遠野シスターズ 第三章(2)友人

ボールギャグを、あおいの口に付ける。
百均で売っていた穴あきのゴルフボールにゴムヒモを付けた、お手製のアイテムだ。
「はい、待機のポーズして」
少し不安そうな顔をしつつ、指示に従う、あおい。
「いいって言うまで、そのままだからね」
ソファに座る。

ギャグボールによって、口を閉じられないあおい。
待期のポーズを解くこともできないので、スキマからよだれが流れ出てくる。
しかし、口を閉じることができない。
流れるよだれをぬぐうこともできない。
よだれが、あおいの体をよごしていく。
あおいの顔が赤くなっていく。

目が合う。
恥ずかしそうにうつむくあおい。
口を拘束されていることに、か。
よだれをたれ流していることに、か。
情けない姿をさらしていることに、か。
屈辱と恥辱。
あおいの息が荒くなっていく。

あおいから視線を外す。
ゲーム機を手に取る。
あおいのことなど、意識の外であるかのように、ふるまう。
あおいの身じろぎ、息づかい。
目の端で、耳で、捉える。

そろそろゲーム機を置こうとした時。
お昼を告げる時報が鳴った。
「あ、もうこんな時か。はい、お疲れさま。もう楽にしていいよ」
あおいが、手でよだれをぬぐおうとする。
「待って。アタシがふいてあげる」
唾液でテラテラと光るあおいの体。
タオルで、ぬぐいとっていく。
ボールギャグを外し、口もとの唾液も拭き取る。
「お疲れさま。よくがんばったね。エライね」
いい子いい子と言いながら、頭をなでる。
「じゃあ、お昼にしよっか」

キッチンへ移動する。
「ご主人様が、ご飯の用意をするから、あおいはいい子で待ってるんだよ?」
冷蔵庫からエビピラフと唐揚げを取り出し、電子レンジで温める。
テーブルのすぐ横で、お座りのポーズで待つ、あおい。
そのすぐ目の前に、新聞紙を敷く。
レンジで温めた2品と、ポテトサラダ、麦茶。
テーブルと新聞紙の上に、それぞれ置いていく。

「手、キレイにしてあげる」
濡らしたタオルで、あおいの手を拭き取っているとき、あることに気付く。
「その髪だと、食べづらいかも。ちょっと待って」
ヘアゴムを取り出し、あおいの髪を後ろで束ねる。
「はい、オッケー。それじゃ、食べちゃおうか。いただきまーす」

アタシはテーブルに座り、箸やスプーンを使って食事を始める。
その足もとで、あおいも食事を始めた。
アタシと違い、箸もスプーンもない。
ただ、料理がよそわれたお皿だけ。
手は使わず、口を皿に近づけて。
「おいしいね」
アタシの言葉に、あおいがうなずく。

エビピラフ、ポテトサラダ、唐揚げ。
あおいが、順番に食べていく。
唐揚げも、一口で食べられるちょうどいい大きさだった。
麦茶を、音もたてずに飲んでいる。
ただ、顔を上げたとき、口元についたわずかな麦茶が下へと伝っていく。
手を使うことができない分、食べるのに時間がかかるようだ。
あおいの様子をみながら、アタシも食べるペースを調整する。

「ごちそうさまでした」
足もとを見る。
口のまわりを食べ物でベトベトにしたあおいと、目が合った。
「ふふっ。キレイにしてあげるね、おいで」
あおいの口元を、ウェットティッシュでふきとる。

お皿を流し台へと運ぶ。
皿洗いをするアタシの横で、あおいがじっとアタシを見上げる。
「もうちょっとで終わるから、そしたらソファで休もうね」
皿の水気を拭き取り、ラックにしまう。
テーブルを水ぶきし、フローリングに敷いた新聞紙を片付け…
「はい、おまたせ。じゃ、行こっか」

歩くアタシのすぐ後ろを、あおいが続く。
ソファに腰かけ、テレビを点ける。
足もとのあおいが、じゃれついてくる。
そんなあおいの頭をなでたり、あごをくすぐったり。
「ちょっとトイレ行ってくるね」
「わん」
用を足し、トイレから戻ると…
アタシを切なそうに見上げる。あおい。
「もしかして……イクイクしたい?」
ふるふると首を横にふる。
「それじゃあ、トイレ?」
うなずく。

