マナドリンカー ~尊厳を搾り取る者~ 第2話

前回のあらすじ
マルレートは、死闘の末、勇者たちを捕らえることに成功する。
デスハイムに帰還した彼女は、魔王の側近へ勇者たちを引き渡した。
魔王からの報償として彼女が求めたのは、マナを搾り取る現場に立ち入ることだった。
サキュバスにマナを搾り取られ、魔力も高位魔法も失っていく魔法使い。
彼女のマナを魔王が取り込んでいく様を想像し、マルレートは不思議な感情に襲われるのだった。

主な登場人物
マルレート・フォン・シュルツ
 吸血族の当主。
 魔王の強さの秘密を知るために、『儀式』へ立ち会う。

魔王の側近
 竜人族の上級魔族。
 『儀式』の采配を魔王より命じられる。

サキュバス
 マナを搾り取るという特殊能力を持つ、夢魔族。
 相手を魅了するという点に特化した彼女たちは、一部の例外をのぞき、戦闘能力は極めて低い。

神官
 聖魔法の使い手。
 仲間の傷を癒すだけでなく、下級魔族なら一瞬で消滅させるほどの魔力を持つ。
 敬虔な信仰者である一方で、倒錯的な願望を持つ。
 


自分の屋敷へと帰ってきたマルレート。
書斎の中で、魔法使いのことを考えていた。

彼女の攻撃魔法は、規格外といっていいほどだった。
正直、人間ごときに、と思っていたのは事実だ。
あれほどの高位魔法を操れるのは、魔族の中にもそうはいまい。
いったい、どれほど厳しい修行をしてきたのか。
それに、あの若さだ。
あのまま成長を続けていれば、と考えると、ゾッとする。
闘うのがもう少し遅ければ、やられていたのは自分のほうだったかもしれないのだ。

地下室での『儀式』を思い出す。
魔法使いの、痴態。
本来なら、サキュバスなど彼女にとっては道ばたの石ころのようなものなのだ。
それが、魅了され、誰にも知られたくないヒミツをさらけ出され…
想いを寄せる者の名を呼びながら、いとおしそうに口づけをする。
歓喜の声をあげて身体を震わせる彼女から、マナが流れ出していく。
あのマナに、彼女の、魔法使いとしてのすべてが詰まっていたのだ。
類まれな才能も、努力によって培ってきた数々の魔法も。
そして、もしかしたら、あくまでもしかしたらだが、魔王を脅かすほどの存在になったかもしれない可能性も。
稀代の魔女は、たった一時間足らずの間に、初級魔法ですら満足に扱えない搾りかすにされてしまったのだ。
マナは、人にのみ備わっているわけではない。
どんな生き物にもマナは存在しているし、理論上は、サキュバスたちはどんなものからでもマナを搾り取ることは可能だ。
どんなものからでも…
マルレートとて、例外ではないのだ。

自分は、魔族にとっての脅威の芽を摘み取ったのだ。
誇るべきことだった。
それなのに、胸の奥で燻るこの感情は何なのか。
正体の分からない感情に、いら立つマルレート。
「クソッ!」
思い切り机を叩く。
樫でできた頑丈なそれが、真っ二つに割れる。
物音を聞いた従者が、血相を変えて部屋に飛び込んできた。
割れた机を見て呆気にとられる従者を、マルレートは面倒くさそうに手で追い払うのだった。


あれから数日後。
彼女は、再び例の地下室へとやってきた。
今日も『儀式』が行われるのだ。
魔王の側近の竜人族。
マルレートに気づき、小さく手をあげる。
軽く会釈し、その隣へと歩み寄るマルレート。
「物好きだな、卿も」
彼女の方は見ず、儀式を準備する下級魔族たちを見つめる竜人族。
見た目こそ人間に近いが、背には黒いつばさを、尻には黒い尻尾を生やし。
戦闘になると、その身を巨大な龍の姿へと変え、灼熱の炎で周囲を燃やし尽くす。
知力、魔力においても、その能力の高さは魔族の中で頭一つ、二つ抜けていた。
「憎き勇者たちが、どんなブザマな姿を晒すのか、楽しみでしてね」
「ふん、そうは見えないが…」
もともとは、竜人族は魔王と敵対関係にあったという。
それがなぜ、魔族として魔王の配下になったのか。
様々なウワサはあるが、どれも憶測の域を出なかった。
「それは、記録の魔石ですよね」
竜人族の手にあるものを見て、マルレートが言う。
今日の『儀式』の映像も、記録の魔石に込めて、魔王に献上するのだろう。
「ああ、魔王様の命令でな。まったく、酔狂なものだ…」
最後の方の言葉は、マルレートにも聞き取れないほど小さな声だった。
「私にも、扱えるでしょうか?」
「ん、この魔石のことか?興味があるのか?」
意外そうな顔で振り向く竜人族。
「え、と、少し」
少し戸惑いながら答える。
「そうか」
竜人族が考えこむようなしぐさをする。
「卿ほどの者なら…」
何かを言いかけた時、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「入れ」
竜人族の返答のあと、重い音を立てて、ドアが開いていく。

