新人調教師は、憧れの牝馬を寝取る



 乗馬サークルに所属する二年生

新田(にった)
 乗馬サークルに所属する一年生。童顔、ショートカット。

中谷(なかや)
 乗馬サークルに所属する三年生。美人だが、礼儀に厳しい。


帰宅途中、私はあることに気づく。
大学のサークル棟に、忘れ物をしてきてしまったのだ。
ファミレスで友人たちとの会話が盛り上がってしまい、辺りはすっかり暗くなっていた。
サークル棟が閉まるのは、22時。
今なら、まだ間に合う。

閉館時間前とはいえ、サークル棟にはすでにひと気がなかった。
通路に並ぶ、各部屋のドア。
それぞれ、サークル名が記載された札が掛けられている。
また、既に閉店時間を過ぎているが、ラウンジや売店、合宿で使用するための宿泊所も備えられている。
日頃は学生たちで賑わうこの棟も、今は静まり返っている。
荷物を回収して、さっさと帰ろう。

私が所属する、乗馬サークル。
週一で郊外にある乗馬クラブへ行き、練習を行っているが、それ以外はこのサークル棟で活動している。
活動といっても、漫画を読んだり、メンバー同士でだべったりすることがほとんどだった。

2階に上がり、乗馬サークルの部屋がある方へ歩く。
ふと、あるものが聞こえてきた。
ネコの鳴き声。
こんなところに?
気のせいかと思ったが、再び、鳴き声。
迷い込んだのだろうか。
それとも、学生のだれかが飼い猫を連れ込んだ?
乗馬サークルの部屋の前に立つ。
ネコの鳴き声は、この部屋の中から聞こえてくる。
いったい、誰がネコを連れてきたのだろう。
いや、何か違う…
あいかわらず、鳴き声は続く。
しかし、鳴き声とは、どこか違うような。
どこか切なげで、それでいて妙に艶っぽい、というか…
なぜか、ドキドキしてしまう。
そっと、ドアに聴き耳を立てる。
人の声らしきものが聞こえる。
聞き覚えのある声。
おそらく、一年生の新田だろう。
誰かと話しているらしかったが、よく聞き取れない。
こんな時間に何をしているのだろう。
私は気になって、音を立てないよう、そっとドアを開ける。
すきまから、中をのぞく。
そこにいたのは…
やはり、新田だ。
小柄で、目がクリクリとしていて、人懐っこい新田。
ショートカットで童顔の彼女は、中学生と言われても信じてしまう人がいるかもしれない。
そんな新田は、手にムチを持っていた。
サークルの備品かと思ったが、見たことのないものだった。
新田の私物だろうか。
先端が平べったくなっている、黒いムチ。
そして、新田の奥に、もうひとつ、人影が見える。
長身で、サラサラなロングヘア。
彼女はテーブルに手をつき、お尻を突き出すような体制で、新田に背を向けている。
『う、うそ…』
私は、目を疑った。
その女性は、下に何も身に着けていなかったのだ。
スラっとした、きれいな脚。
丸みをおびた、柔らかそうなお尻。
同性の私でも、ドキドキしてしまうような。
その瞬間。
新田が、持っていたムチを振るった。
ピシッという音が室内に響く。
スナップを効かせるようなムチさばき。
女性が、切なげな声をあげる。
ムチで叩かれたお尻は、無残にも赤くなっている。
真っ赤に腫れたお尻を、悩ましそうにクネらせる女性。
痛みをこらえているのか。
それとも、別な何かがそうさせているのか。
ムチを押し当て、元の場所に戻す新田。
何が起こっているのか。
あまりのことで、理解が追い付かない。