どうしようかな。
さっきと同じように、お風呂へ行くか。
それとも…
「あのさ、ペットシートも用意してあるんだけど」
えっ、という表情をするあおい。
「お風呂でする?それとも、ペットシートでする?」
あおいが苦笑する。
「ニオイのことは、心配しなくていいよ。防水シートと消臭スプレーも買ってあるから」
部活帰りに、ペットシートとともに買っておいたのだ。
おこずかいの残りが、ちょっとピンチだが…
あおいが一瞬、優しそうな目でこちらを見た。

「ん?決まった?」
あおいがうなずく。
「お風呂?」
首をふる。
「じゃあ、ペットシート?」
うなずく。
「分かった。じゃあすぐに取ってくるね」

自室から一通りのものを持ってくる。
リビングにレジャーシートを広げる。
その上に、ペットシートを3枚重ねて置く。
ゴミ袋とタオル、ティッシュ、消臭スプレーを、そばに置く。
「おまたせ。はい、どうぞ」
あおいが、モジモジしながら、レジャーシートの上へ移動する。
ベットシートの上で、お座りのポーズをする。
不安そうな顔で、こちらを見上げる。
「大丈夫だよ。ご主人様がキレイに片付けるから、遠慮しないで思いっきりしていいからね」
あおいが苦笑する。
そうは言ったものの、アタシもドキドキしていた。

リビングでおしっこなんて、絶対にやってはいけないことだ。
もしお母さんにバレたら、叱られるどころではすまないだろう。
やってはいけないことをやるという背徳感と罪悪感、そして、高揚感。
リビングで、裸の姉に、おしっこをさせる。

あおいが、放尿をはじめた。
シャーッという音。
あおいと、目が合う。
恥ずかしそうにうつむくあおいに、アタシは…
「ほら見て、あおい」
家族写真。
「お父さんとお母さんが見てるよ。成長したあおいの姿、ふたりにも見てもらおうね」
顔を赤くしたあおい。
部屋には、放尿の音。
リビングで裸のまま、放尿する己の姿。
それを、横で眺める妹。
どんな気持ちなのだろう。

出し終えた、あおい。
「いっぱい出たね。ほら、ふいてあげる。待機のポーズして?」
あおいの股を、ティッシュでふきとる。
シートの上からどいてもらい、ペットシートをごみ袋へと入れる。
そして、レジャーシートもごみ袋へ。
ちょっと、もったいない気もするけど…
ごみ袋の口をキツく縛ってから、それを更にごみ袋へと入れる。
ごみ袋を切り広げれば、シート代わりにも使えたな…
などと考えつつ。
周辺に消臭スプレーをして、窓をあける。
「これでよし」

出し終えてスッキリしたはずの、あおい。
なぜか、まだモジモジしている。
「もしかして…今度はイクイクしたいの?」
うなずく、あおい。
「いいよ、こっちおいで」

窓側。
レースのカーテンがひいてあり、外がうっすらと透けて見える。
あおいが、体を隠す仕草をする。
「大丈夫だよ。外からは見えないから」
耳もとでささやく。
「午前中はガマンできなかったけど、午後はちゃんと待て、できるかな?」
午前中のオアズケを思い出し、胸が高鳴る。
「きちんと待てができたら、いっぱいイクイクさせてあげるからね」
それはあおいも同じらしく、顔を赤くしながらモジモジしている。

「また、これ付けてあげるね」
ボールギャグ。
「さっき使ったやつと同じのだけど、水で洗ってあるから安心してね」
再び、あおいの口にはめる。
「ふーっ、ふーっ」
あおいの息が、荒くなる。
「これ、気に入ってくれた?」
潤んだ目で、アタシを見る。
「よかった。作った甲斐があるよ。…はい、待期のポーズして」
窓に向けて、言われた通り待期のポーズをするあおい。

外から見えないのは分かってはいるが、やはり不安なのか。
目が、キョロキョロと動いている。
「それと、これもね」
アイマスク。
あおいに見せてから、視界を奪う。

午前中と同じ姿勢。
アイマスクとボールギャグ。
違うのは、窓の外に向いた状態だということ。
アイマスクをしているので、外の状況は分からない。
自分の情けない姿が、外から見えてしまうのではないか。
そんな不安や恥ずかしさがあるのかもしれない。

