遠野シスターズ 第二章(2)姿見

※ページの後半にスカトロ表現(放尿シーン)があります。苦手な方はご注意ください。

「葵、待て!」
おあずけをされた葵が、切なそうに腰を動かす。
左手を差しだしたアタシを、ぬれた目で見つめる。
「くぅーん、くぅーん」
両手を軽く握り、腕を曲げて体の前に。
待て、のポーズ。
「葵、動かないの!動いたら、イクイクさせてあげないよ?」
腰の動きを、必死におさえる葵。
それでも、腰は勝手に動いてしまうらしい。

「はい、いいよ」
葵の表情がパッと明るくなる。
パンツを脱ぎすて、ご主人様の左手にまたがる。
『調度いい位置』をさぐるように、腰を動かす。
そして…
アタシの手のひらに、気持ちのいい場所を擦りつけるようにして、葵が動き始める。
アタシは、ほとんど動かない。
ご主人様の手を使った、オナニーだった。
アタシたちはそれを、『イクイク』と呼ぶようになった。

「どう?イクイク、気持ちいい?」
「わっ、わんっ」
夢中で腰をゆする葵。
姉は、このイクイクが特に好きだった。
オナニーしてるところなんて、恥ずかしくて誰にも見られたくないはず。
まして、それが肉親ならなおさら。
それは、姉も同じだろう。
でも、犬になっている時は違うらしい。
犬の時は、自分の欲求に正直になれる…らしい。

アタシは、日によってやり方を変える。
今日は『待て』をして、散々焦らしてから。
この前は、アタシのほうから葵に命令して、させた。
さらにその前は、何度も何度もオネダリをさせてから。
姉は、焦らされたり、命令されたりするのが好きらしい。
そうされると、ご主人様のものになったと実感できるというのだ。

『マゾッ気というか、完全にマゾじゃんか…』
姉の、底なしのような性欲の強さに、少したじろぎつつも。
アタシはそれにこたえる。

解消しきれない強い性欲を否定し、自分の中に押し込めてきた姉。
やがてそれは、自分の中にとどめておけないほどふくれあがっていき。
周囲からのプレッシャーという要因も加わり、それは『首輪をつける』という性癖として表に出てきた。
それを否定し、また押し込めてしまうより。
こうやって、適度に発散させてあげたほうが、姉にとってはいいことなのではないか。
それが、アタシの今のところの考えだった。
エッチなのはダメっていうルールだったけど…

「ほら、葵、気持ちいいね?いっぱい、いっぱいイクイクして、もっと気持ちよくなろうね?」
手のひらに、姉の感触を感じながら。
耳もとでささやく。
「葵のエッチとこ、ご主人様が見ててあげるね。だから、気持ちよーく、イクイクしょうね?イクイク、イクイク…」
そうやって耳元で囁いてあげると、姉はいっそう興奮するらしかった。

姉の様子が変わりはじめた。
腰の動き、口から洩れる声、吐息…
そういったものの変化で、姉のオーガズムがまもなくであることを、アタシは察するようになった。
「あっ…あっ…い、イクッ、イッちゃう…」
「ほら、ガマンしないで?イッちゃいなさい、葵!ほら!イケッ!イケッ!」
「イックゥッ…!」
腕を持つ手に、思い切り力が加わる。
ブルブルと、全身をふるわせる姉。
姉の太ももが、アタシの手をギュッとしめつける。

「じゃあ、お風呂行ってくる」
「うん…」
まだどこか、余韻に浸っている姉を部屋に残し、風呂へと向かう。
脱衣所で服を脱ぎ、浴室へ。
左うでを見る。
姉が突き立てた、爪の跡。
そして…
手のひらは、姉の愛液でベチョベチョだった。
鼻先に近づける。
「んっ…」
姉の、女のニオイを、思いきり吸いこむ。
ここから先は、姉も知らないアタシだけのヒミツの時間だった。

「今日はおさんぽするよ、葵」
首輪にリードを取り付ける。
「ほら、おいで」
室内を、ゆっくりと歩く。
その後ろから、葵がついてくる。
よつんばいになって、這い進む、下着姿の姉。

スタンドミラーの前を通るたび、自分たちの姿が映る。
リードを握るご主人様の後ろを、首輪をつけた犬が続く。
こうしてみると、本当に飼い主とペットのようだった。
恥ずかしそうに、チラッと己の姿を確認する葵。
それを、アタシは見逃さなかった。

「疲れたね。ちょっと休もっか」
スタンドミラーの前で止まる。
「もう少し広いところでできればいいんだけどね。たとえばリビングとか。でも、お母さんいるし…」
「わ、わん…」
ご主人様にあいずちをうちつつ、スタンドミラーを気にする葵。

首輪を付けた自分の姿は、これまで何度も見てきたはず。
なにせ、自撮りをするくらいだ。
でも、こうしてご主人様にリードを引かれている姿というのは、彼女にとっては新鮮な刺激なのかもしれない。

「人目を気にしないで、思いきりできればいいのにね」
返事がない。
「ねえ、葵、聞いてる?」
「わ、わん!」
「さっきから、鏡のほうチラチラ見てるけど、気になるの?」
あわてて首を左右に振る葵。
「ふぅん…」
葵が、ご主人様の顔色をうかがっている。
「ほら見て?鏡に、アタシと葵が映ってるね。こうして見ると、犬と飼い主って感じがするね」
顔を赤くしながら、俯く葵。
恥ずかしそうだが、よろこんでいるのだというのが、鏡に映る表情から読み取れた。