今回連れてこられたのは、神官だった。
魔法使いのときと同じく、服を着ることは許されてはいない。
修道服に隠されていた彼女の身体は、ふっくらとした、柔らかい肉付きをしていた。
といっても、厳しい旅を続けてきたこともあってか、無駄のない、整ったプロポーションをしている。
ピンと上を向いた乳首が、彼女の気の強さを表しているようにも思えた。
そんな彼女が身につけているのは、首輪と、能力を封じるマジックアイテムの数々。
昨日と同じサキュバスにリードを引かれ、室内に入ってくる。
毅然とした目つきで、室内の魔族たちを睨みつける神官。
勇者たちはそれぞれ別の部屋で隔離されている。
魔法使いがどんな目にあい、どんな状態にあるのか、彼女は知らない。

腕力のさほど強くないサキュバスだが、それでも神官よりは上だった。
神官も、抵抗しても無駄だと思っているのだろう。
しかし、彼女があきらめていないということは、分かる。
彼女の目と口元に、それははっきりと表れていた。

儀式が始まる。
昨日と同じく、サキュバスが背後から抱きしめる。
しかし神官は、目も口もかたく閉ざしたまま。
サキュバスがささやく言葉にも、まったく反応を見せない。
神官の、かたちのいい、柔らかそうなお尻。
サキュバスの手が、それにそっと触れる。
あるかなきかの反応をみせる神官。
触れるか触れないか、絶妙な距離で、手のひらをゆっくりと這わせるサキュバス。
やさしく、それでいてねちっこく、執拗に。
サキュバスが、神官の耳元でそっとささやく。
目をギュっと閉じる神官。
先ほどと比べると、余裕がなくなっているのが見てとれる。

サキュバスが、自身の指を口にふくむ。
人差し指と中指を、唾液でまぶしていく。
口の中から出された二本の指が、てらてらと淫靡に光る。
それを、そっと神官のお尻にあてる。
あきらかに、神官が動揺するのが分かった。
サキュバスが、ささやく。
顔を耳まで赤くした神官が、かぶりを振る。
ちがう、ちがうとつぶやきながら、イヤイヤをする神官。
そんな彼女のアナル周辺を、二本の指でもみほぐしていくサキュバス。
歯を食いしばり、何かを耐えるような表情の神官。
神官の太ももを、愛液が伝っていく。
もう片方の手で、神官の太ももを撫でるサキュバス。
愛液で濡れたその手を、見せつけるように神官の顔の前でかざす。
イジワルな笑みをうかべ、耳元でささやく。
「ふーっ、ふーっ」
おのれの愛液で濡れたサキュバスの手を、鼻息を荒くしながら見つめる神官。
睨むように見つめ続ける神官の視線は、動かない。
ニヤリと笑うサキュバス。
中指が、ゆっくりと神官のアナルへ侵入していく。
聖職者にあるまじき顔で、それを受け入れていく神官。


厳しい戒律により、己の性欲を否定し、抑え込んできた彼女。
神に仕え、身をささげる者として、純潔を保ち続けてきた。
もともと知的好奇心の旺盛だった彼女は、性への関心も高かった。
ただ、彼女の信仰する教えは、性交はもとより、快楽目的で性器に触れることすら、許してはいなかった。
年頃の女性、まして性への興味が尽きない彼女が、それを我慢し続けるのは非常に苦しいものだった。
それでも、彼女はけなげにも、己の信仰を守り抜いてきたのだ。