ポーズはとるものの、そわそわとするあおい。
「大丈夫だよ。外からは見えないから。何度も確認したから、安心して」
うなずくものの、やはり体はこわばっていた。
「お姉…じゃなかった、あおいも知ってるでしょ?」
再びうなずくあおい。
「大丈夫だよ。よっぽど近づきでもしない限り、中なんて見えないんだから」
それで、ようやく安心したのか。
あおいの呼吸が、少しずつ落ち着いてくる。

ふと。
イタズラ心がムクムクとわいてくる。
「あっ。近藤さんが通り過ぎたよ。今度は笹塚さん」
近所に住む、知りあいの名前を告げる。
あおいが、身じろぎする。
「あ、環菜さんだ」
あおいの体がビクッと反応する。
近所に住む、あおいの幼なじみで同級生の女の子。
実際のところ、外に環菜さんはいないのだが…

「あれ、立ち止まって、こっち見てる。なんだろ」
あおいが、体を隠そうとする。
「ダメだよ。まだ。待期のポーズするの」
やさしく、ささやく。
ためらいつつ、元の姿勢にもどる。
「環菜さん、まだこっち見てるけど…今日遊ぶ約束してたの?」
首を横にふる、あおい。
「そっか。でも、どうしようね。今日は一日アタシのベットになるって約束だもんね。それとも…このまま一緒に遊ぶ?」
さっきよりも激しく首をふる。
「環菜さん、まだこっち見てる。このままじゃ、あおいの本当の姿、知られちゃうね」

体を隠すこともできず。
恥ずかしそうに、腰をくねらせる。
「あ、環菜さんがびっくりしてる。ウソ、なんで?見えないはずなのに…ごめんね、環菜さんにバレちゃったみたい」
「ふーっ、ふーっ、ふーっ…」
鼻息荒く。
顔をまっ赤にしながら、首をふる。

「ほら、手、貸してあげる。イクイクしていいよ?」
あおいの手を握り、アタシの腕をつかませる。
「よくガマンできたね」
あおいの下腹部へ、手を誘導する。
「もう、ガマンしなくていいんだよ?ほら、いっぱいイクイクしょうね?」

おそらく、葛藤しているのだろう。
環菜さんに見られているかもしれない、という不安と。
イクイクしたいという欲求と。

腕で、『そこ』に軽く触れる。
あおいの息がさらに荒くなる。
「もうこんなになってる…ほら、アタシの腕、あおいのエッチなお汁でベトベトにして?」
そう言いながら、腕を軽くおしつける。
「気持ちよくなろ?ね?」
アタシの腕をつかんでいる、あおいの手。
そこに、力が加わった。

ゆっくりと、遠慮がちに動き始める。
徐々に、スピードを増していく。
「ほら、イクイク、気持ちいいね。イクイク、イクイク…」
耳もとでささやく。
「ふーっ、ふーっ…」
「ほら、環菜さんにも見てもらおうね?イクイク、イクイク…」
ボールギャグからよだれを垂れ流す、あおい。

「環菜さんが笑ってる。あおいがイクイクしてるところ見て、笑ってるよ?よかったね。いっぱい笑ってもらおうね」
首を振りながらも、あおいは腰をリズミカルに動かし続ける。
「あ、こっちに来た…こんにちは、環菜さん」
いもしない環菜さんと会話をする。
「この子、アタシの手でイクイクするのが大好きなんです。ほら、気持ちよさそうでしょ?それでね、イクイクするところを見られたり、オアズケされちゃうのも、好きなの…この子がイクイクするところ、環菜さんも見ててくださいね」
必死にイヤイヤをするあおい。

「あーあ、環菜さんにバレちゃったね、あおいがマゾ犬だってこと。こんな姿見られたらもう、対等な関係には戻れないよ。これからは、友人じゃなくて、環菜さんのベットとしてかわいがってもらおうね」
「う゛ーっ、う゛ーっ…」
あきらかに、あおいが興奮しているのが分かった。
「あおい、待て!待てだよ。動くのを止めるの。分かった?」
腰を止めるあおい。
何かに耐えるかのように、しきりに首をふっている。

