせ、気持ちよさそうによだれを垂らす、可愛らしい女の子。
ちょっとナマイキそうな、蔑んだ笑みを浮かべている女の子。
首輪を付けながら恥ずかしそうにうつむいている、スーツを着た女性。
作品名のとなりには、エッチなイラストが添えられていた。

こういった方面に免疫のなかった私には、あまりにも刺激的な世界。
見てはいけないものを見てしまったという、罪悪感。
しかし、どうしても目が離せない。
目に入ってくる絵、言葉。
その一つひとつが、脳に熱く刻まれていく。
まだ子どもだった私の性が、初めて大人の世界に出会い、覚醒していく。
脳から全身に溶けだしていく、媚薬。
下腹部から、熱い、ドロドロとした本能がこみあげてくる。
早く画面を閉じなければ。
そう思いつつも、意思に反して、私の指は画面をスクロールしていく。

と。
あるイラストが、視界に入った。
先ほどの広告に表示されていた、二人の女の子。
私は、反射的に、そのイラストをタップした。
画面が、作品の紹介ページへと移る。
女の子たちの人物紹介や、ストーリーの概要。
読もうとするが、目がすべってしまい、内容が頭に入ってこない。

『サンプル』と書かれたボタン。
このボタンにタップすれば、『彼女たちの声』を聴くことができる。
私は思わず、部屋を見回した。
この部屋には、私以外誰もいない。
分かっていても、確認せずにはいられなかった。
これから私がすることは、誰にも知られてはいけない…
聴かない、という選択肢はなかった。
私を突き動かす強烈な性衝動が、それを許さなかった。

スマホにイヤホンを差し込み、ボタンをタップする。
イヤホンから耳に流れ込んでくる、少女たちの甘く、淫らな声。
心臓が、痛いほど高鳴っている。
スマホを持っていられなくなるほど、手が震えている。
頭が痺れ、何も考えられなくなる。
下腹部から、マグマのようなドロドロとしたものがこみあげてくる。
本能に突き動かされるように、パジャマの中へ、手を入れる。
驚くほど、濡れている下着。
私は、無我夢中で手を動かした。
ゾクゾクとした刺激が、全身を駆けめぐる。
目の奥がチカチカする。
脳が焼き切れそうなほど、熱い。
ギュっと目を閉じ、下唇を噛みしめる。
彼女たちの囁きに身を浸しながら、私は、未発達な己の性を無我夢中で刺激し続けた。

その日から、私は音声作品のとりこになった。

二年生の夏。
その日は、うだるような暑さだった。
土曜日、部活から帰ってきた私は、シャワーで汗を流してから、自室へ来た。
エアコンの効いた部屋で涼みながら、スマホをいじる。

例の、音声作品が掲載されている、販売サイト。
あの日以来、そこをのぞくのが日課になっていた。
はじめの頃、様々な作品を見て回っては、そのサンプル音声を聴いていた。
やがて、サンプルでは物足りなくなり、いつしか購入するようになった。

そして、昨日見つけた音声作品。
紹介ページのイラストが可愛くて、なんとなく惹かれたのだ。
カーテンを閉めた部室の中で、女の子が二人きり。
イスに座り、切なげな表情でうつむいている少女。
それを、イタズラっぽい笑みを浮かべて見下ろしている少女。
座っている少女が、立っている少女にイジワルをされるお話らしい。

紹介文を見て、おや、と思った。
イジワルをされるのは、後輩ではなく、先輩のほうらしい。
普段は、恋人同士の甘いお話の作品を聴くことが多いのだが、たまにはこういうのも悪くない。
そう思い、購入はしたものの、夜遅かったこともあって、昨日は聴けなかったのだ。
服を脱ぎ、一糸まとわぬ姿で、ベッドにもぐりこむ。
スマホにイヤホンを差し込み、音が漏れていないことを確かめてから、布団を頭からかぶる。
それが、いつもの私の『やり方』だった。