「葵、お手」
差し出したアタシの右手に、葵が手を乗せる。
「おかわり」
左手を差し出す。
チラッと鏡を見てから、手を乗せる。
「よしよし、えらいね、葵」
頭をなでられて、うれしそうにしつつ、それが鏡に映っているのを気にする葵。
「おすわり」
「わん」
葵が、お尻を床につける。
「ちんちん」
前足を体の前で揃える。
「よーし、よし。葵はいい子だね。おりこうさんだね」
ちんちんのポーズをしたまま、頭をなでられる葵。

「アタシ、葵のそのポーズ、可愛くて大好きなんだ。ご主人様に服従してます、とか、かわいがってくださいって、言ってるみたいで」
恥ずかしそうに、目を伏せる、葵。
「だーめ。だめだよ、下を見ちゃ。ほら、葵も見て?鏡に映ってる葵の姿、かわいいでしょ?」
鏡をじっと見る葵。
妹に、ご主人様に服従しているポーズ…
「顔、まっ赤だよ。恥ずかしいの?違うよね。葵はうれしいんだよね?アタシ、知ってるよ。葵は命令されたり、服従したりするのが大好きなワンちゃんなんだよね」
モジモジと、太ももを擦りあわせる葵。
「あーあ、耳まで赤くなっちゃった。でも、しょうがないよね。命令されると、うれしくなっちゃうんだもんね。恥ずかしいけど、でも、エッチな気持ちになっちゃうんだもんね」

鏡に映る葵の目が、何かを訴えかける。
「どうしたの、葵?イクイク、したくなっちゃった?」
「ご、ごめん。実は、トイレに行きたくて…」
「えっ!それでモジモジしてたの?」
「う、うん…だからさ、ちょっと、首輪、外してよ」
せっかくいいところだったのに、現実へ引き戻されてしまった。
少しガッカリしつつ、首輪を外してあげる。
そそくさと、服を着始める姉。

部屋を出た彼女は、すぐに戻ってきた。
「どうしたの?」
「お母さんが、トイレに入ってる」
「そ、そっか。じゃあ、待つしかないね」
「うん…」
股間を抑え、モジモジする姉。
「もしかして、結構、ヤバい?」
頷く姉。
しかし、一向にトイレが開く気配はない。

アタシは、あることを思い出す。
「あ、ちょっと待ってて。すぐ戻るから」
不安げな姉を残し、急いで自分の部屋へ。
そして、再び姉の部屋へと戻ってくる。
「ごめん、お待たせ」
アタシが、自分の部屋から持ってきたもの。
「アンタ、それって…」
姉があきれた表情をする。
犬の写真とともに、『たっぷり吸収』『しっかり消臭』とプリントされている。
犬用のトイレシートだった。
「ドラッグストアでたまたま見かけて、つい…」
買ったはいいものの、言い出せずに押し入れにしまっていたのだ。
「ついって、アンタ…まさかとは思うけど…」
「お願い!今日はこれでオシッコしてみて」
「ちょっ、噓でしょ?目がマジなんだけど。人のこと言えないけどさ、姉のオシッコ見たいって、アンタどんな趣味してんのよ…」

大型犬用とはいえ、人間の使用に耐えうるのか。
念のため、シートを3枚重ねにする。
「準備できたよ」
姉を見る。
「いっぱい、オシッコしていいからね」
「うう…」
下半身を露出させた姉が、シートの上に座る。
少しだけ、お尻を浮かせて…
うらめしそうな顔で、アタシを見上げる。
鏡に映る、あまりに情けない姿。
首輪を外してしまい、姉としての理性が戻った中での、痴態。
しかし、こみ上げる尿意には抗えなかったのか。
ついに放尿を始めた。

よほどガマンしていたのか、勢いよく放たれる音が、アタシのほうまで届く。
鏡に映った姉と目が合う。
さすがに恥ずかしいのか、視線をそらす姉。
かわいいなあと思う一方で、さすがにやりすぎたかと反省する。
そして、別の心配も。
「お姉、いっぱい出るね」
「やめて、変なこと言わないでよ…」
シートに拡がっていく、黄色いシミ。
3枚重ねたとはいえ、ペット用のシートだ。
吸収しきれるのだろうか。
ようやく、姉が全て出しきった。
シミは、シートの端まで拡がっていた。
シートの下をめくってみると、フローリングが濡れていた。

すでに空いていたトイレから、トイレットペーパーを持ってくる。
それを、姉に渡す。
「どうも」
ムスッとしたまま、それを受け取る姉。
たぶん、どんな顔をすればいいのか分からないのかもしれない。

濡らした雑巾を持ってきたアタシは、姉と一緒に後始末をする。
「ペットシートって、可燃ごみで出せるのかな?」
「知らないよ、そんなの」
「お姉、ごめんね…」
「別に、いいって。トイレ行けなかったのはアンタのせいじゃないし」
「うん…」
「それにしても、ペットシートって。何考えてんのよ、まったく」
「お店で見かけて、欲しくなっちゃってさ。でも、かわいかったよ、お姉」
「バカッ」

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