神のお告げにより、いずれ勇者とともに魔王を倒す旅に出ることを知り。
神聖を高めるため、布教に務める傍ら、研究と修行に明け暮れる彼女。
そして、一人の女の子が現れる。
一見すると男の子にしか見えない彼女は、いずれ魔王を倒し、人類に平和を取り戻す勇者なのだという。
お告げどおり、手の甲には勇者の印が刻まれている。
数年の間、勇者の教育係として厳しく指導する彼女。
勇者は、スポンジが水を吸収するかのように、彼女の教えを吸収していった。
そして、どんなに厳しい目にあっても、決してあきらめるということはなかった。
そんな彼女に、神官も感化されていく。
彼女なら、魔王を倒せるはず。
そして、そんな彼女の教育係を務められること、彼女の魔王討伐の旅へ同行できることに無常の喜びと誇らしさを感じる神官。
そして、ついにやってきた旅立ちの日。
古来より伝わる『聖なる杖』を司祭より授かった神官は、勇者たちとともに魔王打倒の旅へと身を置くのだった。

彼女たちの旅は、常に死と隣り合わせの過酷なものだった。
生存本能によるものか、掻き立てられる欲求。
劣情と信仰心との板挟みで苦しむ敬虔な彼女。
転機が訪れたのは、旅先で泊まった街でのことだった。
研究用の書籍と、息抜き用の小説を数冊、本屋で購入する彼女。
本を読むことが、彼女にとって旅先での数少ない楽しみの一つだったのだ。
急いでいたため、内容をあまり確かめずに買ったのがいけなかった。
宿屋に戻り、先ほど購入した小説の1冊を取り出す。
そこで描かれていたもの…

ラブロマンスと思われたそれは、過激で卑猥な表現にあふれていた。
一人の女性が、様々な男性とのアバンチュールを楽しむ。
こんな低俗で、くだらないもの。
それに、この女性はなんなのだ。
性に奔放な主人公に、嫌悪感をあらわにする彼女。
しかし、ページをめくる手を止めることができない。
身体の奥が、下腹部が、熱い。
足をギュっと閉じ、太ももをこすり合わせるように動かす。
物語の終盤に差し掛かったころだった。
本来は排泄器官であるそれを使った、性交。
アナルセックスという概念を知らなかった彼女は、頭を殴られたようなショックを受けた。
そもそも、生殖のためではない、快楽だけを目的とした行為。
それもあろうことか、不浄な場所を使って…
そんなことが、そんなことが…
快楽のために女性器に触れることは、戒律で禁じられている。
しかし、その場所は…
アナルに触れることは、禁じられていなかったのだ。
抑圧された欲求と、幼いことから刷り込まれてきた教え。
彼女の中で限界まで膨れ上がり、渦巻いていたものが、倒錯的な形で吹き出してしまった。
スカートの中に、手を入れる。
びっしょりと濡れた下着をずり下ろし、指で『そこ』に触れる。
汚らしい…
潔癖な彼女。
しかし、自分を止めることはできない。
そっと、『中』へ指を沈めていく。
初めて経験する自慰。
世界には、こんなことがあったのか。
こんなに気持ちいいことを、自分は知らなかった。
時が経つのも忘れて、指をアナルへと出し入れする。
汚いものへの嫌悪感。
快楽をむさぼることへの罪悪感。
しかし、教えに背いているわけではない。
敬虔な自分は、これまで教義を守り、純潔を守りぬいてきた。
今もそうだし、これからもそうだ。
これは、イケナイことではない。
だって、その、とにかくイケナイことではないのだ。
だって、だって、イケナイことなら、教義で禁じられているはずだ。
理性的な彼女が、初めて本能に従い、快楽に没頭する。
自分に都合のいい解釈をして、ただただ、快楽を貪る。
まだ開発されていない彼女のアナルは、さほど気持ちいいものではないはずだった。
しかし、興奮が、抑え込んできたものが、大きすぎた。
指を動かすたび、脳内麻薬が溢れてくるのだ。