『ほら、千佳先輩のここ、もうこんなになってますよ?』
『い、言うな…』
『言わないでください、でしょう?』
まぶたの奥で、淫靡な光景がひろがっていく。
千佳と呼ばれた女の子は、後ろ手に縛られ、恥ずかしそうにうつむいている。
そんな彼女を、イジワルそうな目で見下ろす少女。
『千佳先輩の下着、どんどんシミが広がってる。後輩の私にこんなことされて、感じてるんですか?』
先輩のスカートをまくり上げ、手を差し入れる。
『ち、違う!私は…』
『何が違うんですか?違わないでしょう?だってほら、エッチなお汁が溢れてきてますよ、先輩?』
『や、やめろ…』
『やめちゃってもいいんですか?ほら、ここをこうすると、気持ちいいでしょう?』
『くふぅ、ん』
『ほらほら、シャツの上からこうやって、コシコシされるの、好きなんでしょう?』
ブラを付けていないのか、先輩のシャツから浮き出た、二つの突起。
それを、後輩は指先でつまみ、優しく、ゆっくりと擦り上げる。
『んんっ…』
『こうやって、やさしーく、コシコシ、コシコシ…』
イジワルっぽい声で、囁きながら指先を動かす後輩。
『私、前から思ってたんですよね。千佳先輩って、普段は厳しいけど、本当はこうされるのが好きなんじゃないかって』
『す、好きじゃない…』
『まだ、そんなこと言ってる。正直に言わないと止めちゃいますよ?ここまでされてオアズケされちゃうの、辛いでしょう?』
眉根を寄せ、せつなそうに身をよじる先輩。
『クネクネと腰を動かしちゃって…誘ってるの、千佳先輩?』
『ち、違う、腰が勝手に…』
『ほら、言わないと止めちゃいますよ?どうされたいの、千佳?』
『あうっ…』
『ん、どうしたの、千佳?呼び捨てにされて、感じちゃった?』
『ち、違う!』
『ふぅん。そうなんだ。千佳先輩は、後輩に呼び捨てにされて興奮しちゃうヘンタイさんだったんだ』
『ち、違う、違う!』
『ふふ。そんなにムキにならなくてもいいですよ?大丈夫、分かってますよ。呼び捨てにされて、怒ってるんですよね。後輩に呼び捨てにされて喜ぶなんて…千佳先輩は、そんなマゾみたいな人じゃないですよね?』
『あぅ…』
マゾという言葉に、先輩の身体が反応する。
『ん?どうしたんですか、千佳先輩?もしかして…本当に、マゾ、なんですか?』
『や、やめて…』
『あれ?エッチなお汁がどんどん溢れてきてる…そうだったんだ、千佳先輩って、マゾだったんだ…』
『ち、違うったら!』
『後輩に呼び捨てにされて、マゾ呼ばわりまでされてるのに…ほら、正直に言いなさい千佳。私は後輩にマゾ呼ばわりされて興奮しちゃう、ヘンタイです、って』
『あ、綾乃、いいがげんに…』
『言いなさい、千佳』
『あ、ああっ』
顔を紅潮させた先輩が、目を閉じる。
下唇を噛みしめ、何かを耐えるような表情の後、後輩にもたれ掛かるようにして倒れた。
後輩に抱き留められた先輩が、体を震わせる。
『もしかして…さっきの言葉でイッちゃったんですか、千佳先輩?』
『そ、それは、その…』
荒い息をしながら、絞り出すような声の先輩。
『あんなこと言われてイッちゃうなんて…根っからのマゾなんですね、千佳先輩って。あ、千佳って呼んであげた方がいいのかな?』
『ち、違う…』
『違わないでしょう?だってほら、千佳の乳首、すごく硬くなっているよ。ねえ、ほら、分かる?』
乳首には触れず、その周りを指先でなぞる。
『わ、分から…』
『こんなにピンっと立たせちゃって。私に触ってほしいって、一生懸命主張してる。千佳の可愛い乳首、触ってほしい?』
『そ、それは…』
『ん?どうなの?』
『あの…』
『千佳のピンと尖った乳首、私の指で、やさしーく、コシコシ、こすってあげるよ?さっきみたいに、乳首の側面を、優しくつまんで、コシコシ、コシコシ…』
『あ、あぁ…』
『ほら、千佳の乳首が、もっと大きくなってきた。どうしたの?私の指で、コシコシされたいのかな?』
『あ、綾乃、もう…』
『それとも、千佳は優しくコシコシされるより、少し強めに摘ままれるほうが好きなのかな?』
『そ、それは…』
『ほら、はやく言わないと、どっちもしてあげないよ?』
『や…』
『ほら、はっきり言いなさい、千佳』
『や、優しく、コシコシ、されたい…です』
『プッ…あはは!そうなんだ、優しくコシコシされたいんだ、千佳先輩は?』
『う、うん…』
『顔を真っ赤にしちゃって、かわいい。まあ、そこまで言うなら、触ってあげようかなぁ。でも、ちゃんとお願いしてくださいね』
『えっ…』
『私の乳首を摘まんで、コシコシ、優しくこすってくださいって』
『そ、そんなこと、言えるわけ…』
『じゃあ、してあげない』
『そ、そんな…』
『ほら、カンタンでしょう?一言お願いすればいいんですよ?千佳先輩の、かたーく尖ったマゾ乳首、私の指で、早くコシコシしてあげたいな…』
『う、うぅ…』
『ほーら、早く言わないと、やめちゃうよ?もう我慢できないんでしょう?ほら、見て?この指で、コシコシ、コシコシって、されたいでしょう?』
差し出された手。
人差し指と中指が、円を描くように、蠢く。
誘うような、ねちっこい指の動き。
触られてもいないのに、指の動きにあわせて、乳首が勝手に反応してしまう。
『さ…されたい…コシコシ…』
悔しさと、恥ずかしさの入り混じった声を出す。
『じゃあ、言えるよね?ほら』
唇を噛み、切なげな表情を浮かべる先輩。
耐えがたい、誘惑。
でも…

