ポニーガールとご主人様 第二章(5)鉄の下着

2回目のレースから1週間後。
週に一度、ご主人様から与えていただける、馬として過ごす時間。
乗馬服を着て、鞭を構えた新田。
彼女の足もとに跪く。
そして…
『乗ってください』
目で、訴えかける。
ニヤッと笑い、私に跨る新田。

新田の太ももが、私を締め付ける。
それだけでどうにかなってしまいそうなほど、昂ってしまう。
脚と手綱と鞭を使って、私を乗りこなす少女。
彼女から与えられる指示に従うたび、体の奥から何かが溢れてくる。
頭がぼうっとして、指示に従うことしか考えられなくなる。

部室内に置かれた姿見。
その前を通るたび映る、マゾ女の情けない姿。
そして、そんなマゾ女を支配する小さなドミナ。
網膜に、脳に、焼き付けられていく。
手綱を通して轡に伝わってくる、新田の意思。
逆らうことができない、圧倒的な力。

自分の背に跨っている少女は、自分より格上の存在なのだと。
そんな彼女に乗っていただいているのだと。
そして、鞭が私の尻を叩く。
衝撃。
そして、音。
するどい痛みが、快楽となって甘く溶けていく。
絶体的強者と、それに媚び、従う存在でしかない自分。
明確に立場が分かれた2人の女。

そして、もう一人。
ただじっと正座をして、私たちを眺めている女。
ご主人様も私も、彼女の存在を認識しつつも、あえて無視していた。
彼女はいないものとして扱われ、しかし同時に見せつけられていた。
ドミナントとサブミッシブの、ふたりだけの世界を。
不思議な感情だった。

新田に対しては、服従し屈服させられたい、もっとひどい目にあわされたいと思うのだが。
彼女を見ていると逆のことを思ってしまうのだ。
もっと悔しい思いをさせたい。
もっと情けない思いをさせたい。
もっと恥ずかしい思いをさせたい。
私が新田から責められている姿を彼女に見せつけたい。

そうやって、彼女が泣きそうな顔をしているのを見るとゾクゾクしてしまうのだ。
今の私はマゾであり、同時にどうしようもないほどサディスティックな女でもあった。
目の端で、畑川の姿を捉える。
下唇を噛みながら、じっとこちらを見つめ続けている。

時折、太ももをモジモジと擦りあわせ。
どこか困ったような顔で、ソワソワと落ちつかない。
開始前、彼女は新田から、とあることを言い渡されていた。
正座をしながら、この後のプレイをじっと見ていること。
おそらく、畑川は覚悟していたはず。
新田からの命令を。

しかし、実際に与えられた指示は、正座をしながら私たちを見守ること。
畑川の願望を、新田はとっくに見抜いていた。
抜いたうえで、焦らしているのだ。
オアズケされたまま。
ただ、見せつけられる。
まだ、与えられない。
嫌というフリをしつつも、彼女が求めているもの。

『オナニーしなさい、麻友』
後輩から、自慰するよう命令される。
いうなれば、寝取られオナニー。
それも、悔し涙を浮かべながら、屈辱で身を焦がしながら。
敗北者としての負け犬オナニー。
憎いはずの女に、敗北者としての烙印を押され。
命令されるがまま、己の体を慰める。

新田に見下されながら。
私に蔑まれながら。
悔しさと情けなさに包まれながら、自らを貶めていく。
それが今、彼女が切望していることだった。

もの欲しそうな顔で、こちらを見ている畑川。
その目を見れば、彼女が被虐的な感情に支配されていることが分かる。
太ももを擦り合わせる頻度が増している。
顔を赤くしながら、しかし、けなげにも、新田の言いつけを守っていた。