その時から、彼女に新たな趣味が増えた。
ただ、誰にも言えない、倒錯的な趣味ではあったが…

仲間の前では、いつも通りの厳格な彼女。
しかし、ひとたび身体に火が付くと、たとえ戦闘中でも思い出してしまう。
身体が、アナルが、あの快楽を思い出してしまう。
回復魔法を唱えているときも、聖魔法で敵を消滅させているときも。
『あのこと』で、頭がいっぱいで。
ヒクヒクと動く、排泄器官。
宿屋で独りきりになったとたん、押さえつけていた欲求を解き放つ。
本当は人一倍強い性欲を、本能のおもむくまま剥き出しにするのだ。

最初は一本の指だったのが、二本でも物足りなくなり。
祝福を受けた、聖なる杖。
仲間を癒し、多くの魔族を滅してきたそれを、あろうことか性的な目で見るようになったのだ。
あの持ち手の部分を、お尻に出し入れするところを想像する。
丸みを帯びた、凹凸。
己のアナルに挿入し、何度も、何度も出し入れする。
そのたびに、凸凹がアナルを甘く刺激していく。
考えただけで、イッてしまいそうになる。
古来より伝えられた、聖なる杖。
魔王を倒すために、代々伝わるそれで、己の不浄の穴をほじくり返すのだ。
そんなことを考えて、慌てて頭を振る。
さすがに、それだけはできない。
そんなことを考えてしまった自分を恥じる。
魔王を倒し、人類に平和を取り戻すこと。
勇者を育て、守り、ともに戦うことが、彼女の使命であり、生きがいだった。
もし、そんなことをしてしまったら、もう顔向けができない。
魔王を倒すことを信じ、杖を守り抜いてきた先人に。
自分を育て、送り出してきた修道院のみんなに。
自分たちを信じ、応援してくれるすべての人々に。
下品な声をあげながら、己のアナルをいじくる神官。
すっかり開発されたそれは、神官の指を歓迎するかのように、ヒクヒクと動く。
背徳感。
快楽のスパイス。
魔王を倒すための、唯一無二の聖杖に熱い視線を送りながら、神官の淫らなヒメゴトは続く…

神官のアナルが、サキュバスの二本の指をたやすく飲み込んでいく。
歯を食いしばる神官。
その口の端からよだれが垂れている。
サキュバスの口が、神官の口をふさぐ。
サキュバスの舌を、神官の歯が阻む。
「ちゃんと口を開けなさい…」
耳元でささやかれた神官が、ゆっくりと、サキュバスの舌を受け入れていく。
水音が、室内に響く。
神官にとって、生まれて初めてのキス。
ファーストキスの相手がサキュバスになるとは、どうして想像できただろうか。
しかし、今の神官にとっては、そんなことを考えているだけの余裕はなかった。
アナルを指でほぐされながら、口腔内を舌で犯され。
サキュバスの唾液が、口の中に流れ込んでくる。
不思議なニオイだった。
ただ、そのニオイを感じれば感じるほど、もっと欲しくなる。
飲めば飲むほど、身体が熱くなる。
神官の愛液が、太ももをつたい、床へ落ちていく。
サキュバスが、神官の仮面を剝ぎ取っていく。
貞淑な神官の、淫らな本性が、徐々に露わになっていく。