新田が、何か言葉を発する。
よく聞き取れなかったが、女性は新田の言葉に敏感に反応していた。
新田が、焦らすように、女性のお尻にピタピタとムチを当てる。
次のムチにそなえて、女性が身構える。
「ふーっ、ふーっ、ふーっ…」
女性の、荒い息。
恐れているのか、それとも…
ピシッ!
女性の、甘い、なやましげなうめき声。
何が起こっているのか、少しずつ、理解してきた。
こういう世界があることは、知識としては知っていた。
しかし、こうして現実に目撃するとは、まったく思っていなかった。
こんな、身近で。
しかも、ひとりはあの新田なのだ。
普段の、人懐っこい新田。
今も、あの人懐っこい笑みを浮かべて。
でもそれは、私の知る新田ではなかった。
見た目は新田でも、中身は別人ではないか。
そんな気さえする。
しかし、もうひとりの女性は誰なのか。
同じ乗馬サークルなら、私の知っている人のはずだ。
でも、あんな女性、いただろうか。
背が高くて、ロングヘアの…
サークルメンバーの顔を、一人ひとり思い浮かべる。
しかし、どうしても思い当たらない。
でも、あの服、見覚えがある。
あの服は、たしか中谷先輩の…
その瞬間、全身に衝撃が走った。
あの女性は、中谷先輩?
たしかに、背格好は似ている。
普段は髪を束ねているが、おろせば、あれくらいの長さかもしれない。
でも、そんなはずはない。
あるはずがなかった。
中谷先輩は美人だが、どこか近寄りがたい雰囲気の人で。
馬への接し方、道具の扱いひとつとっても、指導が厳しい先輩だった。
だから、中谷先輩であるはずがないのだ。
礼儀に厳しくて。
美人で。
クールで。
でも、ときおり見せる笑顔がまぶしくて。
大人の魅力をたたえた、素敵な女性。
それが、一年生の前で、お尻を丸出しにして…
新田にムチで叩かれるたび、甘く切ない鳴き声を出して。
お尻をくねらせながら、次のムチを期待して…
そんな、恥ずかしい恰好を、中谷先輩がするはずがなかった。
私の憧れている中谷先輩は、そんな情けない人ではない。
どこか、すがるような気持ちで女性を見つめる。
新田が、少し体制を変える。
隠れていた女性の顔が見える。
「う、うそ…うそでしょ…」
私の一縷の望みは、あっけなくくだかれた。

なぜ、中谷先輩が新田に。
グチャグチャになった思考で、必死に考える。
うちのサークルでは、新入生にはマンツーマンで先輩が指導にあたる。
二年生が指導にあたるケースが多いが、時には三年生が行う場合もある。
そして、新田の指導担当は中谷先輩だった。
しかし…
サークルの活動中は、まったくそんなそぶりはなかった。
中谷先輩に指導してもらえる新田が羨ましいと思ったこともあったが、厳しく指導されている様子をみて、少し同情していたくらいだ。
それなのに…
小悪魔のような笑みを浮かべて、ムチを振り下ろす新田。
普段の威厳などケカラもなく、情けない痴態をさらす中谷先輩。
悔しさ、切なさ、惨めさ、悲しさ、羨ましさ…
いろんな感情が、私の思考をかき乱す。
見たくない。
こんな中谷先輩なんて…
荷物なんて、もういい。
いっこくも早く、ここから立ち去りたい。
でも、動けない。
感情とは裏腹に、あの二人から目を離すことができない。
女王様然とした新田と、無様で情けない姿をさらす中谷先輩。
新田に、中谷先輩をとられてしまった。
私のほうが、ずっと先に中谷先輩と知り合っていたのに。
私の方が、中谷先輩のことが好きなのに。
それなのに…
嫉妬で、はらわたが煮えくりかえりそうになる。
脳が、焼き切れそうなくらい、熱い。
でも、私は目を背けられない。
それどころか、食い入るように、二人を見つめ続けた。
そして私は、あることに気づいた。
自分の身体が、かつてないほど昂っていることに。
大切な人を奪われ、嫉妬でおかしくなりそうだというのに。
指先は、冷たく震えている。
しかし、身体の奥底では、血が沸騰していた。
ベルトをゆるめ、下着に手を差し入れる。
こんなに、と思うほど、水気を含んでいた。
ズボンごと下着をずり下げる。
なぜそんなことを、と思う間もなく、身体が動いていた。
痴態を晒す、私の想い人。
それを奪った、憎い一年生。
2人だけの倒錯的な世界を覗き見ながら、私は秘部をまさぐる。
悔しさで、頭がおかしくなってしまったのだろうか。
しかし、今まで経験してきたどんな秘め事より、私は興奮していた。
寝取られた中谷先輩が、一年生の前で浅ましい声をあげる。
その度に、嫉妬で胸が締め付けられる。
目の奥が、バチバチと光る。
脳が、焼き切れてしまう。
いっそ、焼き切れてしまえ。
視界がゆがむ。
泣いているのか。
新田がムチを振り下ろす。
中谷が、嬉しそうにお尻をふる。
屈辱が、嫉妬が、惨めさが、快感が、私の脳に刻まれていく。
媚びた笑みを浮かべ、赤く染まったお尻をふる中谷。
そんな中谷先輩を目に焼き付けながら。
中谷先輩を奪った新田をにらみつけながら。
私は深く、深く身体を痙攣させた。