学年が1つ違うだけで、そこには越えられない立場の違いがある。
たとえ理不尽と思えるようなことでも、そこでは先輩の言うことは絶対なのだ。
かつての先輩がそうであったように。
また、今の私たちがそうであるように。
そして、この子は私の後輩なのだ。
それなのに、もし、そんなことを言ってしまったら。
もう先輩としての尊厳は保てない。
それどころか、この子に、後輩の女の子に、一生逆らえなくなってしまうのではないか。

『ほーら、千佳センパイ、すなおになって?いっぱい気持ちよくなろ?もうガマンできないでしょう?いいんだよ、ガマンしなくて』
後輩の指先が、先輩の乳首に軽く触れる。
敏感になった突起は、それだけで歓喜の声をあげる。
そして、更なる刺激を求めて、脳へ催促する。
もっと、もっとイジメてほしい…
綾乃の指で、弄ばれたい…
もう、ガマンの限界だった。
『わ、私の、ち、乳首を…つ、つまんで、やさしく…』
『やさしく?』
『やさしく、その…コシコシ、してください…』
言ってしまった。
『千佳は私の先輩なのに、後輩の私に乳首をコシコシされたいんだ?』
『さ、されたい、です…』
先輩としての威厳が、立場が崩れていく。
逆に、主導権を握った後輩に、マゾ女としての立場を分からされていく。
『ふふっ。分かりました。千佳先輩のマゾ乳首、私がやさしく、ていねいに、ねちっこく、コシコシしてあげます。でも、覚悟してくださいね?クセになっちゃうと、戻れなくなっちゃうかもしれませんよ?24時間、乳首を硬くしながら、私の指のことしか考えられないカラダになっても、知りませんからね?』
『そ、そん…あぁあ!』
『千佳のマゾ乳首、こんなに硬い…ほら、服の上からやさしくこすられるの、気持ちいいでしょう?』
『くうっ、んっ』
『こうやって、指と指の腹同士に挟まれながら、コシコシされるの、どう?気持ちいいでしょう?』
『くぅぅ…』
『自分で触るのと、全然違うでしょ?ほらほら、コシコシ、コシコシ…』
もはや、部活中の凛々しいすがたは欠片も残っていなかった。
あられもない表情を晒し、後輩に被虐の悦びを媚びる、あわれなマゾ女がそこにいた。
『マゾな千佳先輩の脳に、刻み込んであげる。耳元でささやかれながら、硬く尖らせた乳首を後輩に摘ままれて、コシコシこすられながら、ヨダレを垂らしながら、イッちゃうの。こんなの知っちゃったら、もう戻れないよ?自分じゃ満足できなくて、私に触ってもらわないと満足できないの。私に触ってほしくて、でも、私にお願いしないと触ってもらえなくて…悔しくて、屈辱を感じながら、後輩の私にお願いするの。そんなことになったら、もう千佳先輩は私に逆らえなくなっちゃうね。それでもいいの?』
『そ、そんな、よくな、あぁっ!』
『ほらほら、頑張って耐えないと、脳に刻まれちゃいますよ?千佳先輩のかわいい乳首が、後輩専用のマゾ乳首にされちゃってもいいんですか?ほらほら、こうやってやさしくコシコシされて…』
『や、言わないで…』
『顔を真っ赤にして耐える千佳先輩、すごくかわいいですよ?部活中の厳しい千佳先輩と同じ人とは思えないくらい。あの千佳先輩がこんなことされてよろこんでるヘンタイさんだなんて、みんなが知ったらどんな顔するでしょうね』
『や、やめて…』
目に浮かぶ、後輩たちの顔。
彼女たちから向けられる、部活中とは明らかに違う視線。
軽蔑、嘲り、嘲笑。
マゾ…
ヘンタイ…
最低…
情けない…
恥ずかしくないの?
彼女たちの口から、次々に非難の声が漏れる。
恥ずかしくて、情けなくて、悔しくて…
固く尖ったマゾの証が、更に固くなっていく。
『後輩たちの前で、乳首をコシコシされて…お顔をトロトロに蕩けさせてるマゾの姿、本当は見られたいんでしょう?』
『そ、そんなこと、ない、です…』
『ほんとに?』