サキュバスの口が、神官から離れる。
少し、名残惜しそうな表情をうかべる神官。
サキュバスが、今度は自身のしっぽを口にふくむ。
神官に見せつけるように、催淫性のある唾液を、たっぷりとまぶし…
てらてらと光るそれを、神官に見せつける。
慌てて目をそらす、神官。
「だめよ。ちゃんと見なさい…」
神官の視線が、再びしっぽへと移る。
サキュバスのしっぽは、先端が少しとがっていて、かえしのような膨らみがついている。
ハートのような形にも見えるそれを、神官の顔の前で動かす。
ひらひらと動くそれを、目で追いかける神官。
サキュバスは満足そうに笑みを浮かべ、しっぽを神官のお尻に押し当てた。
何をされるのか察したのか、神官の身体がブルッと震える。
焦らすように、しっぽで神官のお尻を撫でまわすサキュバス。
「入れてほしいの?」
神官の顔を覗き込み、たずねるサキュバス。
眉根を寄せ、歯を食いしばって耐えている神官。
「ほら、素直になりなさい。あなたのここに、入れてほしいんでしょう、コレ?」
顔を真っ赤にしながら、快楽への誘惑に、必死に抗う。
「あなたのお尻の穴、ヒクヒク、ヒクヒク動いて、私の指を咥えこんではなさないの。真面目そうな顔してるくせに、本当はとってもいやらしいのね」
「ち、ちがう…」
「あなたが普段、仲間に隠れてどんなことしてるのか、私、知ってるのよ?あなたが今、どんなことされたがってるのかも」
神官がうつむく。
「このしっぽね、とぉっても、気持ちいいのよ?中で、ねっとりじっくり動いて、指なんかじゃ届かない場所も、このしっぽでやさしーく、擦ってあげる。ほら、思い出して?あなたがお尻でオナニーしてるときに、言葉では言い表せないほど気持ちよくなっちゃったとき、あるでしょう?脳まで痺れるような、あの気持ちよさ…このしっぽなら、あの気持ちよさを、いや、もっと気持ちいいこと、あなたに味わわせてあげられるのよ?それとも、この先っぽの返しで、お尻の穴、擦ってあげようか?出たり入ったりするたび、お尻の穴がめくれあがっちゃって、とっても、気持ちいいのよ?」
口の端からよだれを垂らし、歯をガチガチと鳴らす、神官。
自身の手で性感帯として開発された不浄の穴に、サキュバスの指が蠢く。
これ以上、気持ちいいことが、あるのだろうか。
今だって、こんなに気持ちいいのに。
あのしっぽを入れられたら、もっと、もっと気持ちよくなれるのか。
でも…
でも、ダメだ。
自分は、神官だ。
勇者とともに、魔王を倒すために、生まれてきたのだ。
「もう、ガマンしないで?ガマンは身体に毒よ?今までいっぱい、いっぱいガマンしてきたんだから、もう、気持ちよくなろ?ね?気持ちよくなりたいでしょ?」
勇者一行の中で、特に厳粛な神官。
厳しい戒律の中で、己を律し、純潔を守り続けてきた彼女。
物腰は柔らかだが、こうと決めたら決して譲らない一面を持つ。
聖魔法で仲間たちの傷を癒し、魔を退ける一方で、勇者の教育係として礼儀作法を教え。
魔王を倒すために、頑なに己を律してきた彼女が…
「ほら、ヘンタイ。さっさと私に支配されて、ぶざまにケツ穴アクメしなさい♡」
ついに、屈した。
屈辱か、羞恥心か、自己嫌悪か。
それとも、これから己を犯す魔族のしっぽを受け入れることへの期待か。
目を固く閉じ、顔を耳まで赤くした彼女は、コクンとうなずいた。
この瞬間彼女は、魔族に、サキュバスに支配されることを肯じたのだ。
神官を屈服させたサキュバスは、満足そうに笑みを浮かべた。
指を引き抜き、代わりにしっぽを彼女の中へ押し入れていく。
指三本はあろうかという太さのそれを、神官のアナルはすんなり受け入れていく。
神官が、うなり声をあげる。
魔法使いのそれとは違う、低い、うなるような喘ぎ声。
神官という仮面を脱ぎ捨てた、一匹のケモノが、そこにいた。
本当に、同じ人物なのかと思うほど。
サキュバスのしっぽが出たり入ったりを繰り返すたび、神官のそこは擦り上げられる。
メスとしての本能を剥き出しにして、それを受け入れる。
「ほらほら!普段どんなにすました顔してても、お前の本性はお尻を犯されて感じるヘンタイなのよ!ほら、見なさい、みんながお前のだらしない顔を見てるよ!いいの?魔族のしっぽにお尻をほじられて、情けなくイッちゃっても、いいの?憎い魔族たちの前で、ぶざまな姿をさらしちゃってもいいの?」
サキュバスの言葉が、神官の被虐心を煽っていく。
「それでも、あの勇者パーティーの一員なの?みんなが今のお前の姿を見たら、なんて言うだろうね?ケイベツされちゃうかな?ガッカリされちゃうかな?でも、仕方ないよね、これがお前の本当の姿なんだから」
「ぢ、ぢがっ!おぉっ!オ゛ッ!オ゛ォン!」
「なになに?なんて言ってるのか分からないよ?ヘンタイ語じゃなくて、ちゃんと私に分かるように話して?」
神官の痴態を見て加虐心に火がついたのか、サキュバスの口撃がヒートアップしていく。
「お前、マゾだったんだね!こんなことされて、こんなこと言われて、それなのに感じちゃう、ヘンタイマゾだったんだ!処女なのに、ケツ穴だけでこんなによがり狂って、本当に救いようのない、ヘンタイマゾ!こんなヘンタイなのに、よくすました顔して神官を名乗ってられるね!謝りなさい!神様、ごめんなさい、私は魔族にお尻を犯されて感じちゃう、ヘンタイマゾ女ですっって」
「や、ぞんなごど、いばないでよぉ…」
イヤイヤをするマゾ女。
「言わないでください、でしょ!言い直しなさい!」
「いっ、いばないで、ぐだざいぃ…」
屈辱的なことを言わされているにも関わらず、彼女は悦んでいた。