新田からの指示で、畑川の前で止まる。
新田が降りやすいよう、身をかがめる。

「テーブルに手をつきな、紗枝」

私から降りた新田からの新たな指示。
「わ、分かりました」
媚びた笑みを浮かべて、言われた通りにする。
畑川に向けて、お尻を突き出すような姿勢。

「ねえ、畑川センパイ」
それまであえて無視していた畑川に、新田が声をかけた。
畑川の体がビクッと震える。

「今から、この鞭でコイツのお尻を叩くんですけどぉ…」
手に持った鞭を振る新田。
ビュッ、ビュッという、空気を切り裂く音。

「センパイも叩いてみます?これで、コイツのここ」

ピタピタと。
鞭が、私の尻に当てられる。
「え?わ、私が?」
「そう」
「で、でも、なんで…」
「だってこの前、コイツが叩かれてるところを見て、すごーくエッチな顔してたじゃないですか。だから、叩いてみたいのかなぁって」
「わ、私が中谷先輩の…」
畑川が、唾を飲み込む。

「それに…ホントは私、知ってるんですよ?畑川センパイと三井センパイをレースにお誘いするより前。ここで、私がコイツのこと叩いてあげてた時…」
「や、やめて、それは…」
「ドアの向こうで、覗いてましたよね?覗きながら、してましたよね?オナニー」
「そっ、そんなこと…」

「だからぁ、畑川センパイも、叩きたいのかなって思ったんです。ほら、こんなチャンス、もう二度とないかもしれませんよ?」
「で、でも、中谷先輩にも聞いてみないと…」
「ん?コイツの気持ちが気になるんですか?だったら聞いてみたらどうです?」
畑川のヒクツな目が、こちらを見上げる。

「な、中谷先輩…わ、私…」
「ゼッタイ、いや!」
「えっ…」
ショックを受けた表情の畑川。
対照的に、新田がおかしそうに笑う。
「あーあ、ふられちゃいましたね、センパイ」
「う、うぅ…」

「でも、安心してください。そんな情けないセンパイでも、今回は見せてあげます。コイツが私に叩かれてるところを、特等席でね」
「そ、そんな…」
新田が、私に向きなおる。
「ほら、紗枝。叩いて欲しかったらオネダリしな?」
ドミナントによる命令。

私は、お尻を上下左右に振りながら、ご主人様に媚びる。
新田の笑い声を聞くたび、嬉しくなる。
新田の嘲りが聞こえるたび、体が熱くなる。
そして…

畑川。
私がお尻を動かすたび、それを追うように視線を動かす。
泣きそうな顔をしながら、しかし、発情していた。
その手が、少しずつ股間へと伸びていく。
その瞬間。

「おい、畑川、誰がオナニーしていいって言った?」

新田の声とは思えないほど、迫力のある声。
ビックリした畑川が、新田を見上げる。

「私がいいって言うまで、そこで正座したまま見てるんだよ」

畑川の手が震えていた。

恐怖か、怒りか。
いや。
マゾヒストとしての性が、そうさせているのだ。

「私のお情けで見せてもらえるんだからね。アンタは私が許可を出すまで、指をくわえて見てるしかないの。分かった?分かったら返事しな、負け犬」
「はっ…はい…」
畑川が、本当の意味で新田に屈服した瞬間だった。

新田の鞭が、再び私のお尻に当てられる。
そして…
ビシッ!
振り下ろされる。
体が、心が求めていた痛み。

ビシッ!
ビシッ!
立て続けに2回。
思わず、身をよじる。

「ほら、動くな」

あわてて、元の姿勢にもどる。

ビシッ!
ビシッ!
ビシッ!
うめき声がもれる。
「手で遮ろうとするんじゃないの、根情なし」
「も、もうしわけありません…」

ビシッ!
ビシッ!
それでも、本能によるものか。
叩かれるたび、無意識に身をよじってしまう。
手を動かしてしまう。

「ねえ、紗枝、何度も言わせないでよ。それとも、そんなにイヤなら、もう叩いてやんないよ?」
「ち、違うんです。ごめんなさい!」
「次やったら、この負け犬に叩かせるよ?」
「そっ、それは、やめてください…」
「アハハ!そんなにイヤなんだ?」

畑川を見る。
手の震えは、全身にひろがっていた。
それでも視線は、動かない。
なぜ畑川に対して、ここまで残酷な気持ちになれるのか。
自分でも不思議だった。

「畑川、オナニーしたい?」
「し、したいです…」
「聞こえない。もっと大きな声で!」
「おっ…オナニー、したいです!」

「アハハ!オナニーしたいんだ?好きな人が酷いことされてるのに、それを見ながらオナニーしたいんだ?」
「しっ、したい!オナニーしたいです!させてください!」
「うら若い女性が人前で、しかも好きな人と、それを奪った女の前で?オナニーしたいの?」
「したいです!させてください!」