「ほら、こうしてオアズケすると、こんなによろこぶんです。環菜さんも、これからはいっぱいオアズケして、この子のことかわいがってあげてくださいね」
あおいの腰が、動き始める。
「待てって言ってるのに。腰、動いてるけど?」
歯をくいしばる。あおい。
それでも、腰が勝手に動いてしまうのだろう。

「もう、ガマンできないんだ?いいよ、動いて。環菜さんの前で、好きなだけイクイクしな?ほら、環菜さん、あおいを見て笑ってるよ?情けないあおいの姿を見て、カワイイって。環菜さんはSなのかも。よかったね。」
よだれを垂れ流し、うめき声をあげながら…
再び腰を前後にゆする、あおい。

オアズケをされていたからか。
それとも、友人である口さんに見られているかもしれないという、羞恥心からか。
顔をまっ赤にしながら。
汗と、よだれと愛液とでぐちゃぐちゃになりながら。
快楽をむさぼるように。
屈辱と情けなさを、己に刻みつけるように。
腰を動かす。

「イクイク、イクイク…環菜さんに見られながら、イクイク、イクイク…」
耳もとでささやく。
「あんなに仲がよかったのに、これからはペットとご主人様の関係だよ?環菜さんに飼ってほしかったら、気持ちよくイクイクするところ、見ててもらおうね。イクイク、イクイク…」
一心不乱に腰を動かす、あおい。

「ホントにイクイクしちゃうの?環菜さんのペットになっちゃうの…?そっか、それならしかたないね。それじゃ、私のことペットにしてください、私のご主人様になってくださいって思いながら、イクイクしよっか」
うなり声をあげながら、頭を前後に動かす、あおい。
「これからは、環菜ちゃんじゃなくて、ご主人様って呼ぶんだよ?自分のこと飼ってくださるんだから、当然だよね。感謝の気持ちを込めて、イクイク、イクイク…」
あおいのおたけび。
体が震えはじめる。

「ほら、あおいの体が環菜さんのペットになる準備ができたって言ってるよ。大丈夫、こわくないよ。アタシもついてるからね。このまま身をゆだねて….身も心も、環菜さんの立派なマゾ犬になろうね。ほら、気持ちいいの、来てるね。ほらほら、イクイク、イクイク…」
あおいの、声にならない声がボールギャグからもれる。
全身を硬直させ…
小刻みに、何度も体を震わせる。
口からは、大量のよだれと、意味不明な声が漏れ続ける。
愛液が床に水たまりを作っている。
「あー…気持ちよかったね…環菜さんも、あおいのこと、飼ってくれるって…よかったね…」
余韻にひたるあおいの耳元でささやく。

あおいをソファで休ませ。
フローリングの水たまりを拭き取る。

汗なのか、涙なのか。
水分を吸って重くなったアイマスク。
そうだ、水分補給…
冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルを取り出し、コップへ注ぐ。
リビングに戻り、あおいの横に座る。
コップを、あおいの口もとに寄せ…
少しずつ飲ませていく。
ハンドタオルで、あおいの汗をふきとっていく。

ソファに座るアタシの種で、あおいが横たわっている。
アタシの太ももに、あおいの頭が乗っている。
頭をなでてあげると、目を細めて嬉しそうな表情をする。
「さっき、すごく興奮してたね。環菜さんに見られてるかもって思ったの?」
あおいと目が合う。
「環菜さんのペットになるとこ、想像したの?」
やさしく語りかけるように。
もし、本当にそうだったら…
胸が、少し痛む。
嫉妬。

「じゃあ、今度は環菜さんも呼んで、本当に見ててもらおうか。環菜さんのこと、ご主人様って呼べる?」
あおいの非難するような目。
「うそうそ。そんなことしないって」
冗談ぽく言いながら、内心ホッとする。
「あおいのご主人様はアタシだけ。誰にも渡さないよ」

汗ばんだ、あおいの額。
髪をかき分けてから、そっとキスをする。
少し悲しそうな顔をする、あおい。
胸が、痛む。
「キスされるの、イヤ?」
首を横にふる、あおい。
あおいの手がのびる。
そのまま、アタシの頭をポンポンと触れる。
優しい、いつくしむような表情。

何かがこみ上げてくる。
あいあおいの手が離れていく。
アタシは何も言えず、ただ、優しくあおいの頭をなで続ける。
気持ちよさそうな、あおい。
プレイをする気にはなれず、そのまま時がゆっくりと流れていく。

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