敬虔な信仰者としての彼女。
比類なき聖魔法の使い手として、勇者たちを、人類を守る彼女。
それが、サキュバスによって上書きされていく。
アナルを弄ばれ。
被虐心を刺激されながら、魔族に屈服する悦びを噛みしめる、ヘンタイマゾ女として。
上書きされていく。
頃合いと判断したサキュバスが、彼女のお腹に手をあてる。
しっぽでアナルを責め立てながら、魔法使いにしたのと同じように、神官のお腹をもみ始める。
グニグニともみ上げられる、神官のお腹。
アナルを責めながら、お腹に魔力を注いでいく。
サキュバスが、耳元でささやく。
「ほら、ヘンタイマゾ、よく聞きなさい。あなたの神官としての能力が、ここに詰まってるのよ?魔力も、聖魔法も、このなかにたっぷりとね。悔しいけど、あなたの能力は、上級魔族様でも敵わないほど。私なんかじゃ、到底足元にも及ばないわ…でも、それも今日まで。あなたの能力は、今、ここで搾り取られるの。私の手でね」
神官の顔が青ざめる。
「あなたが大切に守ってきた、大切なアソコから、いっぱい、いっぱい流れ出てくるの。ほら、見える?あの杯の中に、あなたの大切な力を絞り出してあげるからね。どう、嬉しいでしょ?」
そこで初めて、神官がうろたえはじめた。
「えっ、えっ…ちょ、ちょっと待って…何それ、聞いてない…」
「あなたより前に、魔法使いの能力を搾り取ってあげたのよ。彼女ったら、あんなに強かったのに、今じゃもう、初級魔法もロクにつかえない、おザコさんになっちゃったの。返して、返してって泣きながら、下級魔族の私に縋り付いてくるの。とってもミジメで、かわいいのよ?」
「え、まほうつかい…え?」
「あなたも、もうじき彼女の仲間になるの。ほら、お腹に何か集まってきたの、分かるでしょう?これが、あなたのマナよ。このマナの中に、あなたのすべてが入ってるの。これからこれを、全部搾り取ってあげるからね、ヘンタイマゾちゃん?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!ふざけるな!私を誰だと…おい!離しなさい!離せ!」
逃げようとした神官の身体をがっちりと掴み…
再び、その口を己の口でふさぐ、サキュバス。
もがこうとした神官の身体から、力が抜けていく。
口を離し、神官の耳元でささやく。
「あなたから搾り取ったマナは、魔王様に献上されるの。魔王様を倒すはずだったその能力が、魔王様の糧になるのよ。あーあ、せっかく才能を持って生まれてきたのに。一生懸命、能力を高めてきたのに。それが、こんなぶざまにマナを搾り取られちゃうなんて…とっても悔しいね?情けないね?」
「ヤダヤダヤダヤダ!やだよぉ、やめてよぉ…」
「大丈夫よ、心配しないで?マナをぜんぶ失って、搾りかすになったあなたのことも、ちゃんと可愛がってあげる。あなたのお尻も、もっともっと、気持ちよくしてあげるからね?」
「ほ、ホントに?ホントに、可愛がってくれる?」
「ホントよ?だから、安心して、気持ちよくなって?だから、いっぱい、いっぱい、マナを出して、気持ちよくなろ?ほら、しっぽのここで、こうされるの、気持ちいいでしょ?」
「う、うん…」
「じゃあ、そろそろ、あなたの能力に、バイバイしよっか。今から私が言うこと、私のあとに続いてね?」
神官の耳元で、何かをささやく神官。
神官が、泣きそうな顔で、うつむく。
少しの間の後、その口を開き…
己の能力に、別れを告げた。
「私は、魔族にお尻の穴をほじられて感じちゃう、ヘンタイです…サキュバス様にいじめられて、悦んでしまう、マゾ女です…私がこれまで培ってきた、神官としてのマナを、神官失格のヘンタイマゾ女から、たっぷり絞り取ってください…」
「よく言えました。いい子ね」
サキュバスが、神官にキスをする。
身も心も屈した神官は、サキュバスと熱い口づけを交わす。
神官の太ももが、少しずつ震え始める。
その震えは、全身へと広がっていく。
サキュバスが、近くにいた下級魔族に目くばせをする。
杯を持った下級魔族が、二人に歩み寄る。
サキュバスが、口を離した。
よだれを垂らしながら、雄たけびをあげるケモノ。
サキュバスが、そのしっぽを深々と突き入れる。
同時に、神官のお腹を力強くつかんだ。
その瞬間。
神官の股から、マナがほとばしった。
下級魔族が持つ杯の中へ、マナが放出されていく。
仲間の傷を癒し、魔族を滅する聖なる力。
勇者を助け、魔王を滅ぼすための力が、魔族の手によって身体から搾り取られていく。
白目をむきながら、体を痙攣させる神官。
サキュバスの責めは、なおも続く。
しっぽを出し入れするたび、神官がうなり声をあげる。
自身によって性感帯として開発された、排泄器官。
それを、サキュバスのしっぽが的確に、執拗に責めつづける。
脳が焼き切れてしまうのではないか。
そう思っても、彼女の口から出てくるのはケモノのような雄たけび。
かつて経験したことのない、深い、深い絶頂。
何度も何度も絶頂へと追いやられた彼女は、そのたびに股からマナを吹き出した。
杯がマナで満たされた時、彼女はもうかつての彼女ではなかった。
高い教養と理性を備えていた彼女は、今や肛虐の快楽に酔いしれながら、下品に喘ぐ一匹のメスでしかなかった。
かつて、上級魔族すら恐れさせた彼女は、もはや下級魔族の足元にもおよばない存在へと成り下がってしまった。
神官としての神聖も、魔力も、数々の聖魔法も、知識も、尊厳とともに杯の中へと絞り出されてしまったのだ。
そして、サキュバスによって搾り取られたマナは、彼女が倒すはずだった魔王の糧となるのだ。