Twitter上で実施したアンケート項目をもとに作成した物語です。
本作は『先輩が後輩に責められている場面を目撃(第三者視点)』となります。

『後輩(恋人)に優しく責められる、あまあまエッチ』
  ⇒ 千紗先輩はオギャりたい ~一生懸命頑張る、すべての”甘えた”さんへ~

『後輩にマゾであることがバレて、立場が逆転』
  ⇒ マゾ犬ポチが、ご主人様を見つけるまで

『強い女性が、能力や立場を奪われていくシチュ』
  ⇒ マナドリンカー ~尊厳を搾り取る者~


コメント

  1. まさみ より:

    いつも楽しみに拝読させて頂いてます。
    女同士で後輩(年下)が先輩(年上)をいじめるというドストライクの小説が素晴らしいです。
    全部読ませていたただいてますが、シチュエーションとして後輩が美少女で先輩がブス、というのも読みたいです。女としてすべての面で優れている年下の女の子に女としての格の違いを見せつけられ、屈辱的に奉仕(足舐め、局部舐め、飲尿など)させられるなど、とても興奮します。

    • slowdy より:

      >まさみさん
      コメントありがとうございます!
      言われてみると、確かに、これまでの作品では美醜での対比はなかったですね…
      いずれ、そういったシチュエーションも書いてみたいです。
      遅筆であり、かつまだ書けていない作品がまだ残っているため、だいぶ先の話になってしまうかもしれませんが、どうか気長にお待ちいただけますと幸いです。
      これからも、よろしくお願いします!

  2. ロム より:

    こんばんは、短編も読ませていただきました。
    どの作品もよかったのは言うまでもないのですが、特にこの作品がよかったと思いました。
    個人的には、新田と中谷の会話の内容が知りたいと思いましたし、中谷がどうやって堕ちたかも知りたいですし、気が向いたらいつか中谷視点でリメイクしていただければなと思いました。」マナドリンカーも楽しみにしております。
    女戦士がどうなるのかワクワクしてます。

    • slowdy より:

      >ロムさん
      コメントありがとうございます!
      この作品もですが、アンケート4作品とも設定は作りこまずに、勢いで書いてみた、というところがあります。
      (アンケートのオマケというか、お礼のような感じで書き始めました)

      書いていて楽しかった半面、もう少し作りこめば、もっと楽しんでもらえる作品になったかもしれないな、と、後になってから感じました。
      リメイクか、あるいは後日談的な話を書けたらと思っています。
      中谷視点、確かに面白いかもしれません。
      あとは、別作品ですが『マゾ犬ポチ~』の後日談(川端との買い物、自宅でのエッチ)とかも、いつか書いてみたいと思っています。

      書きたい作品はたくさんあるのですが、なかなか書くのに時間がかかってしまい、もどかしいです。
      まずは、マナドリンカーに全力を注げたらと思っています。神官もですが、戦士もニッチ(?)な性癖なので、楽しんでいただけるか少し不安もありますが…

      いつも、ありがとうございます!