「後輩に懇願してまで、オナニーしたいんだ?今のセンパイ、すごーく、カッコ悪いですよ?カッコ悪くてもいいの?」
「いい!!カッコ悪くてもいいから!」
「そうなんだぁ。でも、ダーメ!まださせてあげない!」
「なっ、なんで!」

「アンタのその顔が面白いから。ほらほら、もっと情けない顔で、みっともなくオネダリしなよ。そしたらオナニーさせてあげるかもよ?」
「お願いします!オナニーさせてください!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で。
新田に懇願する。

目の前でさんざん見せつけられ、焦らされた挙句。
なおもオアズケを喰らう畑川。
「ねえ、分かってる?自分が何言ってるのか。後輩に向けてオナニーさせてくださいって言ってるのよ?」
「分かってます!」
「普通の人は、そんな恥ずかしくて情けないこと言わないのよ?それも分かってる?」

「分かってます!」
「アンタみたいなヘンタイ、何ていうか知ってる?マゾ。マゾヒスト。寝取られマゾ女。私は寝取られマゾ女です。ほら、言ってみな?」
「う、ぐぅ…」
「言わないの?じゃあ帰りな」
「わっ、私は…寝取られ、マゾ女、です…」
新田が、鼻で笑う。

「負け犬の私は、中谷センパイがお尻を叩かれているのを見て興奮する、ヘンタイマゾ女です。はい」
「ま、負けっ、負け犬の…ぐぅぅ…」
「今更恥ずかしがるなよ、ヘンタイ」
「うぅぅ…」
目に涙を浮かべながら、下唇を噛む畑川。

「負け犬の、私は、中谷センパイがお尻を叩かれているのを見て興奮する、ヘンタイ、マゾ女…です」
「新田様のお情けで、この場にいさせてもらっている、みじめな負け犬です。はい」
「新田…様の…お情けで、この場にいさせてもらっている、みじめな…負け犬、です…」

新田の言葉を、オウム返しする畑川。
「ちゃんと自己紹介できたじゃん。次からは、私が教えなくても自分から言うんだぞ、麻友?」
「は、はい…」
「あ、そうだ。そこのテーブルに置いといたそれ、開けてみな?」
テーブルの上にある紙袋。

「あ…はい」
畑川が、手をのばす。
袋から出てきたのは…
昔観た動画で、見たことがあった。
貞操帯。
「それ、私からのプレゼント」
「えっ?」
「レースに参加してくれたお礼と、これからもよろしくの意味も込めてね。センパイに似合うと思って買ったの」
「そ、それは…でも…」

「これからは、それを付けて過ごしてね?安心してよ。ちゃんと毎週外してあげるからさ」
「そ、それは、どういう…」
「受け取ってくれないの?受け取ってくれたら、オナニーさせてあげてもいいんだけどなぁ」
「え?」

「オナニー、したいんでしょ?さっきまであんなに言ってたじゃん。オナニーさせてくださいって。聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらい」
「そ、それは…」
「どうなの、麻友?したいの?したくないの?」
畑川が口をつぐむ。

「コイツのお尻が真っ赤に腫れあがるところ、見たいでしょ?鳴いたり身をよじったり、お尻をフリフリしながら私にオネダリするところ、今日だけじゃなくて、来週以降も見せてあげてもいいのよ?」
畑川が喉をならす。

「コイツの情けないところを見ながらするオナニー、とっても気持ちいいんでしょ?」
ビシッ!
「あうっ!」
突然、お尻に痛みが走った。
「ほら、鳴いた。好きでしょ、コレ?」
「う、うぅ…」
「恥ずかしがらなくて大丈夫。私は全部受け入れてあげる。畑川センパイの情けないところも、全部。だから、ね?正直に教えて?寝取られマゾオナニー、したいでしょ?いいよ、好きなだけさせてあげる」
「わ、私は…」
「ん?ほらほら、正直になりな?」」
「お、オナニー、したいです…させてください…」
「オナニー、したいんだ?」
「は、はい…」