「お、及川…」
私は、完全に千佳になりきっていた。
いつしか、周りの景色は、私が実際に所属している部活の部室にいた。
目の前にいた先輩は、いつのまにか私の顔をしていた。
そして、私を責めるのは、私の部活の後輩である、及川…
つい1時間前まで、部活の先輩・後輩として接していた及川が、そこにいた。
『ほらほら、真由美、イかせてほしいんでしょう?』
「い、イかせて…」
『でも、だーめ。まだイかせてあげない』
「そ、そんなぁ…」
及川に焦らされ、乳首を摘まみながら身もだえする。
『イかせてほしかったら、ちゃんとお願いしなさい?真由美は、後輩に乳首をコシコシされて感じてしまう、エッチなマゾ先輩です。どうか、私のマゾ乳首を、これからもやさしくいじめてください、って』
全身が、悔しさと恥ずかしさで包まれる。
実際の部活では、決して許されない言葉だった。
あろうことか、後輩に侮辱されているのだ。
しかし…
今の私は、この後輩にいじめてほしくて、乳首を固く尖らせている。
後輩の侮辱に、脳を蕩けさせ、身体を熱くさせながら、更なる屈辱を望んでいる。
先輩としてのプライドを踏みにじられ、服従させられることを望んでしまっている。
それに…
これは、現実ではない。
私の欲望を満たす、仮想の世界。
どれだけ情けない姿を晒そうとも、誰にも知られることはないのだ。
だったら…
「ま、真由美は、後輩に乳首をコシコシされて、感じてしまう、え、エッチな…ま…マゾ、先輩、です…」
乳首を摘まみながら、及川に告白する。
「ど、どうか、真由美のマゾ乳首を、これからも、やさしく、いじめて、ください…」
消え入りそうな声でつぶやく。
及川の、勝ち誇ったような表情。
実際に、あんな目で及川に見られたら、私は…
『ふふっ。分かりました。これからも真由美センパイの乳首、いじめてあげる。もうセンパイの乳首は私のものだから、ご自分で触ってはいけませんよ?』
「そ、そんな…」
『この、ピンッと固く尖ったセンパイのマゾ乳首…どんなに触りたくても、触ってちゃだめだからね。あなたのご主人様のものなの。いい、分かった?』
「わ、分かった…」
『分かりました、ご主人様、でしょう?』
「わ、分かりました、ご主人、さま…」
『よくできました。じゃあ、ごほうび、あげる。ご主人様が、真由美のマゾ脳に一生消えない刺激を刻み込んであげる。感謝してくださいね?』
「あ、ありがとう、ございます…」
『ほら、イキなさい。イけ、マゾ犬。みっともなくヨダレを垂らして、後輩に乳首を摘まみ上げられて、ほら、ほら!』
「あ、あぁぁあぁ…!」
及川の言葉に合わせて、己の乳首を強めに摘まみ上げる。
「お、及川、及川様ぁ…!」
かつて、感じたことのない刺激が、体を、脳を駆けめぐる。
目の前がチカチカする。
及川の高笑い。
屈辱と恥ずかしさが混ざり合い、媚薬となって脳に溶けていく。
抗いようのない、大きな波。
全身に力が入り、そのまま、何度も大きく痙攣した。
『あーあ、イッちゃった。これでもう、後戻りできなくなっちゃったね。真由美センパイの脳に、一生消えないマゾとしての烙印が、刻まれちゃったの。私のことを思い出すたび、真由美センパイはマゾ乳首を硬くさせて…マゾ乳首を硬くさせるたび、私のことを思い出すの。私に触ってもらいたくて、しかたなくなっちゃうの』
及川の言葉が、被虐心を駆り立てる。
マゾの烙印…
私の乳首を摘まむ、及川の指の感触。
及川の、イジワルな言葉、表情。
もっと支配されたい…
もっと屈辱的で、エッチなことをされたい…
もっと情けなく、みっともない姿を晒したい…
後輩に対して、切ない感情が募っていく。
『ついさっきまでは真由美のほうが立場が上だったけど、これからは私のほうが立場が上だからね。もう、真由美は私に逆らえないの。センパイはマゾだから、私の言ってること、分かるでしょう?』
『そ、そんなぁ…』
みじめさと悔しさで、ゾクゾクする。
『乳首を固くさせながら、私にオネダリするの。真由美のマゾ乳首を、ご主人様の指でコシコシしてください、って。ヒクツな目で、私の顔色をうかがいながら、ね』
「う、うぅ…」
『ちゃんといい子にできたら、またコシコシしてあげる。でも、そのたびに真由美センパイの脳に、マゾの烙印が刻まれちゃうけど。私にいじめられたくて、乳首をコシコシしてもらいたくて、情けない、恥ずかしい目にあわされたくて…私のご機嫌をうかがいながら生きていくの。どう、嬉しいでしょ、マゾ先輩?』