ぐったりとした神官が、部屋の外へと運ばれていく。
慌ただしく動き回る下級魔族たちに、竜人族が指示を出す。
神官の痴態にあてられてしまったのか、マルレートの身体は火照っていた。
私としたことが…
神官を責める、サキュバスの声、表情。
普段の厳粛さを一変し、魔族に支配されていく、神官。
貞淑な皮の中に隠されていた、倒錯的な願望。
『でも、仕方ないよね、これがお前の本当の姿なんだから』
『お前、マゾだったんだね!こんなことされて、こんなこと言われて、それなのに感じちゃう、ヘンタイマゾだったんだ!』
サキュバスの声が、頭の中でリフレインする。
クソッ!
まただ。
一体何なんだ、この感情は。
正体不明の、不快感。
さっさと、屋敷へ戻るか。
それで、このモヤモヤを静めなければならない。
竜人族に会釈をして退室しかけたマルレートは、後ろから声をかけられた。
「マルレート卿、待たれよ」
「なんでしょうか」
「先ほどの、記録の魔石の件だが」
儀式の前に、そういえばそんな話をしていたことを思い出す。
「もし興味があるのなら、卿の屋敷に魔石を届けさせるが?」
「よろしいのですか?大変貴重なものとうかがっていますが…」
「なに、最近は使いこなせる者も減ってな。どうせ使われないまま放っておかれるくらいなら、卿に使ってもらったほうがいいと思ったまでよ」
「そういうことでしたら、ありがたく頂戴いたします」
「今日のうちに、使いの者に届けさせる。扱い方を記載した書も持たせるが、もし分からなければ、聞きにきてもいい」
「なぜ、そこまで…」
「なに。私も卿に関心があってな。まあ、年寄りの気まぐれだとでも思ってくれ」
フッと笑顔を見せる竜人族。
こんな表情を、マルレートは初めて見た。
「ありがとうございます」
再び下級魔族への指示を始める竜人族に、マルレートは頭を下げるのだった。

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