「だったら、もう一回自己紹介しな。ほら、さっき私が教えてあげたでしょ?」
「わっ、私は…ね、寝取られ、マゾ女、です…」
興奮のあまり、呂律のまわらない口で。
屈辱的なセリフをつぶやいていく。

「これからは、それをつけて過ごすこと。私の命令には従うこと。ちゃんといい子にできたら、外してあげるからね?分かった?」
「わ、分かりました…だから、お、お願いします…」
「はい、決まり!今日からアンタは私のペット2号ね。1号はコイツ。二人とも、一生懸命私に尽くすんだぞ?」
「は、はい…」

「それじゃあ、ペット2号。ご主人様が命令してあげる。よぅく聞くんだぞ?ほら、オナニーしろ、ヘンタイ!」
「あっ…」

畑川の体が震える。
そして…
ズボンの中に、手を入れた。
それを、動かし始める。
「あーあ、ついに始めちゃった。なっさけない顔。あ、そうだ」

部屋の片隅に置かれた姿見。
それを持ち上げ、私の隣に置いた。
「ほら、これで大好きな中谷センパイを見ながら自分の姿も見えるでしょ?鏡に映った自分の情けない姿を目に焼き付けながら、オナニーしなさい」
畑川は答えない。
ただ、悩ましい声をあげながら、こちらを見上げている。

「ほら、尻出しな、紗枝」
新田からのスパンキングが再開される。
もう、新田も私も畑川を見ようとはしなかった。
新田の振り下ろす鞭が、私のお尻を赤く染めていく。
背後からは、すすり泣きのような、うめき声。
そして、かすかに水音が聞こえる。

「ほら、腰動かすなって言ってるのに!」
「もっ、もうしわけありません!」
謝るものの、叩かれるたび、意思に反して腰をクネらせてしまう。

「そんなに言うことが聞けないから、オシオキするよ?お尻の穴を撮られるのと、結花ちゃんや高倉先輩にその姿を見られるの、どっちがいい?」
「ごっ、ごめんなさい!」

謝りながらも、想像してしまう。
私がお尻をつき出しながら、テーブルに手をついている姿。
溝口が、高倉が、見ている。
恥ずかしい姿をした私が、ふたりに見られている。

『ビックリしたでしょ?いつも気取ってるくせに、裏ではこんなことしてるのよ、この人。ほら紗枝、いつものアレ、ふたりに見せてあげな』

突き刺さる視線。
先輩としての矜持が、記憶が、羞恥心を掻き立てる。
お尻を動かす。
ふたりの笑い声。
自分の立場が、序列が、落ちていく。

『こんな情けない人だと思わなかったでしょ?これ、私が無理やりさせてるわけじゃなくて、本人がやりたくてやってるの。そうですよね、中谷センパイ?』
お尻を動かしながら、顔だけ振り向く。
2人の顔。
蔑むような、何かを期待するような顔。
私は、恥ずかしさに耐えながら、うなずいた。

「ねえ、想像してたでしょ」
新田の声。
現実に引き戻される。
「アンタさ、そういうところあるよね。すぐ想像の世界に入って、エッチな気分に浸っちゃう。今だって、私が言ったから結花ちゃんや高倉先輩に見られてるところ、想像してたんでしょ」
「そ、それは…」
「違うの?」
「違わない、です…」
「やっぱり。ま、別にいいけどね。勝手に浸ってくれたほうが、私も手間が省けるし。ホント、ちょろいよね、アンタって」
「ううぅ…」
「ま、私が飽きないうちは、イジメてあげるからさ。だから、私に飽きられないよう、せいぜい頑張るんだぞ?」
そう言いながら、私のお尻を鞭でつつく。
「それと、さっきの話だけど。想像するってことはさ、アンタもそれをどこかで期待してるってことじゃないの?」
「えっ」
「次回のレースでは藤崎先輩を呼ぶけど、一緒に呼んであげようか、結花ちゃんと高倉先輩も?」
「やっ、やめてください…」

「そんなこと言ってさ、顔に書いてあるんだよ、お前が何を考えるかなんて」
「そんなこと…」
「紗枝は、私のペットとしての自覚がないみたいだね」
「ち、ちが…」
「ま、いいよ。三井センパイっていう面白いオモチャも手に入ったことだし、畑川もいいカンジに遊べそうだしね」
そう言って、畑川に向き直る。