「…ちゃん、まゆちゃん…」
女の子の声。
聞き覚えのある…
淫靡で倒錯的な夢の世界から、急に現実へと引き戻される。
「まゆちゃん!」
私は、慌ててイヤホンを外した。
布団から顔だけ出して、声のした方へ、恐る恐る視線を移す。
幼い、女の子。
志穂が、私の姪が、そこに立っていた。
心配そうな表情の志穂。
「し、志穂ちゃん、どうしたの?」
かすれた声で、ようやく、それだけ言えた。
「まゆちゃんのお母さんが、まゆちゃんを呼んできてって。それで…」
まだ少しぼやけている頭で、考える。
そういえば先日、志穂ちゃん親子がうちに来るような話を、母がしていたような…
それが、今日だったのか。
「まゆちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ」
安心させるように、優しく語りかける。
「少ししたら1階に降りてくから、志穂ちゃんは先に降りててね」
服も着ず、汗まみれの体。
それを、布団一枚で隠す。
「わかった。先に下に行ってるね」
「うん。私もすぐに行くからね」
部屋から出ていこうとした志穂が、何かを思い出したかのように振り返る。
「ねえ、まゆちゃん」
「ん?」
「おいかわって、だれ?」
頭を殴られたような、衝撃。
「えっ…」
「さっき、まゆちゃん、おいかわって人の名前、呼んでたでしょ?」
「そ、そうだっけ?」
「うん、私、聞いたもん。それに、ごしゅ…何とかって、言ってた」
「そ、それは…」
幼い志穂の目が、私を捕らえて離さない。
「そ、その…そう!こんど、学校でお芝居をすることになったの。それで、練習をしてたの」
「練習?」
「うん。セリフがなかなか覚えられなくて…それで、布団の中で練習してたんだ」
「そうだったんだ」
「そ、そうなの」
「わかった!おしばい、がんばってね、まゆちゃん!」
そう言って、部屋から出ていく志穂。
階段をかけ降りる志穂の足音。
嘘をついてしまった後ろめたさを感じつつも、何とか誤魔化したことに、ホッと胸をなでおろす。

それにしても…
さっきまで聴いていた音声作品を思い出す。
私をなじる、後輩の声。
乳首を責められ、屈辱とともに感じた、いいようのない興奮。
『嬉しいでしょ、マゾ先輩?』
及川の声が、フラッシュバックする。
私は、マゾなのだろうか。
マゾという言葉が思い浮かぶたび、胸の奥が高鳴る。
違う、私は…

もっと、いじめられたい。
乳首を、やさしくつねられたい。
後輩に、先輩としてのプライドを踏みにじられ、マゾとしての立場を思い知らされたい。
後輩に屈服し、服従し、乳首を管理されたい。
後輩にからかわれ、焦らされ、なじられながら…
ヒクツな笑みを浮かべ、後輩に懇願する、将来の自分の姿。
頭を振って、必死に否定しようとするものの、私の身体は容赦なく反応してしまうのだった。

コメント

  1. ライム より:

    新作公開ありがとうございます!
    1日1回はサイトを更新して、今か今かと待ちわびておりました。
    まだ導入部分ですが、言い回しなど他の小説にない魅力がありすぐ読了しました。
    今後も楽しみに続きをお待ちしております。

    • slowdy より:

      >ライムさん
      ありがとうございます!
      更新、大変お待たせしました💦
      マンネリにならないよう、表現には気を配っています。
      そう言っていただけると、非常に励みになります。

      次回は、来週に投稿できるかと思います。
      仕事の都合もあり、更新がだいぶ空いてしまうこともあるのですが、これからも続けていけたらと思いますので、どうか今後ともよろしくお願いします。