「2号、手、止めな」
「えっ?」
「手を止めろって言ったのよ、お猿さん。オナニーのしすぎで、人間の言葉が分からなくなった?」
「すっ、すみません…」
「今日はもうオシマイ。続きは来週」
「え、そ、そんな…」
「あれ?不満なの?」
「い、いえ!」

「そう。じゃあ、約束通り、それ付けてね」
貞操帯を指差す新田。
「は、はい…」
気持ちの整理がつかないのだろう、どこか浮かない表情をしている。
それでもプレッシャーに負けたのか、新田の顔色を窺いながら、貞操帯に手を伸ばす。
鈍く光る、ステンレス製の下着。

その内側は、黒いシリコンで覆われている。
付属の説明書を読みながら、自らに取り付けていく畑川。
オシッコをするためなのか、前側の下の部分には無数の小さな穴があいていた。
後ろ側はよく見えなかったが、おそらく、排泄に支障のない構造になっているのだろう。

畑川の、引き締まっていつつも、女性らしい柔らかな体。
その下腹部に取り付けられた、無機質な貞操帯。
どこか、異様ですらあった。
でも、これで完成ではなかった。
あと一つ、足りない。

「鍵は、自分で付けな」
「はい…」

2つの南京錠。
ゆっくりと手を伸ばし、掴む。
1つの錠を、ベルトの中央部分に。
カチッ…
もう1つを、無数に開いた小さな穴の少し上付近に。
カチッ…
後悔か、不安か、恐怖か。
畑川が、ギュっと目を閉じた。

「カギは、私が管理してあげるね」

南京錠のカギ。
畑川が、震える手で、カギをつまみあげる。

ジッと見つめ…
そして、両手で捧げ持つようにして、新田に差し出した。
オモチャのような、小さなカギ。
しかし畑川にとっては人生を左右しかねないほどの、極めて重い、大切なモノだった。
自らの、人としての本能を。
人としての尊厳を。
目の前にいる少女に捧げる畑川。
それを、無造作に摘まみ上げる少女。
「あっ…」
未練がましい顔で、カギを見つめる畑川。

「これで、私の許可なしにオナニーできなくなっちゃったね、センパイ?」

不安げな顔で新田を見上げる畑川。

「これからは、どんなにエッチな気分になっても、自分じゃ触れないの。ほら、紗枝、コイツに向けてケツふりな」
言われた通り、お尻をクネらせる。
畑川に見せつけるように。
蠱惑的に。
畑川に流し目を送りながら、誘うように。
「ほら、中谷センバイが畑川センパイのこと、誘ってますよ?」

「あ、ああぁ…」
私のお尻の動きに合わせて、畑川の目が動く。
「オナニー、したいでしょ?でもダメだからね。来週までオアズケ」
「う、うぅ…」
「そんなに鼻息荒くしちゃって。すごい顔してますよ、センパイ?」
逃げ場のない欲求が、畑川の中で膨れ上げっているのだろう。
見ても辛いだけのはずなのに、それでも私のお尻から目が離せないでいる。
「このカギ、返してほしい?」
畑川が、何度もうなずく。
「ふふっ。だーめ。だってコレ、もう私のだもん。辛い?でも、自分で選んだことだから、受け入れないとね。それに、これからだよ。本当の意味で、自分のしたことを思い知るのは」
親指と人差し指でカギを摘まみ、畑川の目の前でチラつかせる。
カギを見つめながら、何度も首を横に振る畑川。
「言っとくけど、泣いて懇願してもカギは開けないからね」

次のレースまでの間、毎週調教は行われた。
新田から調教を受ける私を、正座しながら見つめる畑川。
その体には、一つのモノしか身に付けていない。
新田からプレゼントされた金属製の下着。
時には、調教が終わるまでの間、ずっと土下座をさせられていることもあった。

まるで召使いのように、新田の言いなりとなった畑川。
それもそうだ。
1週間という、狂おしいほど長い時間を耐え抜いたにもかかわらず。
もし彼女の機嫌を損ねようものなら、ご褒美どころか、辛いオシオキが待っているのだ。
貞操帯の効果は、恐ろしいほどだった。

「ほら、2号、こっち来な」
新田の命令。
四つんばいの姿勢で、這い進む畑川。
新田の前で、止まる。
「そのまま、私がいいって言うまで動くなよ?動いたらオシオキだかんね」
畑川の背に腰かける新田。

「紗枝、お尻ダンス」
新田に楽しんでもらえるよう、必死にお尻を動かす。
「2号、お前の大好きなセンパイがお尻フリフリしてるよ?見たい?」
「み、見たいです!」
「そう。見ながらオナニーしたい?」
「み、見ながら、オナニー、したいです!」
「そんなに見ないんだ?それじゃあ、頑張ったごほうび、あげちゃおうかな」
「あ、あり、ありがとうございます!」

新田が腰をあげる。
畑川が起き上がり、手を頭の後ろに回す。
そして、ゆっくりと腰を落とす。
中腰のまま、媚びるような視線で新田を見つめる。

「言われなくても、私が教えてあげたポーズ、ちゃんととれるんだ?畑川のクセに、エライじゃん」
悔しさと、恥ずかしさと、嬉しさの入り混じったような笑みを浮かべる畑川。
「ふふっ。ご主人様がカギを外してあげるから、今日も寝取られマゾオナニーでご主人様を楽しませるんだぞ、2号?」

首に下げたネックレスを外す。
そしてそれを、畑川の貞操帯へ…
カチッ
南京錠を外す、小さな音。
カチャカチャと音を立てて、畑川が忌まわしい下着を外す。
そして、やはり中腰のまま…
目を見開いたまま、己の秘部へと手を伸ばす。

畑川にとっては、一週間ぶりに触れる場所。
自身のものでありながら、新田の許可なしには触れることのできない場所。
パイプ椅子に座った新田が、私を見て眉をしかめる。

「おーい、紗枝。そのダンス、ワンパターンじゃない?さすがに飽きてきたんだけど」
「えっ」
「次回までに、練習してきな。同じような動きしかしないなら、もうイジメてあげないから」
「わ、分かりました…」
「それとも、お前にも貞操帯付けさせようか?言われなきゃ分からないおバカさんなの?」
「それは…勘弁してください…」

「もっとできる子でしょ、紗枝ちゃんは?さもないと、1号から2号に降格させちゃうよ?それで、こっちのオナ猿を1号にしちゃおっかな」
そう言って、つま先で畑川を小突く。
「そ、そんな。私は…」
畑川が困惑する。

「紗枝のほうが先だったから、1号ってことにしてるけどさ。アンタが2号でこっちを1号にしてもいいんだよ?」
「そ、それだけはやめてください!」
「この子、座りごころも悪くないし、物覚えも悪くなさそうだし。ダンスだって、お前より楽しませてくれるかもね」
「や、やめてください…」

「次回ダメなら、アンタは次からイスね。で、2号って呼んだげる。アンタはこいつのこと、1号さんて呼ぶんだぞ?」
「そ、それだけは…」
「だったら、頑張りなよ?どうすれば私を楽しませられるか、どうすれば私に満足してもらえるか。その頭でよーく考えな。1号のままでいたいならね」

コメント

  1. ロム より:

    毎回楽しみにしながら読ませて貰ってます。
    中谷にお尻ダンスさせたり羞恥を煽るシーンが気に入ってます。Twitter上だともう少し話が進んでいますが、マスク被せて〜というのは個人的にツボです。
    三井みたいなキャラはMに目覚めて欲しいなぁと思ったり(伏線?の通りだと目覚めかけている?と思うので、堕ちる時を楽しみにしています(笑))
    新年早々色々ありましたがお身体にお気をつけて無理なく執筆していただければと思います。

    • slowdy より:

      >ロムさん
      いつもありがとうございます!
      遠野シスターズを書いたとき、羞恥系のプレイが好評いただけたので、今回は割とその辺りを意識して書いています。
      テーマが良かったのか、書きたいシチュが色々と思い浮かぶので、一つひとつ形にしていけたらと思っています。
      中谷もですが、三井も畑川もそれぞれMとして調教されていく予定ですので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
      ロムさんも、お身体に気を付けてお過ごしくださいね。